なぜ脳はアートがわかるのか

8件の記録
- torajiro@torajiro2025年8月15日読み終わったノーベル生理学・医学賞を受賞しているカンデル博士の著作。脳科学を始めあらゆる領域の研究成果を参照しながらアート、特に抽象画や現代美術の受容について考察する一冊。視覚から入ってきた情報をボトムアップ的に処理する経路と、入ってきた情報に過去の経験からトップダウン的に解釈する経路の相互作用により各人の文脈による「わかる」が生じる。フォルムや色、光など特定の要素のみを意図的に取り出したり、強調したりする抽象画、現代美術は脳の情報処理の経路をハックしたようなものも多く、その感じさせる力は理にかなっている部分があることがよくわかる。このメタ認知が入った状態でアート作品を見にいくとまた違った楽しみ方ができそうだ。脳の構造としてのアート受容についてはある程度考えられたが、次はアート作品、特に現代の抽象芸術を好むかどうかに対しての個々人の差がどのように生じるのか、ブルデューの文化資本の継承的な話も含めて考えていきたい。何読むのがいいかなぁ。