本編珠玉、あとがき必読。 BLとSFの親和性ってそういうことだったんだ！と忘れられない。

全体的に切なくロマンチック、幻想的な話が多かったのですが、そのなかで異色を放っていてスゲェ……となったのが「断」（木原音瀬）でした。 とつぜん精子が死滅する音が聞こえるようになってしまい気がおかしくなるユータと、ユータを気に入り懐くキラ。ユータは異性愛者として生きているので最初はキラを鬱陶しく思うんですが、精子の死滅音を聞きたくない＝自慰できない、キラに飲み込んでもらい、ずぶずぶない関係になっていく。タイトルの「断」といのは断絶の断。宇宙人が地球を滅ぼすと訴える配信動画や精子の死滅から種の断絶を思わせる話になっているのですが、とにかくビビったのが終わり方で、これたぶんいろんな解釈があると思うのですが、えっ！このあとどうなる…？と思わせるラストで、なんというか物語の終わりっぽくない、まだ続きそうなのに、まさに遮断されてしまったような幕引きで、でもそれが逆に想像の余地をめちゃくちゃ与えてくるので、「断」だけどずっと続いていく余韻……なかなかない読後感でした