何故エリーズは語らなかったのか? Why Didn’t Elise Speak?

何故エリーズは語らなかったのか? Why Didn’t Elise Speak?
何故エリーズは語らなかったのか? Why Didn’t Elise Speak?
森博嗣
講談社
2024年4月12日
17件の記録
  • @sotaono
    2026年7月31日
    p9 「エリーズ・ギャロワが僕に会いたがっている、と聞いたのは一カ月ほどまえのことだった。」 p10 「誰でも、誰かに会いたいと考える自由を持っている。」 p12 「おそらく。日本にいる家族と接するためだろう。」 p16 「その声はクラリスだった。親しくしているトランスファである。」 p18 「「究極の恵み?」」 p19 「「神の賜物?最後の賜物ですか?なにか人を幸せにしてくれるものでしょうか?」」 p21 「そういった思考を巡らすのも恵みかな?そして、いつかきっと、エリーズ・ギャロワ博士に会えるのだろう、とも予感した。」 p22 「物々しい警戒の中、僕とヴォッシュは久しぶりの邂逅を楽しんだ。」 p24 「「それ以外にも、プレゼント・プルーフと呼ばれることもあります。この名称は、三十年ほどまえに、ギャロワ博士自身が論文の中で使用したものです。その点が、世間で流れている俗称とは違います。ただ、その論文では、システム名でもプログラム名でもなく、単にヴァーチャルの世界に欠けているもの、として登場しました。」」 p28 「「意識それ自体が、私たちにとっては単なる仮説です。」クラリスは言った。」 p27 「「クラリスから、賜物とは人間の意識のことではないか、とのお話を伺いました。」オーロラは微笑みを湛えながら話した。」 p30 「オーロラは頷いた。最初にあった頃と変わりないのだが、どんどんお淑やかになり、人間らしくなっている。」 p33 「「私は、マガタ・シキ博士との関係ではないか、と想像いたします。」」 p34 「「究極の恵みを、究極のプログラムだとイメージしているんだね?言葉をかけたの?」」 p37 「綺麗に社会から抜け出したいニーズに応えたものかもしれない。」 p42 「彼女は、次の世代に人生の重点を置いているようだから、その分、僕に対する要求が穏やかになったのかもしれない。」 p42 「ロジは、日本で成長している我が子の話をした。」 p50 「「ふん……。」運転しているロジが鼻から息を漏らした。「そんなこともわからないの?」「そんなこと、というのは、どのような意味でしょうか?いえ、非難ではありません。誤解のないように。この程度のことは、理解して当然だとの意見をお持ちだと匂わせているわけですね?私には、その根拠、あるいは測定の方法がわかりません。それをお尋ねしています。」「なんとなく。」」 p51 「「そうそう、思い出した。つまりね。あの隣の老人は、プログラムのバグだったんだよ。その可能性を思いついただけ。」」 p51 「「どこを調べるのですか?」ロジとクラリスが同時に同じ質問をした。「おや、案外、気が合うんじゃない?」僕は笑ってしまった。しばらく、沈黙が続く。ロジは前を向いて運転している。クラリスも黙っている。もしかしたら、怒っているのか?」 p54 「ヴォッシュも僕も研究者だから、説明は抽象的なほど説得力を有する。」 p54 「その後、オーロラとまたヴァーチャルで会った。彼女は、マガタ・シキ博士と親密な関係を持っている。」 p55 「「マガタ博士は、ご存知ありませんでした。ギャロワ博士とも、これまで関係を持ったことはないそうです。ただ、究極の恵み、あるいは、神の最後の賜物という名称はご存知でした。そういったものを、ヴァーチャルへシフトした人々が願うようになるはずだ、と予測されていました。」」 p55 「「生きている価値、その中でも、自身に満足し、生活に潤いを感じさせるようなもの、簡単にいえば……。」オーロラは、そこで二秒ほど間を置いた。「幸せを創出するプログラムだろう、とのことです。」」 p57 「リアルとヴァーチャルは、単なる表裏であり、どちらに軸足を置くかの違いでしかないのだろう。」 p59 「「子供は順調?」「もちろんです。順調じゃなかったら、ここにいません。」「そうだね。そろそろ、名前を決めないといけないのでは?」」 p71 「どのように考えるのも、自由であり、個人の権利として認められているからだ。」 