真鶴

13件の記録
- 読書猫@bookcat2025年7月18日読み終わった(本文抜粋) “歩いていると、ついてくるものがあった。 まだ遠いので、女なのか、男なのか、わからない。どちらでもいい、かまわず歩きつづけた。” “しばらく目をこらしているうちに、おりてゆく人ふたりが底についた。両手をまうえにさしのばし、のびをしているのだろうか。指ほどの大きさにしかみえないのだから、気持ちがよさそうなのかそうでないのか、わからないはずなのに、爽快な絵である。風が雲を飛ばして、天頂には青い色ばかりがある。真鶴、と口にしてみてしばらく、崖下を見やり、ほんの少し欲情した。 かたちあるものに欲情することは、少ない。少なくなった。 よろこびにつながることもあるし、えぐられるような寂しさにゆきつくことも、そしてどんなところにもゆかず、ただそこにぽかりと浮かぶばかりのこともある。どちらにしてもそれを欲情と名づけただけのことである。” “植物園の奥は森になっている。日差しを避けて、人がひっそりと歩く。緑のまま落ちた大きな葉を、百が拾う。葉脈が、こまかく縦横にはしっている。 「くわしいね、これ」百が言う。 「くわしい? こまかい、じゃなく?」母が笑いながら訊ねる。 「うん、すごく、くわしい」百はじっと葉の表面をみつめている。”
- ちはる@chiharium2025年3月29日再読真鶴に行く機会があったので久しぶりに再読。気づけば主人公と同年代になっていた。そして同年代だと思って読むと、主人公の性愛に向けるエネルギー量がやたら豊富で驚く。えらく色っぽい。身近にいたらタジタジとなってしまいそう。
- ぶんな@bunna2025年3月12日ある方が紹介していたので読んだ本です。やっぱり命あるものは恐ろしくて、親も飼い犬も恐ろしくてどうしたらいいのやら。ちなみに、解説は私には難しくてしっかり読めていませんが、もう完全に関係が切れた人(なんか変な人)が、よく仏教とか宗教の話をしていたなと思い出しました。物語も相まって思い出して胸が痛くなりました。