

jyue
@jyue
だってことにして前進。
ここは読書日記をつづる場。
- 2025年10月8日草の上の朝食保坂和志読書日記読み終わった10月某日 野菜室を覗き込んでいたら食べたいものが浮かんできたから、黙々と茄子の煮浸しと揚げ出し豆腐を作る。スーパーのセールコーナーから救った耐熱グラスが思いの外、丈夫なうえに容量もたくさん入ってごくごく飲めるから気に入っており、そこへ炭酸水を入れる。心なしか結露も少ない気がする。 保坂和志の本はいいなあ、食べたり飲んだりしながら読むのにぴったりだなあ。登場人物たちのセリフだけが続き、だんだん誰のセリフか境界線が分からなくなるシーンがあって、そこがとっても好き。セリフというよりそれらはもう音に近く、ブレーメンの音楽隊を思い出した。
- 2025年10月2日話の終わりリディア・デイヴィス,岸本佐知子読書日記読んでる10月某日 最近、朝目が覚めたらとりあえずAMラジオをつけて適当なニュースを流しながら、顔を洗ったり、飲み物を作ったり、働く準備をしている。スマホやテレビをだらだら観たくなくて始めた習慣が割と心地よい。 夜、すだちときのこのパスタを食べて、上林暁の『星を撒いた街』を読み終える。うん、素晴らしく良かった。あとがきも含めて素晴らしかった。 子どもの頃から、本を読み終えて、次に読む本を選ぶために自宅や図書館の本棚と向き合っているとき、美女と野獣のベルを思い出す。ずっと好きなシーン。今夜からは途中で止めていた『話の終わり』を、今回はちゃんと読み終えたい。
- 2025年10月1日上林暁傑作小説集『星を撒いた街』上林暁,山本善行読書日記読み終わった9月某日 今日も今日とて、仕事終わりにささっと夕飯の支度だけ済ませて、駅まで散歩をした。散歩しやすい気温で嬉しい、心なしかみんな歩きやすそうで足取りも軽い。たくさん歩いたら冷たい紅茶をがぶがぶ飲みたくなって、どこかで飲んで帰っても良かったのだけれど、「今日はおうちだな」と思ってTWININGSのアッサムを買って帰った。上林暁の『病める魂』を読んで胸が苦しくなる。わたしの大切なひとたちはみんなみんな長生きして欲しい。みんなとずっと一緒に居たいから、わたしも長生きできたらいいなと思う。
- 2025年9月29日上林暁傑作小説集『星を撒いた街』上林暁,山本善行読書日記読み終わった9月某日 最近ひとに怒ってばっかだ、嫌になるな。夜ごはんの準備は諦めて、10代の頃を支えてくれたアルバムを聴きながら駅まで散歩をする。いつももう少し歩きたいなと思ったときには駅へ着いてしまう。習慣的に本屋さんへ寄って、北方謙三の新作を開いてみるとぐいぐい引き込まれてしまい、予定にない購入。 日中の怒りを鎮めるために綺麗な文章が読みたい。綺麗というのは整ってるという意味ではなく。先日本屋ルヌガンガでもらった、夏葉社のフリーペーパーが上林暁特集だったことを思い出し『星を撒いた街』を選ぶ。怒ることに疲れたから目が滑るね、それでもいいのだけれど。
- 2025年9月23日
- 2025年9月20日ある翻訳家の取り憑かれた日常村井理子読書日記読み終わった9月某日 朝、家族を見送るとき、玄関の外側の空気が少し冷んやりするようになって、なるほど秋が来かけてるなあと思う。冬は、見送ってからまだ温もりのあるお布団で少しだけ二度寝するのが好きだから、その時期が待ち遠しい。 『若いとき、面白い小説を読んでいたら時間を忘れ、ふと気づくとワンルームマンションの窓から夕日が差していて、とても寂しくなったことがあったなあ。あの頃の、読めば時間を忘れるほど没頭するあの感じ、最近、あまりない。』 人の日記を読むと安心する。疲れ具合にあわせて適度に休んでいる姿を見ると、ああなんだわたしも休んでいいのかと思う。みんなそんなに強くなんかないよね、と思えるから、定期的に日記文学は読むべき。