p75 「死んでも、不自由だということだ。死は、自由を獲得するものではない。」 p75 「それ以前に、どんな理由で死が選択されたのか。ヴァーチャルで博士は生き続けているはずだから、これを死として捉えること自体が間違いかもしれない。単なる廃棄、あるいは処理でしかない。」 p78 「「天才の考えることは、私たちには想像もできません。」」 p87 「「ああ、なんとなく……。その、上の空といっても、悩んでいるようには見えなかった。なんだか、少し笑っているようで、いつも楽しそうだった。だから、楽しいことを考えていて、それで頭がいっぱいのように見えた。」」 p89 「「知っていますよ。実はリアルで、私の家の隣に住んでいました。」」 p91 「「いいえ、にこやかで、嬉しそうに見えました。でも、どう感じていたかは、見かけではわかりませんよね。そういうものでは?」」 p95 「「人間の欲望というのは、眠らない、諦めない、決して消えないということか。」」 p100 「「スリルなんて、いらないものだよ。本気でスリルを味わうなんて、病的だと思うな。危険なことに挑戦するのは、成功したときに大勢から拍手を受けられるからじゃない?」「いえ、それは違います。自分が拍手をしてくれるんです。」」 p101 「「なにかの困難を乗り越えたとき、自分を褒められる。それが幸せだと私は思います。そういう体験はありませんか?」」 p102 「「いや、価値観はお互いに尊重しなければならないけれど、価値観を合わせる必要なんて全然ない。違っていた方が面白い。」「でも、価値観を一致させなければならないときだってあります。」」 p104 「「幸せというのは、難しいものですね。」クラリスが言った。」 p104 「「特に問題がない場合においても、それぞれに期待するものが違うのが普通です。すると、お互いが、自分の期待するものを相手に求めようとします。」」 p105 「「自分がどれくらい幸せかなんて、メータがあるわけでもないし、評価する数値もない。なんとなくってこと。たとえば、他人と比べる人もいる。自分が幸せなのに、身近にもっと幸せな人がいると、嫉妬したりして、自分を不幸せにしてしまう。逆に他人の幸せな様子を見るだけで、自分も幸せになれる人もいる。」」 p107 「「幸せというものの大部分は、自分で自分を騙している。騙されたいことに近づき、騙されて嬉しくなる。そんなメカニズムかもしれない。」」 p109 「「いえ、よくわかりません。」」 p117 「この人工知能は、ベルベットという名で、かつて僕とロジは、そこで戦闘的な攻防を経験している。ベルベットは、反政府的な運動に関わっていたが、ヴォッシュによって解放され、現在はフランスを代表する知能として活躍している。」 p118 「本人は、自分がエリーズ・ギャロワ博士だと名乗り、五年ほどまえにこちらへ移住した、現在は研究からは引退し、ここで神に祈る毎日だ、と話したという。」 p118 「そして、まちがいなく、ギャロワ本人だと確定された。世界中で捜索が行われていたことを、彼女は知らなかった。世間とは隔絶した環境に置かれていたからだ。」 p124 「彼女は、何故なにも語らないのか。」 p126 「だから、あのときと同じメンバが図らずも勢揃いしたことになる。」 p135 「ベルベットとは、望めばいつでも、どこにいても話ができるはずだ。」 p136 「「ヴォッシュ博士、お会いできて嬉しく思います。」中性的な声が聞こえてきた。「グアトさん、ロジさん、こんにちは。私は生まれ変わりましたので、以前にお会いしたときの記憶はありません。しかし、そのときのことは聞いております。大変申し訳ありませんでした。」」 p138 「「私にはわかりません。」ベルベットは答える。それは、人工知能が滅多に使わない言葉だった。」 p143 「「憧れの存在だって、いうところだけれど……。」「そんな話、聞いたことありません。」ロジが言った。「それは、その、なんていうか、なかなか、恥ずかしくてさ、言えないことだってあるから。」」 p146 「「エリーズ・ギャロワは、当時、アースというハンドルで活躍したハッカでした。」」 p148 「「あまりにも善に溢れた社会では、真水で生きられない魚みたいに、人間も生きていられないのかもしれませんね。」」 p159 「「不満を抱く精神というのは、妄想であっても増長し、憎しみに変異するようです。」」 