旅する練習

旅する練習
旅する練習
乗代雄介
講談社
2021年1月14日
15件の記録
  • DN/HP
    DN/HP
    @DN_HP
    2025年8月7日
    目当ての本がなかった図書館にて、数年前におすすめして頂いたまま読み渋っていたこの小説を手に取った。読みはじめて数行で、ああ、この文章は好きかもしれない、とおすすめの確かさを思う。 中盤までにはこの物語の終わり、あるいは語り手によってこの文章が書かれる理由の予想がつき始める(ように書かれている)。そこから読み進めるのには、作中で言及のされていた柳田國男が語る「忍耐」にも少し似ているようなものがあった気がする。予想された物語の終わりに感じるはずの感傷や感動を安易に先走って感じてしまうことを律するような「忍耐」。といって、そこで本を閉じてしまったり読み進めるのが苦痛になるわけでもないそれは、ページを捲るのももどかしいような物語のドライヴやずっと浸っていたいような心地の良い文章のグルーヴのように、本を読むことで得られる大切なもののような気もしてきていた。している。 そうやってたどり着いた最後のページには、予想された、それでもやはり心を動かされる哀しみがあって。良い小説を読んだという悦びも合って。予想された上にしかないカタルシスもあった。 帰り道は少し遠回りしてこの小説の中で叔父と姪が歩いたような川沿いの堤を歩きながら、記憶を、確かにその人がいた景色、世界を書き残す意味について考えた。書いたものは残る。残したものを読めばいつでも思い出すことが出来る。思い出すことが出来るうちは、その人は居なくならない。会えないとしても。何人かの人の顔を思い浮かべる。 行きは曇り空だったけれど、今は絵みたいな夏の空だ。暑い。冷房で冷え切ったと思っていた身体からもすぐに汗が吹き出してきた。舞台は早春だけれど、今このタイミングで、夏に読むことが出来て良かったような気もしてきた。という文章を河原に降りる階段に腰掛けて書いていたら、めちゃくちゃ蚊に刺されていた。痒いぜ。 短めの中編とはいえ、図書館で一冊読み切る、という体験をはじめてした。なかなか新鮮で良い体験だった。ちょっと夏っぽい気もした。図書館って本を読むのは、私にも向いているかもしれない。なかなかそんな余裕がある日もないけれど、次はこの小説に登場する小島信夫の『鬼』という短編が収録された短編集も読み切りにいきたい。
    旅する練習
  • y8024y
    @80245759
    2025年7月4日
  • ニ。
    ニ。
    @29jun
    2025年6月26日
  • ニ。
    ニ。
    @29jun
    2025年6月21日
  • とらこ
    とらこ
    @RDs0087
    2025年6月19日
    豊かな感受性と素直さで、出会ったものを吸収しながら成長していく亜美 指針を示すかのように時々はさみこまれるジーコの生き方と言葉 日記の形で綴られる風景が美しく、読み進めるうちにどんどん穏やかな気持ちになっていった 亜美のカワウのゴールパフォーマンスを見たかった
  • 北
    @kita_9
    2025年6月4日
  • soyoco
    soyoco
    @soyoco0622
    2025年4月25日
  • ややとと
    ややとと
    @yasutomo
    2025年3月26日
  • くるん
    くるん
    @ichijyu
    2025年3月22日
  • 真冬
    真冬
    @k31x31
    2025年3月12日
    Readsさんの公式noteの最新記事で「検索結果から本が選択されるごとに内部のデータベースに本が登録されていくことになり、それ以降はよりヒットしやすくなっていきます(そのはず)。」との記載があったので、それならと大好きで大好きな一冊を選択してみる試み📚 講談社文庫にもなってるけど単行本の装丁のほうが好き
  • rina
    rina
    @allspice
    2025年3月7日
  • 黒澤
    黒澤
    @kurosawa_1999
    2025年3月6日
    「体を乾かさないカワウがいるか?」
  • ゆべし太郎
    ゆべし太郎
    @skikzy
    2025年3月6日
    土手を歩いてる2人をときおり思い出す(そんな場面が本当にあったのか定かではないが、自分の記憶のなかには確実にある情景)。とにかく好きだなあと思いながら読んでいて、ここから乗代さんの作品をいろいろ読みはじめた。
  • 村崎
    @mrskntk
    2024年4月3日
    亜美はリフティング、叔父は文章の練習をしながら鹿島を目指す一週間が描かれている。立ち寄った先で知る歴史、鳥の名前や生態、亜美の純真な性格、小説家である叔父の目線で衒いなく、丁寧に、見たままのことが文章でスケッチされていいく。途中、みどりさんという女性と出会い旅を共にするけれど、それ以外は大きなドラマもない。けれどだからこそ、日常の一瞬いっしゅんのまぶしさみたいなものが優しく光っている、ってこんなふうに書くとすごく陳腐に聞こえるかもしれないですが、私たちは取るに足らないことを繰り返しながら、けれど取るに足らないことのなかに大切なものを見つけながら生きてきているのだよなということを、やわらかく感じさせてくる小説だった。 亜美たちのやさしくて力強い言葉の数々に励まされると同時にわたしたちは生きているかぎりは潜って息をして、潜って息をして、つねになにかの練習をしないといけないということも実感させられる。当たり前にありすぎる残酷さもちゃんと描いている作品だとも思う。 「旅する練習」を読んだ友人と感想を言い合っているとき、「鳥が川に立っているのを見るたびに、あれは羽根を休めてるわけじゃないんだなって思うようになった」「乾かしているんだよね」「次の準備だよね」なんていうことを話して、それは取るに足らない会話のひとつだったけれど、たぶんこの先わたしのなかで忘れない言葉のひとつとして刻まれていくのだと思った。  日常は、取るに足らないものの連続、だけど一瞬いっしゅんのきらめきの連続でもあって、ときどきでもそのとことを思い出していきたいなと思える作品だった。本当によい小説でした。
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