アクティビズムのアート/アートのアクティビズム

12件の記録
- 本屋lighthouse@books-lighthouse2025年7月31日読み終わったBLM運動に関する記述。 マイケル・ブラウンの射殺事件後、「アーティストたちはこの運動の中心にいた」と記し、すぐさま重要な点として、ここには「自分をアーティストだと考えたことのなかった人々」も含まれるとつけ加えている。(p.194) 社会は変わるべきだ、あるいは変えられると思ったとき、我々は自ずとアーティストになるのだろう。しかしこれは、たとえば参政党的な運動においても作用する機序だ。別の言い方をすれば、いわゆるリベラル的な価値観を求める政党の運動は、「社会は変わるべきだ」「我々には社会を変える力がある」と人々に思わせる要素を持たなかった、ということになる。 「また平常に戻るという(偽りの)約束さえ存在しない社会的災難の状態であり、そこでは、よりよい、より公正な経済的、政治的、あるいは歴史的選択肢があった記憶さえも消えていく」という、著者が「非存在」と呼ぶ状態(p.206)にある我々が、いかにしてアーティストになりうるか。
- 本屋lighthouse@books-lighthouse2025年7月28日まだ読んでる社会運動文化は、技術的・組織的専門知識を、アート訓練を受けている人にも、素人の参加者にも、水平に再配分する。こうして、単なる「アートワールド」を超えて、より大きく、急進的で、おそらくより革命的ななにかに寄与する、制約のないDIY教育方法論を生み出している。(p.81) デモに使うプラカード、SNSに投稿される言葉たち、などなどを繰り返し生産していくことでおのれのクリエイティブな力に気がついていく、という感覚はよくわかる。社会を変えるということそのものが、社会を作るというアーティスティックな現象であるということ、その担い手に自分もなれるのだということ、それは思っているよりも難しいことではないということ。
- 本屋lighthouse@books-lighthouse2025年7月24日読み始めた「せいぜい過去の介入、実験、反復、妥協、そして小さな勝利や完全な失敗の、断片的でにぎやかな貯蔵庫」としての幽霊アーカイブ(p.37)という概念。 「したがって、私たちはこの短い探求の旅の過程で、抑圧的な社会状況に応答して、自己実現とは言えないまでも可視性を求めて絶えず奮闘している、ふぞろいながらも粘り強い下からの反対勢力を垣間見ることになる。それは結局、再び人目につかないところに隠れてしまうが、時宜を得ればまた姿を現す」(p.39)