読了。 この物語の中に自分が必要としていた言葉があったと感じられる、そんな物語だった。巻末の、作者が日本の読者へ向けたあとがきに綴られた、「人の善意を信じている」という言葉どおりの物語だった。

以前図書館で借りて読んだけど、とても良かったので借りないで買ったらよかったと思っていたので、買ってパラパラとめくっている。 最近読んでいる『沖縄 スパイ』の日本の加害は日本の領土で起きた日本人(沖縄人)と朝鮮人に対するジェノサイドだったが、こちらはある一人の女性がたくさんの差別を日本人からだけでなく同胞からも受けながらの生涯で、視点は違うけどどちらも歴史から消されてなかったことにされた人たちの物語という点では似ている。 なかったことにせずに小説として語り継ぐという信念があるように思う。

『私が失ったのは欺瞞を捨てられない人間だったけど、彼が失ったのはそういう愛情だった。 お互いが失ったものをめぐって競うようなことはしたくないけど、少なくともその競争において私は敗者ではなかった。』 ここの文章に散々に救われた。大事な物語だった。

小説を読んで泣くこと滅多にないんだけど、これはまだ前半なのにボロボロ泣いてる。 神保町の韓国書籍を取り扱っている書店チェッコリさんでおすすめしてもらった本。 これといっしょにおすすめしてもらった『アンダー、サンダー、テンダー』もすごくよかったし、本当にわたしにぴったりの本をおすすめしてくれたなあと感動🥺