〈私〉を取り戻す哲学

19件の記録
- 大森弥希@mitsukiomori2025年8月24日買った読み終わった@ 電車宮台真司・東浩紀・國分功一郎と、日本の現代思想史上の三人を辿り直し、終わりなき日常・動物化・退屈というそれぞれのキーワードを再解釈したうえで、私たちはそのなかでサイバースペースが提供してくる世界に埋没し<私>を見失っている、と著者はいう。その上で、新デカルト主義の立場に立ち、まず自分自身とじっくり向き合い、拙速に決めつけるのではなく判断を保留することや、<私>を大切にするのと同様に、<私>の周囲やサイバースペースで出会うたくさんの<私>のことも大切にすることで<私>がゆたかになっていく、と論じられる。あとがきで「本書を書いている途中で、私はこれを家庭の中で実践できているのか、と何度も反省した」(p251)と著者は書いている。そういう姿勢が素晴らしいと思う。
- haze@haze2025年5月20日読み終わった他者に過剰に期待して、この人は〈私〉のことを完全に分かってくれている、と思い込んでいるなら、それは、他者を他者として見ていないことである。他者との関係を、自分勝手にデザインしているのだから。抵抗や摩擦がまったくない関係というものは、まさに実在しない外想にほかならないのである。〈私〉と他者の価値観や感受性が、すべて一致することはありえず、それぞれの〈私〉は、それぞれに与えられた絶対性と有限性を生きるしかないのだ。(243ページ)