特性のない男: ウルリッヒとアガーテ

特性のない男: ウルリッヒとアガーテ
特性のない男: ウルリッヒとアガーテ
ローベルト・ムージル
大川勇
白坂彩乃
松籟社
2025年9月15日
10件の記録
  • jirowcrew
    jirowcrew
    @jirowcrew
    2025年11月17日
    「ウルリッヒは微笑みながら静かにこう言ったのだった。「千年王国を予言する、こんな言葉がある。神々にとって千年とは、たった一度の瞬きにすぎない!」それからふたりはまた寝椅子にもたれ、静寂が語る夢のような言葉にさらに耳を傾けた。 アガーテは考えた。「こんな世界を見せてくれたのはこのひとだけ。なのに彼はいつもそれを信じられなくなって、今みたいに微笑んでしまう!」 (第2章 遺稿部第46章) 千年も、世界も、 ウルリッヒの微笑みひとつに流されてしまう。 その微笑みはひとつの柔らかな終わりであり、次の千年の予言であるということ。 終わったのではなく、まだ始まってもいない。 ウルリッヒの微笑みとは、そんな実感に対するため息であり、未完の物語たちの接続詞。
  • jirowcrew
    jirowcrew
    @jirowcrew
    2025年10月31日
    「アガーテの理解しがたい振舞いは、生を否定したいという誘惑が次第に鬱積していく状態のひとつしか説明できない。そうした誘惑に駆られるのは、自分が何をしたいのか自分でもわからない人びとであるらしいーーこの確信はもはや彼の心を去ることはなかった。」 2巻29章 生を否定したいという誘惑。 ああ、これはほんとうにそのとおりだと 左の頬を思い切り掻きむしる。 ああ、これが生の肯定か。 無意識に傷つけた頬の熱さ。 いずれにせよ、彼の「生を否定したいという誘惑」がもたらした振舞いは、彼自身にも理由はわからなくとも大いに意味のある行為であった。それはムジールの筆により書き記され、世界の人々に読まれることになるのだから。 それは生を肯定した。 良くも悪くも、すべては愛の側に絡め取られてゆくということか。
  • jirowcrew
    jirowcrew
    @jirowcrew
    2025年10月30日
    「だからぼくは信じ、そして信じない! いや、もしかするとぼくは信じているのかもしれない。いつか人間が一方では知性をめざましく発達させながら、他方では神秘家になることを。もしかするとぼくらのモラルは今日もう、この二つの成分に分たれているのかもしれない。数学と神秘主義に、と言ってもいいだろうか。あるいは、現実の改良とまだ見ぬ冒険に、と。」 第2巻第12章 p.351 信念を語る人間が、その最後に「もしかすると」を重ねるところ、そこに信念という概念の傍若ぶりが見てとれる。 情熱のない信念はあり得ない。 迷いのない信念に情熱はない。 追い込まれてはじめて芽吹くもの、 それがほんとうの信念であり倫理であると いうことを。
  • abu
    abu
    @abu_abu
    2025年10月11日
  • 匙
    @sajisann
    2025年9月15日
    抄訳とのことだけどずっと価格高騰しっぱなしの有名な小説なので楽しみ
  • 杞憂
    杞憂
    @ku_akira
    2025年9月3日
  • sataka
    sataka
    @satakan_443
    2025年9月2日
  • AIME
    AIME
    @aime2nd
    2025年8月29日
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