- 2025年9月16日ゼバスチアンからの電話新版イリーナ・コルシュノウ,石川素子読書日記読み終わった9月某日 家族が、積読の多いわたしの本棚を『図書館』と呼んでいることを知り、なんとも言えない嬉しい気持ちになった。いつも本棚から読みたい1冊を選ぶとき、『美女と野獣』のベルが本屋で本を選ぶシーンを思い出す。昨晩から読み始めた『ゼバスチアンからの電話』が面白くて黙々と読む。もっと本を読みたいのに、意志が弱いからついスマホを見てしまい、流れた時間の長さにうんざりする。
- 2025年9月4日木幸田文読書日記読み終わった9月某日 郵便局へ向かう途中の信号待ちで、どこかから飛ばされてきたビニール袋が高く舞い上がる。ずいぶん高いところまで上がったなあと見上げていると、ゆらゆら、ゆっくり落ちてきて、雨上がりの強い太陽に照らされてきらきらと光る。昔からこういう瞬間が好きで好きでたまらない。学生の頃はこういう気持ちになりたくて、ゲオで100円のDVDをたくさん借りて観た。 幸田文の『木』を読み終える。本当に良かった、良かったことをうまく文章に出来ない点も含めて素晴らしかった。まだ誰とも分かち合えない素晴らしさをひとりだけで抱きしめて眠りたい。
- 2025年9月2日方舟を燃やす角田光代読書日記読み終わった9月某日 二晩、寝る間も惜しんで読んだ。都市伝説、カルト集団、フェイクニュース…うをぉ…と思いながら貪るように読み進める。自分の信念を貫くのはかっこいい反面、ときどき恐ろしい。方舟だって正義のような語られ方をするけれど、果たして他人が信じるものを自分は信じられるだろうか。
- 2025年8月29日木幸田文読書日記読み終わった8月某日 『森があふれる』を休憩時間と夜で一気読みし、夢のなかで森林浴したような心地になったから、これはこのまま森のなかから抜け出さずにもうしばらく滞在していよう、という気になり幸田文の『木』を読み始めた。ぐわあっと自分のなかの何かがうごめくのを感じる。中学生の頃に『闘』を読んだ朝の読書時間を思い出し、そうそうこれこれ、幸田文はこういう読み方をさせる作家だった、と浸る。朝。夏休みの音がする。笛を吹く音と、水が弾けて鳴る音と、体重の軽い子どもが走るとき特有の音と。それをかき消すように飛行機が通過する、音が混ざり合う。いま何を考えていたんだっけ。ウォークインを開けると昨晩つけていたエアコンの冷気が残っていて、だから何というわけではないけれど、ああ冷気が残っているなあと思う。お盆は子どもの頃の記憶が引っ張られて出てきやすく、おじいちゃんの孫だったな、おばあちゃんの孫だったな、と思う日が多い。
- 2025年8月20日ハリー・ポッターと賢者の石J.K.ローリング,松岡佑子読書日記読み終わった8月某日 直近家のことが慌ただしく、初めて読む本へ向き合う集中力がなくなってしまった。『ダロウェイ夫人』を横へよけ、『灯台へ』をそっと閉じ、『たのしい保育園』を2/3読んだところでここ数日は枕元から動かしてすらない。昨日から、ドラマ版のハリーポッターに関するニュースがタイムラインをにぎわかしており、ダニエルたちと大人になったわたしはなんとも言えない複雑な気持ちで見ている。否定はしたくない、でもなにかが引っかかる。どうせ読めないからハリーポッターへ寄り道をしよう、ということで、この本はいつだって開けばするすると読めてしまうのだった。