p166 「「私は、あの方のコピィです。彼の方の存在が、私の基本でした。掛け替えのない存在といえます。」」 p172 「「ジョークです。」アミラが言った。「グアトさんならわかるだろうと演算しました。」」 p174 「「そうです。覚悟しておけば、ショックは少ない。」「ショックは少なくても、ダメージは大きい。」」 p174 「「こちらが手をこまねているのを見て、もどかしく思っている。口出ししたくなる。人工であれ、天然であれ、知能というのは、高くなるほどおせっかいになりますからね。」「そういう気持ちがわかるんですね。」」 p176 「「マガタ博士は、ギャロワ博士と面識はなく、話したこともないそうです。才能は認めていたが、自分に影響するようなことはないと見切っていた、とおっしゃいました。」」 p178 「「あ、そうか!」僕は叫んだ。そして、オーロラを指差した。「君だ!それに、アミラもそうだ!そうか、それを思いついたのは、君?凄いじゃないか!で、もう、それ、調べたんだね?」「はい。」オーロラは、静かに微笑んだ。」 p184 「「恥ずかしい?」僕はオーロラのその発言に驚いた。」 p186 「「そう……、本当に……、君は賢いね。」「ありがとうございます。」」 p189 「ギャロワ博士は、自分の仕事を、最愛の娘に手伝わせていた。」 p190 「そのあたりの話を、娘のエリーズ・ギャロワは語らない。もちろん、母親の彼女も、何も語っていなかった。2人が共に心血を注いだソフトウェアは、大規模な知能に育ったが、これも隠れた存在でしかなく、目立った動きを見せず、メッセージなども発していない。」 p191 「エリーズ・ギャロワは、その内部で、黙っている。静かに籠っている。」 p195 「「オーロラ・レポートが、起死回生の一発になったのですから、貴方が相応しい。みんなが拍手を送るでしょう。いえ、一分程度でけっこうです。どうかよろしくお願いいたします。」」 p211 「「エリーズ・ギャロワを解放することだ。」」 p211 「「たまたま、主人がパーティに参加するからついてきただけ。このドレスを見たら、わかるでしょう?」」 p221 「「ああいうことがあるから、最初に写真を撮っておくべきだった。」僕は小声で言った。「何の写真ですか?」セリンがきいた。「ロジの。」僕は彼女に耳打ちした。「聞こえていますよ。」ロジが呟く。「撮ってあります。」セリンが微笑んだ。」 p223 「ただ単に、娘を自分のところへ連れてこさせようとした。それだけの動機だったのではないか。」 p237 「これらが、影の人工知能がデータ削除の作業で見逃したリアルの歪みだったのだ。そう、現実はそういった歪みでいっぱいだ。ヴァーチャルのように、皺なく布を広げることはできないのである。」 p243 「「カトリナ、こちらへ来なさい。」ヴォッシュが呼んだ。」 p245 「「場所に意味はありません。お互いが会うことを希望している場合には、会うことが可能となります。」」 p250 「「いやいや、私は良い意味でナイーブと言ったつもりです。繊細という意味よりも、率直である、との意味です。どちらにしても、余計なことを言いました。」」 p251 「僕は、彼女の顔を見た。いつもと違う。頬が濡れている。目が赤い。泣いているのだ。」 p252 「「人間って、ずうっと同じじゃないんだ。少しずつ変わるし、あるとき、急に変わることもある。特に、その、君は……。」「子供を産んだからですか?私じゃない血が混ざったから?」」 p253 「ロジはまた両手で顔を隠す。今度は声を上げて泣きだした。「だから……、逃がして、あげたくなった。早くおうちへ帰りなさいって……。」」 p253 「でも、彼女の頭を引き寄せた。ロジは、まだ啜り泣いている。理由なんてどうでも良い、と思った。そもそも、これが本来の彼女なんだ、とわかった。」 p254 「言葉はいろいろ思いついたけれど、どれもずれているように感じる。まあ、言葉というものは、そんな程度のもの。それに、人間って、だいたいずれているんだな。生まれたときには、そうじゃなかったのに、成長するほどずれてくる。本当の自分から、周囲に合わせ、社会に合わせ、少しずつずれていくんだ。それに、ときどき気づいて、泣きたくなる。だから、泣けば良い。泣いている彼女を、僕は抱いていれば良い。」 