ハロー、ベイビー
21件の記録
読谷 文@fumi_yomitani2026年7月12日読み終わったここまで不妊治療そのものを中心に据えた文学は初めてではないだろうか。当事者として、書かれている治療の辛さや心境の一言一句が痛いほどわかった。 日本での不妊治療は菅政権時代に保険適用になったとはいえ、それでも高額な治療は言うなれば「一回数十万円のくじ引き何回引けますか」という世界だ。そうまでして果敢に治療に挑んでも成功の保証はなく、身体・財布・精神を否応なく追いつめてしまう。韓国にあっては、周囲からのプレッシャーは日本以上だと想像される。 同じ病院に通い、共通の目標を持つ者たちのコミュニティは、相手の成果を100パーセント喜べるわけでもない。 そんな場所に小さく巻き起こった波紋は、不穏な予感を読者にちらつかせながら、やがて思いもよらない大きな渦となってゆく。嵐に巻き込まれながらも、最後に女たちが見せるいたわりの姿勢には、大いに胸を打たれた。 読了後は何とも言い難い感慨におそわれ、しばらく現実に戻れなかった。 小山内園子さんの訳文はもちろんのこと、訳者あとがきも本当に素晴らしかったです。






