- 2025年8月11日ジゴロとジゴレットサマセット・モーム,金原瑞人読書日記読み終わった8月某日(日) ようやっと『ジゴロとジゴレット』を読み終える。海外文学を読むときは、馴染みのない名前を覚えたり、見知らぬ土地を想像したりするから割と脳内が静かなんだけれど、モームに関しては「ああ〜〜面白い〜〜〜」とやかましい。甲乙つけ難いけど特に『征服されざる者』と『サナトリウム』が好きだった。 今日は金原さんの訳者あとがきを読んだら、いよいよ『ダロウェイ夫人』を読み始めるぞ。ウルフ1作品目のお供には、無印良品のコロンビアで作ったカフェオレを。 P232. 自分は精一杯楽しんできたのだから、死ぬ覚悟はできている。思い切り楽しいパーティだったが、パーティはいつか終わる。朝までいようが、真っ最中で抜けようが、なんの違いがある。
- 2025年8月8日ダロウェイ夫人ヴァージニア・ウルフ,丹治愛読書日記積読山に戻した8月某日(木) 日中落ち込むことがあって、とどめに言われたセリフがあたまのなかでリフレインする。遅めのお昼を食べるのに家を出て、ふとポストを見ると『ダロウェイ夫人』が届いていた。若い頃は嫌なことがあってもどこかで意識して「次がんばろう」って気持ちになろうとしていたけれど、最近は「ま、いっか。忘れよ。ダロウェイ夫人も届いたし」みたいな気持ちになる。こっちのほうが疲れなくて好きな思考回路。たまこさんと阿久津さんが『ダロウェイ夫人』を読んでる日々を眺めていて、絶対に読むぞ、すぐ読めなくても買って積むぞ…と思っていたところに、ちょうど文學界が特集を組んでくれたので即購入。雨のおかげで涼しくなった束の間に読むんだ。
- 2025年8月2日BRUTUS (ブルータス) 2025年 8/15号BRUTUS編集部読書日記読み終わった8月某日(土) 今日楽しかったこと。無印良品で飲んだカフェオレと抹茶のアイスが本当に美味しくて、窓から見える緑も穏やかで、アイスの溶けるスピードも焦らずに済む程度の緩やかさで、久しぶりにゆとりのある時間を過ごせた。唯一の心のこりはカフェオレに使われていた珈琲豆を買って帰らなかったこと。 今日知って好きになった文章。『見えてはいるが、誰も見ていないものを、見えるようにするのが、詩だ。(長田弘氏)』 今日観た映画。あのこは貴族。今日読んだ本。文芸ブルータス。
- 2025年7月30日ジゴロとジゴレットサマセット・モーム,金原瑞人読書日記読み終わった7月某日(火) とうとう『月と六ペンス』を読み終えてしまって、寂しい。とりあえずゴーギャンのことを調べて寂しさの穴埋めをしている。まだ自分のなかで「なにがこんなに良かったのか」言語化できていないけれど、モームを欲しているので『ジゴロとジゴレット』を読み始める。ところで最近のamazonは本当にいただけない。あまりにも雑な配送に腹が立つからここ2〜3ヶ月利用していなかったけれど、どうしても翌日配送してすぐに読みたかったから注文した…ものの、表紙が折れた状態で来て大憤慨。モームで怒りを鎮める。鎮まらん。
- 2025年7月27日月と六ペンスサマセット・モーム,William Somerset Maugham,金原瑞人読書日記読み終わった7月某日(土) 友だちから秋にあるイベントへ行かないかとお誘いの連絡がきた、手紙で。わくわくする。LINEですぐ聞けることなのに、手紙で聞かれたのがそこはかとなく嬉しい。お返事を書く葉書を探す。旅先でふきん作りと絵を描くおばあちゃんから購入した絵葉書を選んだ。たのしみ、それまでに夏のせいでおちた体力が戻るといいな。 最近は「午前中の涼しいうちに」がなくなってしまった。朝の早いうちから外気は33℃で、せっかく作ったホットコーヒーも少し冷ましてから飲む。まだまだ『月と六ペンス』を読んでいて、でもこれがものすごく面白くて、いまのところストリックランドのことがめちゃくちゃに嫌いだけれどここから変わるのだろうか。このままモームを楽しみたいという気分で、次は『お菓子とビール』もいいし、同じ金原さん翻訳の『人間の絆』もいい。
