あつあつを召し上がれ

30件の記録
- えび@robi_xiaoEB2025年7月19日読み終わった「あつあつを召し上がれ」小川糸著 この短編集は、食事を題材とすることの多い小川糸さんらしい作品がぎゅうぎゅうになっていて、とくにこの中の”さよなら松茸”という短編がとても心に染みてしまった。 これは10年同棲したふたりが、お別れをする前に決めていた能登への旅行を最後の時間として過ごす内容なんだけど、これが自分の心にとても効いてくる。よく効いてくる話ってどうしたら効いてくるのかな?真実に似ていればなのか、自分の経験に似ているかなのか… “手を繋いだり、新しいお店を探したり、同じ本を読んで感想を言い合ったり、テレビを見たり、お風呂に入ったり。今まで当たり前のようにあったそういう時間も、二度と戻らない。これからは、別々に暮らす。もう、能登空港の売店で好物のサバ寿司を買って帰っても、一人では食べきれない”(62pより) なんで失恋とか、浮気とか、そういう本があって、わたしたちはそれを読むのだろう。なんでわざわざ胸がつまるような、知らなくてもいい言葉や気持ちを味わうのだろう。人生だけでも充分にいろいろあるのに、自分ではないところの物語にまで入っていくんだろう? 現実の別れってのはいつだって雑で、生々しくて、曖昧だ。もしかしたら小説がもたらすのはそんな曖昧な痛みへのちょっとしたウォームアップだったり、新しい物語を手にすることで確認する忘れるための行為なのかもね。
- ぼう@book_252025年6月17日読み終わった味と思い出が描かれた短いお話が集まった作品。 心が温まったり、切なくて胸がキュッとなったりしました🍧 同じ料理を作っても全く同じ味ができないように、その時その場所でその人と食べる食事って実はすごくかけがえのないもので、儚いことなんだと感じました🍴 作り手にも食べる方にも料理には思い出があって、食べるたびに思い出すような強烈な記憶や、ふとした瞬間に突然思い出す懐かしい記憶とかたくさんの想いがつまっているはず。 これからの人生でもっともっと思い出を増やしていきたいと思いました。 7つのお話がある中で、「こーちゃんのおみそ汁」「いとしのハートコロリット」が刺さって、うるうるとしてしまいました。
- みくら@mikura7272025年4月6日読み終わった祖母の介護、プロポーズ、別れ話。それぞれの主人公たちの人生の節目には、美味しい料理が寄り添っている。六篇からなる短篇集。 どの作品も切なさと、それでも生きようとする希望のひかりが満ちていて美しいし、なにより料理の描写が美味しそう。特に、奥能登の旅館で離別前の最後の晩餐として松茸フルコースを一緒に食べるカップルの話「さよなら松茸」が心に残りました。
- 猫@mao10122025年3月7日かつて読んだ『美味しい物を食べている時が、一番幸せなのだ。嫌なこととか、苦しいこととか、その時だけは全部忘れることができる。』 『食べ物』に対する意識や価値観の違いは、案外とても大きい。 七つの物語のそれぞれに、あたたかさと慈しみが溢れるように込められている。 あつあつの食べ物たちに、思いを込めて、あつあつのうちにその美しい食べ物たちをぺろりと頂くのだ。