

Eukalyptus
@euka_inrevarld
アーティスト、作曲家、哲学者、一応書店員。
人文書と理系の本が好きです。
哲学や自然科学、生物系を主に。
装丁や出版社もこだわりながら選びます。
- 2025年11月23日
木々は歌うD.G.ハスケル,屋代通子読み終わった買った読み終わりたくなくて渋っていたら半年くらい経ってしまったので一気に読みました。 ひたすらに面白すぎるというのが正直な感想なのだが、ハスケルの木々への解像度が物凄く高く、詩的でありながら具体的な想像をさせる文体で虜になってしまった。 あらゆる分野を横断しながら、木々が様々な生物などの関係から生み出す音の楽しさ。そして身近な木々につい思いを馳せたくなるような気分。世界各地の木々から読み取る社会そのものを色濃く描いている。そこには一括りにできない人種問題や差別も含まれている。 そして、最後の章は、原爆の爆風を乗り越えたゴヨウマツでした。 - 2025年11月23日
女の子のための西洋哲学入門キンバリー・K・ガーチャー,メリッサ・M・シュー,三木那由他,安倍里美,山森真衣子,木下頌子,村上祐子,権瞳,横田祐美子,清水晶子,筒井晴香,西條玲奈,酒井麻依子,青田麻未,飯塚理恵,鬼頭葉子読み終わった買った女性として生まれ、知らない内に取り上げられてきた数多くの要素について綴られた本書は、全ての人の心に響く本になっていると思う。 全20章、序章も軽いものではなく、ひとつひとつのトピックと向き合えばかなり精神に疲弊をもたらすほど、読了に時間を要したが、それだけきちんと読む必要があると思った。 そして、本書は西洋白人男性至上主義の世界を抜け出し、如何に女性の哲学者や研究者がいるか、そして彼女たちが私たちにかけがえのないエンパワーメントを与えてくれるだろう。 女性が哲学へと足を踏み入れるための活路はまだ残されている。その可能性を自らの手で潰さないように願うばかりだ。鍵の開いた鳥籠を抜け出すことは、私たちには可能だ。 - 2025年11月18日
- 2025年11月16日
香水ジャン・クロード・エレナ,芳野まい読み終わった買った香水について、淡々と語る書籍というのはそう多くはないのだが、白水社文庫クセジュにおける香水は、非常に読みやすい上に情報量が程よくて良かった。 とても読んでいて楽しかった。著者はエルメスの専属調香師で、かの有名な「庭」シリーズを生み出した張本人です。 初めは香水について浅いものが書かれているのだろうと思っていたが、いざ読んでみると驚かされた。 - 2025年11月14日
カント『判断力批判』入門高木駿読み終わった本書を読めばわかるのだが、本当にカントの『判断力批判』の中間書というのはほとんど無いか手頃な価格でもない。 大学生へ講義をしている時に要望があり生まれたのが本書だ。内容も簡潔で読みやすい。一部日本語の選択として気になる点はあったが、ざっくりと『判断力批判』におけるカントによる美についてを理解するにはとても良い本だと思う。 - 2025年11月12日
- 2025年11月12日
- 2025年11月12日
- 2025年11月2日
プラトンのプラトニック・ラブ國方栄二読み終わった買った全日本大学駅伝を見ながら読み終えた本① プラトンによる『プラトニック・ラブ』が本当はどういったものを指しているのかを、様々な古典から多角的な視点で考察された一冊。 選書なので読みやすい。章立てもよくできている。が、サラサラ読んでしまうくらい私にはまだ興味のある領域とは言えず、もう少し現代的に考察してくれるものと思ったが終始古典的で終わった。本書の冒頭でも、これは皆の思うプラトニック・ラブについての本ではないと記述があったが、本当にその通りである。しかしいつか必ず役に立つ時が来よう。そう思える書籍であった。 とても読みやすい。正直この内容で読みやすいのは凄いと思う。繰り返し読む価値はあるぞ。 - 2025年11月2日
深海の闇の奥へーー生物発光に魅せられた海洋学者の冒険エディス・ウィダー,橘明美読み終わった買った全日本大学駅伝を見ながら読み終えた本② マザーツリーよろしく、深海の生物発光に魅せられ、研究と共に深海観察機を用いて初のダイオウイカの撮影も成し遂げた女性海洋学者の自伝的生物書籍。 生物発光についての本は殆ど無く、ヘレン・スケールズの『深海学』でもわずかな記述しかなく、私としてはもっと生物発光について知りたいところだった。漸く出てきたのが本書であるが、そもそも深海のことなど、まだまだ未知の領域であり、その一角である生物発光なぞさらに未知の領域である。しかしながら生物発光についての書籍として大切な一冊となったことに間違いはないが、やはり彼女の自伝がメインであることは変わらないので、生物発光だけに特化した本ではなく、彼女の人生そのものを描いている。『マザーツリー』のような書き方で進むといえよう。欲を言えばもう少し生物発光のことを知りたかった!だからこそ厚みに対してすぐ読み終えたのだと思う! - 2025年10月30日