- 2025年7月16日月と六ペンスサマセット・モーム,William Somerset Maugham,金原瑞人読書日記読み終わった7月某日(水) 午後から用事で出かける。バス乗り場でおじいちゃんに「暑いなあ、いつまで続くんやろ」と話しかけられ、少しの時間にこにこ会話した。なんとなく今は、集中力がないと読みにくい本の気分で、『月と六ペンス』を選ぶ。バスのなかで開いたものの、周りの音に負けて目が滑りまくる。30分で15ページも読めなかった。以前いわた書店で購入したときの袋を解体して、ブックカバーにした。ページをめくるたび、心地よい紙の音がする。いいことがあった。同じくらい、つまらないこともあった。それでも今日もぐいぐい人生を進めるしかない。
- 2025年7月15日GOATチョン・セラン,小川哲,尾崎世界観,市川沙央,西加奈子読書日記読み終わった7月某日(月) もし仮にタイムトラベルが出来たとして、未来と過去のどちらへ行きたいかは、現在から見て長い方なんじゃないかと思っていた。子どもたちはこれから長く続く未来で、老人たちはこれまで長く続いてきた過去へ行きたいと思うんじゃないか、ずっと考えていた。でも、チョンヨンス氏の『未来のかけら』に登場する母親は真逆の考え方だった。15ページ程度の、それでいて濃い短編。母親。母親は強いということ。遠く。光る。未来。未来にあるものは素晴らしいということ。それがたとえ死だったとしても。 『未来のかけら』も収録された短編集が出版予定とのことで、いまから楽しみ。
- 2025年7月8日わからない岸本佐知子読書日記読み終わった7月某日(火) 金曜日は体調が良くもりもりとごはんも食べられたおかげか、土日のハードスケジュールも難なくこなせてるんるん気分だったのに、月曜日からぶり返す。調子に乗りすぎた、猛省。 小説が読みたい…できれば海外文学を…という、気持ちだけは人一倍あるけれど、いまはまったく読めず、2日ほどなにを読むか悩むのに費やし、岸本佐知子さんの『わからない』を再開。以前日記と、他のチャプターを少しだけ読み、本棚へ戻していた。久しぶりに読んでもおもしろくて、どうしても声を出して笑ってしまう。ここ数日はYouTubeで『笑ゥせぇるすまん』をちまちま観ている。こわい、こわい。夢に出てきませんように。
- 2025年7月4日レベル7(セブン)宮部みゆき読書日記読み終わった7月某日(金) 宮部みゆきの『レベル7』を読了。期待しすぎて読んだわたしが悪い。いまのところ『模倣犯』と『理由』が断トツ2トップ。 最近人生がぐりぐり動いている感じがする。自分たちで動かし始めたことなのにわたしも家族も戸惑っていて、追いつくだけで精一杯だなあ、と冷静な目でみている。午後は、親友へ手紙を書く。あんなに連絡を取っているのに、まだ書くことがあるのか、と思う。今回はプレゼントへ添えるものだし1枚だけにしようと決めて書き始めたけれど、どうしても書き足りなくて裏にも書いた。年々、手紙を送れる人が減っている。祖父へ書いていた日々が懐かしい。居ないひとのことを思い出すのにいつまで経っても慣れない。居ない、がずっと、在る。最近は選挙カーがやかましいので、静かな物語が読みたい。
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