雨の島

12件の記録
- ricochet@ricochet2025年4月30日読み終わった借りてきた誠実な筆致から描き出される、細密でありながら時に滲んだような陰影と広がりのある世界が美しい。ただ、大切な人の喪失というテーマをいくらかでもエモーショナルに描く作品について、私はどうも一線を引きがちであり、あまりいい読者ではなかったかもしれない。(これはあまり人には言いにくい理由からだし、この作品が感傷的だという気は全くないけれど。) そして喪失と再生の物語だと思って読んでいたら、作者後記で「私は小説という形式を借りて、人間と環境の関係の変化、人間と種との関係について想像し、一つの生物としての人間の精神の進化を、特にこの私が生まれ育った島国である台湾において感じとろうとした。」とあってちょっと混乱。 愛する人を喪った登場人物たちは、彼らとのつながりを追い求めるように自然の中に分け入り、交感し、そこに徴を読み取り、世界と新たな関係を築き直す。最後の「サシバ、ベンガル虎および七人の少年少女」のなかで出てくるプロローグでは、はるか昔、人間と動物は同じ言葉を話していたと語られる。しかし、象徴を読み取る生き物は恐らく私たちだけであり、そのため私たちは私たちの言葉を発達させていった。そういった過程のことを指しているのだろうか。
- yuna-yuna@yunaminxxxtvxq2025年4月30日また読みたい時折思い出してはまた読み耽りたくなる一冊。また読みたい気持ちがわーっと。あぁでも読みかけの本が数冊…… 梅雨の雨と緑が茂るころに読もうかな