K-POPはなぜマイノリティを惹きつけるのかキム・セヨン,パク・キョンヒ,ヨン・ヘウォン,キム・ミンジョン読み終わった買った前々から気になっては買うのを迷いながらも、ジェンダー、ジェンダー・クィアへの関心が高まり、ZB1のコンサートへ向かう道中で読む本として"狙って"買ったのが大成功した。 これは単なるK-POPの歴史ではない。K-POPの歴史と共に発展したファンダムだけでもない。K-POPの歴史と共に発展した「クィア・ファンダム」に焦点が当てられている。クィア・コミュニティではどのようにK-POPが熱狂されてきたのかを2024年までの最新の情報と共にまとめられている。 中には日本でのファンダムともよく似た構造だけでなく、「女性」が如何に搾取される立場であるか、クィア・コミュニティがいかにファンダムから冷遇されてきたかなど、話の内容はとても重い。 また、脚注など、具体例も充実しており非常に読んでいて楽しい。自身がK-POPをかなり隅々まで把握しているので、それをなぞりながら考察していくのもとても良かった。 そしてK-POP産業の構造までを詳らかにしており、ファンとしてどのようにあるべきか、またファンダムはどのように蠢いているのかを深く理解することができる。 クィア・コミュニティはいつでも「無いもの」とされてしまう社会で、いかにK-POPから何を見出してきたのか、本書を構成するために挙った10人以上の方々に感謝申し上げたい。 - 2025年10月29日
問いが世界をつくりだす田村正資読み終わった『クィア・レヴィナス』の勢いそのままに、終わりを駆け抜けて読み終えた。 哲学書、博論本、哲学中間書に関して、初読で全てを理解するというのは難しい。私は予備知識も読みながら体得しているので、日々の生活の中で如何に哲学を経験するかが日々の読書の理解の鍵となってくる。 そんな中で本書は手を止める機会が数度あり、2ヶ月ほど読まなかっただろうか。しかしこれではいけないと、再度重い腰を上げ、スマホを見る時間を本書の読解に置き換えた。(おかげで日を跨いでしまった! メルロ=ポンティの哲学は私の製作意図に通ずるものがあり、今後もしかと読解を進めたいところだ。初読なのであれこれ言えないのが悔やまれる…。 - 2025年10月28日
クィア・レヴィナス古怒田望人/いりや読み終わったまた読んだ通読二回目。 今回はいりやさんのバックグラウンドなどを抱えた状態で読み始めた。 哲学に関する知識も日々じわりじわりとつけている中での読解は、初読と比較して遥かに向上した。 それを踏まえると不思議なのが、「同じ箇所で同じ想起をし、同じ問いが浮かんだこと」だ。 おおよそこれは三度、四度と読んでも同じ箇所で立ち止まることになるだろう。つまりはそこが私の中の考えの根幹である可能性が高い。そして私が関連すると考えている、モンティ・ライマン『皮膚、人間のすべてを語る』とアラン・コルバン『草のみずみずしさ』へと期待が湧いてくる。 そして「問い」に関してなのだが、ここで問いを立てても良いかもしれないが、私の中でもう少し育てていきたい部分でもある。が、「皮膚」の章で毎度立ち止まる瞬間が訪れるとまでは記しておく。 やはり後半の章が個人的には最も興味深く、駆け抜けるような読了感を得られる。読むほどに読みやすくなっていく書籍なので、この投稿が目に入った「あなた」には、是非ありのまま、いりやさんを応援して頂きたい。 - 2025年10月22日
となりの植物相談所シン・ヘウ,米津篤八読み終わった買った韓国のエッセイ集の割にかなり内容が重くて良かった。 植物に対する考え方が変わるのはほぼ当然で、観葉植物や切り花と私たちとの距離感など、本来育つべき環境で育つことのできない植物たちとの本当の距離感について深く考えさせられた。 観葉植物や花屋の花、ましてやその辺で花などを引っこ抜くなどがどうにもできない私。だけど植物を食べて生きている私。健康の為に忌避し、代替した植物が実は大量の伐採や違法な労働の対価である、なんてことは年々増加しているのではなかろうか。 そういった深いところまで考えさせてくれる植物学者で非常に美しい装丁を彩る植物画家でもある著者の、植物に対する真摯な姿勢が伝わる。 - 2025年10月21日
- 2025年10月21日
- 2025年10月21日
- 2025年10月21日
- 2025年10月17日
月とピエタ 下(2)大地幹読み終わった買った美大、ジェンダー、アンコンシャス・バイアス、同性愛、プラトニック・ラブ、アセクシュアル、家庭崩壊、キリスト教、アダルトチルドレン・・・この世の「複雑さ」全てを抱き抱えた至上の作品がここにある。 前半の生々しさに少し背筋が冷える思いをしたが、後半で涙が出るほどの美しさを感じた。どの場面を切り取っても、誰かがそれぞれ当てはまるような"境遇"が詰まっていた。私も例外無く、ある「複雑さ」に共感し、寄り添って貰ったように感じる。 - 2025年10月17日
月とピエタ 上(1)大地幹読み終わった買った美大、ジェンダー、アンコンシャス・バイアス、同性愛、プラトニック・ラブ、アセクシュアル、家庭崩壊、キリスト教、アダルトチルドレン・・・思いつく「複雑さ」全てを抱き抱えた至上の作品が此処にある。 コミックにしても薄いのに中身の読み応えは至極。あまりにも"リアル"でゾクゾクした。
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