椿の海の記

30件の記録
- まつこ@matsuko--Books2025年9月4日まだ読んでる心に残る一節人の言葉を幾重につないだところで、人間同士の言葉でしかないという最初の認識が来た。草木やけものたちにはそれはおそらく通じない。無花果の実が熟れて地に落ちるさえ、熟しかたに微妙なちがいがあるように、あの深い未分化の世界と呼吸しあったまんま、しつらえられた時間の緯度をすこしずつふみはずし、人間はたったひとりでこの世に生まれ落ちて来て、大人になるほどに泣いたり舞うたりする。そのようなものたちをつくり出してくる生命界のみなもとを思っただけでも、言葉でこの世をあらわすことは、千年たっても万年たっても出来そうになかった。
- 朝稲 青沙@aosaaosayomuyomu2025年7月28日読んでるまだ読んでる197ページにジャノヒゲという植物の説明があって、実家の庭にも生えていたのではないかと検索するとやっぱりそうだった。青い実を摘み取っておままごとに使っていた。植物ひとつのことで、ここまで美しい文章が書けることに感服する。
- 朝稲 青沙@aosaaosayomuyomu2025年6月18日読んでる京都行きの新幹線の中で読んでいた。 「世良博士がな、数々解剖も手がけたが、これほど美しか、立派なよか肺を持っとる娘は、見たこと無かち、そがんいわいたぞ」と言って泣く亀太郎のくだりに胸打たれた。