遠い声、遠い部屋
14件の記録
sataka@satakan_4432026年3月18日読み終わった想像以上に南部ゴシック。主要な登場人物は皆何かしらに囚われていて、どこか遠くのものに心惹かれている。孤独な子供らしい主人公の空想癖と幻想的な描写が合わさって、夢現の中を彷徨うような終盤の美しさは絶品だった。カポーティを舐めてましたね。



ゆかり|本を語るときに私の語ること@yukarigram2026年3月9日読み終わったカポーティ『遠い声、遠い部屋』読了。 母親が死んでしまったジョエルは、13歳の誕生日に行方不明の父親から引き取りたいと手紙をもらう。浮き足立って南部の小さい街に越していくと、なんやら挙動不審な大人たちしかおらず、肝心の父親にはなかなか会わせてもらえない。心細いが気に入られないと居場所もなくなっちゃうし、という訳で、できるヤツアピールしながら可愛げもアピール。転校生的な努力で溶け込もうとがんばるが、やっぱ居心地悪いっす、でももうここしかないんだね、という話。 知らない土地に住む緊張、ましてやそれが自分の新しい家や家族となると自分のパーソナルスペースギリギリまで赤の他人が迫ってくるわけで、まぁまぁしんどい。そこを生き抜こうとするジョエルが迷い込む、南部の町や人々の不気味さが際立っていて、ある意味ホラー感もあるのだけれど、それはまさに13歳の少年の現実なんだろう。何も知らない場所に飛び込んだ時の、輪郭があいまいな世界が、あいまいなまま描かれている。 この作品はカポーティの自伝的小説らしい。それが本当なら、ジョエルはいつの日か成長してこの町を去っていく。子供から大人になりかけのあやふやな自己、それをとりまくあやふやな世界、そこにクイアな要素も相まって、ひたすらにほの暗く、妖艶な夢の中を漂うような作品なのでした。










