ヨーゼフ・メンゲレの逃亡
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シモン@yansimon071103202026年3月14日読み始めた読み終わったノンフィクション小説。 ヨーゼフ・メンゲレとはナチス親衛隊大尉としてアウシュビッツ収容所の医師を務めた男。ジャーナリズムは彼を「死の天使」と呼んだ。 卑怯で卑小な姿で逃亡し続ける。最期までその優生思想とやらを固持し悔恨の思いは一欠片もなかったのだろうか。絶望的な半生、人格を前に呆然としてしまう。


K@readskei2026年3月12日読み終わった「死の天使」と恐れられたアウシュヴィッツの医師・メンゲレが「天使なんかじゃない」ことを、傲慢で卑劣で矮小な人間だということを、ドキュメンタリーのように魅せる小説。 自分は間違っていないと胸を張るナチ残党を主人公に据えながら、読者による逃亡劇の応援をゆるく拒み、むしろ人としての非道さ・情けなさを浮上させる筆致がしたたか。







きのしたことり@bennynjets_92232026年2月18日かつて読んだ@ 湯河原町映画化されるとのことでこの本の思い出と感想をつらつらと。 数年前、会社員としての文法に身を浸して生きることに消耗し、逃げるように湯河原の温泉宿を予約した際に積読消化として持参して読んだ。 明らかに癒しの湯治を求めた旅先で読む本ではない。だが、人生においては、殊にファシズムの足音が近づいてくる昨今においては、間違いなく読むべき一冊である。 ヨーゼフ・メンゲレは、ナチス政権下で優生思想の下、残虐な人体実験を数々行った人物で「死の天使」の異名を持つ。そんなメンゲレは戦後南米に逃亡し、ついぞ司法による裁きを受けることなくこの世を去った。 事実と罪が明らかにされないまま遺された者の虚しさを偲ぶだけで心が裂けそうだし、その後数々のホロコースト否認が行われたこと(実にとんでもない話だ。知らない人はアーヴィング対ペンギンブックス・リップシュタット事件等を調べてみて)を考えると彼の罪が裁かれず証言が得られなかったことは大きな損失だが、この作品はその失われた時間と事実を緻密な取材と資料収集で可能な限り炙り出し、「死の天使」がいかに卑劣で自らの罪に向き合おうともしなかったかを克明に描く。彼の心情や一部の動向は創作だけれど、その創作は遺された者に寄り添う支えとなるだろうし、同時に忍び寄るファシズムをうち払う灯火にもなると思う。 なぜ同じ人間が史上稀に見る残虐な行為を当たり前のように行ったのか、その人間は何を考えていたのか。そこに想いを馳せることは決して無駄ではないはずだ。 ちなみに湯河原は川のせせらぎと山の緑に囲まれた穏やかな温泉町で、お湯がとても滑らかでこの重たい本を読破する支えになってくれた。









