他人の家
23件の記録
たにこ@chico75_114272026年2月18日読み終わった8つの短編集。社会学、哲学を学んだ著者だからこそ書けたのだろうな、と思わされる現実の厳しさや他人との距離感の変容と順応が淡々と表現されている。個人的には「怪物たち」「zip」「アリアドネの庭園」「箱の中の男」が印象に残った。 変わりたい、変わりたくない、後悔している、複雑な心情を淡々と述べているメインキャラたち。 「怪物たち」「zip」はどちらも結婚して出産した過程に強烈な違和感を感じ外に出たいのに、その「家」の中にしがみついているよう。女性の社会的立ち位置を見せられた気がした。 「アリアドネの庭園」は高齢化社会がさらに進んだ未来の老人ホームのSF。階級があり、お金があればあるほどいい暮らしができる。移民が大量におり、自国民である老人たちは自国民としてのプライドが高く、老化していくことへの不安や孤独を内面に秘めている。移民であるスタッフに対しても「移民のくせに」と暴言を吐く。まさに今の社会を見ていると、想像に難くない未来だと思えてしまう。 「一番もどかしいのは、若ければなんでもできると思い込んでいる大人たちです。若さなんて、いらない殻みたいなものです。いっそのこと体まで老いてほしい。残された希望もないのに、長いこれからの時間を耐えていかなければならないだなんて、それは絶望よりももっと苦痛なことです」(P125) 若い世代にこう言わせてしまう時代はもうすでに来ている。実際自分もずっと思っている。(若くないけども)
森々@mori_hkz2026年2月12日読み終わっためちゃくちゃ好きだった。 別作品「アーモンド」の世界と関わる話もあってすごく良かった。 『箱の中の男』『アリアドネの庭園』が特に好きだった。 物語全編を通して、事実をありありと見せつける厳しさと冷たさすら感じる。 けれど、未来や現在に諦めているわけではなく、深い自己との対話から得られる淡白さがあり、絶望するような状況でもなんとか生き延びようとする強かさすらある。これが読んでいてとても気持ちが良いし考えに納得できる。 『怪物たち』ではこどもをほしくてほしくてたまらなかった純粋無垢な光の塊のように描く反面、理解できない自分を縛る悪魔だと思っているような描写が出てきて主人公女性に少し嫌な気持ちを抱きながらも共感できる。 『アリアドネの庭園』で好きな台詞は「1番難しいのは、若ければ何でもできると思い込んでいる大人たちです。若さなんて、いらない殻みたいなものです。いっそのこと体まで老いてほしい。残された希望もないのに、長いこれからの時間を耐えていかなければならないだなんて、それは絶望よりもっと苦痛なことです。」「(前略)歳をとると言うのは、理解できなかったことを理解するようになると言う事でもあった。」 『他人の家』はもっとコメディを想像していたら違った。「望まない状況で、わざわざ調和する必要は無いってことですよ。結局、マイウェイで生きる人が生き残るんですから。」

jyue@jyue2025年2月5日読み終わった読書日記2月某日(月) 『他人の家』を読む日々。韓国には「海に反射する陽のきらめき」という現象に、ちゃんと名前がついているらしい。そしてそれは『윤슬(ユンスル)』というらしい。美しい響き。韓国文学を好きになったから、韓国に関する情報もよく目に留まる。好きになると、知らないことが増える。 2月某日(火) 仕事中言われた一言に傷つき、脳内でリフレインする。ずいぶん前にSNSで「一度言われただけの言葉なのに、まるで100回言われたかのように感じるのは、その残りの99回、自分で心の再生ボタンを押しているからだ」というのを見かけた。そのときはなるほどなあと思ったが、傷ついてるいまは「うるせえ、ほっとけ」と思う。一度も言われなければ99回リフレインすることもなかったから、やっぱり言ったやつの罪は大変重いと思う。世の中には「寝たら忘れる」という解決策もあるらしいが、わたしは「寝ても忘れてやらないぞ」という気持ちを原動力に生きている。笑っても傷ついていても『他人の家』は安定しておもしろい。 2月某日(水) 仕事終わりに近所のカフェへ。『他人の家』を読み終えた。手触りの全く異なる8つの短編を、このタイトルでまとめたのは天才だと思う。つぎは『アーモンド』を読むことにした。読みたい本が多すぎる。ナルトみたいに影分身して、同時に色んな本を読みたい。


































