さようならアルルカン/白い少女たち 氷室冴子初期作品集
12件の記録
星雨@seiu2026年7月5日読み終わった【さようならアルルカン】 1人で立ち向かう少女に惹かれた主人公だけれど、次第に彼女は正しさだけでは孤立するだけだと知る。クラスメイトは彼女を遠巻きにし、担任は彼女が全て悪いのだと言う。 誰も彼女の事をわかっていない。本当にわかっているのは自分だけだ、と主人公は思うけれど、彼女に話しかけたりする事はなく。 次第に彼女は変わっていった。周りに愛想笑いをし、面白い冗談を言って笑わせる。 正しい事を言うことなく、目を逸らし、沈黙する。 そんな彼女に失望した主人公は彼女に手紙を書いた。 「さようならアルルカン」 主人公は彼女が図書館で借りた本を順番に読んでいくというストーカーみたいな事をしている。 それでいて、彼女の事を何もわかっていなくて。 本当の意味で誰かの事を理解するのは難しいのかもしれない。 【あなたへの挽歌】 1人の教師の心の奥を見抜いた主人公が彼の良き理解者としてそばにいるけれど、だんだん失望して離れていく話。 彼へ想う気持ちは本物で、彼が詠んだ詩をコピーして手元においていたり、彼から詩の同人誌を貰って嬉しそうな主人公に微笑ましくなるけれど、だんだん変わっていく彼に冷めていったのも本物で。 あの詩で生きていきたかった彼が好きだった。 誰にも見抜けない彼の本音を打ち明けてくれる彼が好きだった。 主人公が好きじゃなくならなくても、その後主人公の事を必要としなくなっていきそうだなと思った。 【おしゃべり】 元々おしゃべりだったけど、今は喋れないから小声で言葉少なに話してたら誤解されて、理想の女性だと好きな人に言われる。 本当はおしゃべりなのだと知られたら、離れていきそうだなと思った。 理想の女性じゃなくなったら用無しなんだろうな。 【悲しみ・つづれ織り】 3人で友人同士だったのに他のふたりが自分が知らない間に深い関係になってて、その事に裏切られた気持ちと気づいてしまった恋心。 手紙を渡されて中身を見たら「ごめんなさい」だけで、それについて会いに来てくれるっていう所までやらないといけないのが…。 まあ告白もしてないのに「恋愛として好きではない」って言う訳にもいかないけど、それでも好きな人と自分の親友が知らない間にふたりだけで会ってて、両想いになってるって辛い。 好きな人に振られた事も、ふたりだけで会ってた事も、親友にも言って貰えなかった事も、彼が女の子とふたりで出かけている所を親友とデートしてるんじゃないかと疑って憎みを向けた自分が嫌になる。 三角関係は辛いね。 【私と彼女】 お酒に酔って目を覚ましたら、知らない女の子が部屋にいて、彼女が言うには「いいコトをした」から流れで同居する事になった話。 彼女が明るくて悩みとか 【白い少女たち】 女学校が舞台で、主に4人の少女で話が進む。 何度も転校を繰り返し、もういい加減転校は嫌だと女学校に編入する事にした、明るく天真爛漫な碧。 学校中の女子生徒達から遠巻きにされつつも、尊敬の眼差しで見られる倫子。 学級委員長をしていて、碧のルームメイトの瑞穂。 あまり目立たない生徒で瑞穂と親友。しかし、急に失踪をした千佳。 それぞれの寂しさ、苦しさ、辛さ、生きづらさ。 転校してからも手紙を書くと言ってくれたのに返事を返してくれないから、広く浅く人間関係を築くのに上手くなってしまった碧。 誰とも友人になりたくない。周りからの視線に怯える倫子。 千佳からの家出をした時に自分宛ての手紙が無かった事に傷つき、千佳が苦しんでいた事に気づかなかった自分を憎み、苦しむ瑞穂。 忘れてしまいたい、無かった事にしたい出来事を味わい、誰にも言えずに苦しんでいた千佳。 千佳視点はなかったけれど、千佳の失踪を巡ってそれぞれの苦しみ、辛さを描かれていました。 誰にも言えない秘密なんて、誰だってある。 それを表に出さないだけで皆何かしら傷ついて、苦しんでいる。 自分が苦しんでいる時に他の人に優しくできる人は本当の優しい人なんだと、そんな方を尊敬するし、それでも助けを求めて良いんだと伝えたい。 でも助けてって言っても助けて貰える保証はないし、「他にもっと辛い人はいる」って言われて余計に傷ついたりするから言えない。 助けてって言うのは難しい。 心理描写が丁寧で、少女達の辛さが伝わってきて、他の作品も読んでみたくなりました。 元々百合小説だという噂を耳にして読んでみましたが、この短編集を百合小説だとは言えないかなと私は思いました。 男性が間に入っているのが多くて、少女がメインなんだけど、彼氏だったり好きな人が男性って感じで、百合だとは言えないなと。 それでも女同士の友情は味わえるし、少女達の生きづらさに共感したり心を痛めたりできた?ので、買って読めてよかったなと思いました。
む@sin_doi_na2026年6月30日読み終わったわたしの思う「少女小説」とは吉屋信子的世界観なのだなと…少女のみで完結する世界が好きなのだと……間に男が挟まるのがイヤなのだということがわかりました。 でも「あなたへの挽歌」は好きでした。
つむぐ@mgg26262026年5月29日読み終わったまさかのカラー口絵と扉絵イラストつき。 思春期の少女たちの、妙な潔白さ・思い込み・いじっぱりに子ども時代を思い出した。あるある。 ところで「白い少女たち」の最後、千佳は生きているか否か。 去年、初めて読んだときは生きていると感じた。 その前に銀の海金の大地を読んでいて、キャラクターの「生きる力」に圧倒されていたからだ。他の作品でも「苦しくても生きてやる!」といったエネルギーがあった。 だがいま改めて読んで真逆の感想になった。 初期の作品群は重く苦しく、救いはないまま終わることが多い。今回だと「あなたへの挽歌」や「悲しみ・つづれ織り」がビターエンドだ。 また、この短編集には載っていないが、仲違いした姉と死別エンドの作品があった。(『さようならアルルカン』収録「妹」) ビターエンドが多い作品を読み進めて、最後に「白い少女たち」を読むと(これも救われないまま終わるのでは……)の気持ちになる。 掲載順で自分の中で意見が変わるとは思わず、我ながら驚いている。
モンブラン@yomikakimon2026年5月26日読み終わった設定や人物たちの立場の違いはあれど、作中に出てくる誰もが「これは自分だ」と思わせるような共感を誘引するものがあった。 文章は平易でありながら内省的。そして時に豪快にして大胆。 このとんでもない作家の新作がもう読めないことが本当に悔やまれる。

- ことみ@5to3chain1900年1月1日かつて読んだこの中の全てが素晴らしいと思うけれど、「妹」はいつまでも胸に刺さって抜けない棘のよう。 家族の中で優先順位のつくさみしさがどれほどか、わかると思えば思うほどに姉の罪のなさと善良さがうらめしい。妹が姉を心から憎めていたら救われたかもしれないけれど、家族がみんな、お互いを思いやっていたのに、それでも誰ひとり望みが叶わない。美しいほど悲しい話で、悲しいという表現があまりにも陳腐に過ぎると思った。




