プラネタリウムのふたご

13件の記録
- ゆうすけ | オガノート@ogayuppy2025年9月29日読み終わった友人に薦められたこちらの本。いしいしんじさんという作者も初めましてですが、文学部出身の友人が太鼓判を押すなら間違いないだろうと。 これがまぁ……とても美しい物語でした。500ページもあるのですが、この厚みの1ページ1ページが全て美しかった。 プラネタリウムに拾われた双子、ペンテルとタットルの数奇な運命。(おそらく一卵性で)そっくりだけど、少し性格の違う2人は、ある事件を機に全く違う人生を歩み始める。タットルは村で郵便配達とプラネタリウムの語り部に、ペンテルは稀代の手品師に。 終始穏やかな起伏の物語で、たゆたう優しい時間の流れの中、ぽつりぽつりと大切なことが語られていく。 「どんな悲しい、つらいはなしの中にも、光の粒が、救いのかけらが、ほんのわずかにせよ含まれているんだよ。」 どんなに実直に、平穏な毎日を送っていても、それでも起きてほしくないことは起きてしまう。運命はタイミングを選ばない。 物語中最大の悲しみを乗り越えた先に登場人物たちが見つけた「光の粒」「救いのかけら」の美しさに駅のホームでしばらく動けなくなってしまったーー読書で本当に涙が出たのは久しぶり。 「プラネタリウム」と「手品師」の対比も素晴らしかった。永遠の奇跡と刹那の奇跡、それぞれの物語を伝える双子。どちらにも憧れ、必要とする人たちがいて、目を輝かせる。 「だまされる才覚がひとにないと、この世はかさっかさの、笑いもなにもない、どんづまりの世界になってしまう。」 星はただの光で、手品は嘘かもしれないけど、自分の世界を美しく輝かせるものなら騙されていたい。 それは「騙される」というより「信じる」に近いかもしれないけど。 僕は僕の信じる美しさを信じ続けようと思った本でした。
- 𝘪𝘯𝘰𝘳𝘪@fysminr2021年10月7日読み終わった@ 自宅すきだ……! きれいな物語だった 老婆とテンペルが亡くなる場面が辛かったけれど総じてきらきらしてて美しいお話だった 絵本みたい テンペルが死ぬ前後に彼自身の遺言や心情描写が無かったのに感動した 彼は手品師として生きて手品師として死んだんだ 種明かしもしないまま あとタットルがテンペルの振りをして栓ぬきに会いに行った場面で、タットルの表記がテンペルの名になっていたところが大好き 彼はテンペルでありタットルであったから あと双子で同じ表現に違いがあるのも好きだった 「タットルは胸に湿ったものを押し付けられた気がした」 「テンペルは胸にかたいものを押し付けられた気がした」 うろ覚えだけれど