p254 「そうか……、神の恵みって、そういうことか。あまりにもナイーブなんだ、人間って。生きていくには、ナイーブすぎる。そういうことか。」 p258 「「この世から、とおっしゃいましたが、その世とは、リアルですが、ヴァーチャルですか?」この質問をしたのは、オーロラだった。全員が彼女に注目した。さすがに、オーロラが最も事態を理解している、と僕にははわかった。もう既に、オーロラはすべてに気づいていて、僕の説明を補足しようとしているのだ。」 p258 「ヴォッシュはもう気づいているようだ。穏やかに微笑んでいたからだ。」 p259 「「リアルの人間は、どこから来て、どこへ行くのでしょうか?」」 p260 「「ヴァーチャルでの死を、実現するプログラムだったわけだ。」」 p263 「「博士は、究極の恵みを与えられた。そして、天国に召されたのです。」」 p263 「本当の天国を用意する必要がある、と考えた天才がいたのだ。」 p264 「これも、そうやって理由を作って、現実を受け入れる人間らしい手法だろう。」 p266 「「それは、マガタ博士の<共通思考>のような存在でしょうか?」クラリスはきいた。」 p266 「「ああ、オーロラの入れ知恵か……。彼女は賢すぎる。うん、まあ、そうだね、そんなところかな。」」 p267 「「だから、死に追いかけられているからこそ、有意義な生き方ができる、という二次的な効果がある。」」 p267 「「そうだね。自分の死については、ないかもしれない。でも、他者の死がある。愛する人を失うことで、その人への想いが確定的になる、という効果はある。これが一次的かもしれない。それに、死があるからこそ、生きていることの価値が生まれているようにも思える。相反するものが存在して、初めて存在が確立するものは自然界にも多い。」」
  • 水源
    水源
    @fountainhead
    2026年5月12日
  • @crad4q
    2026年5月4日
    昨日「忘らるる惑星」を読んだ後、そう言えば最新刊を読んでなかったわ、と思い出した。 「究極の恵み」に関してはなるほどなあと思いながら読んだ。個人的には納得。
  • noirlog
    noirlog
    @noirlog
    2026年2月23日
    あれ、この世界って死ねないんだっけ? 削除というより、いなかったという状況が望みだった? もうこの世界の人々の考えは進み過ぎていて2026年の自分には難しい。
  • noirlog
    noirlog
    @noirlog
    2026年2月20日
  • shiho
    shiho
    @takeshiho22
    2025年12月31日
  • もみの木
    もみの木
    @mominoki
    2025年12月13日
    護るものが出来ると強くなる。母強し。みたいな言葉があるけど、作品中ではソフト的に弱くなってる。 百年シリーズも初読では難しい、理解できないって感想だったけど、寝かせて10年後くらいに読めば、時代も進んで、分かるようになるかも。
  • 緑の杜
    緑の杜
    @araki_0527
    2025年11月6日
  • もち
    もち
    @noro_30
    2025年10月27日
    最新刊に追いついた…? 毎度のことながら、しあわせについて考えさせられた。終わりがあってこそ、楽しいのだろうか。
    何故エリーズは語らなかったのか? Why Didn’t Elise Speak?
  • @who_you
    2025年9月22日
  • トモ
    @tomoyamagu
    2025年9月4日
  • トモ
    @tomoyamagu
    2025年8月27日
  • 朝胡
    朝胡
    @asahisa22
    2025年8月23日
    旅のおともとして、好きで読みやすいシリーズを選んだ。優雅に読むのが楽しく、幸せな彩りになった。 今作は、ロジ視点が新鮮で楽しかったなあ。 弱さや不完全を肯定するような内容を感じるのは、時勢ゆえか、私の関心ゆえか。
  • 朝胡
    朝胡
    @asahisa22
    2025年8月22日
    旅先で読む本として、選んだ。 相変わらず、WWシリーズは面白くて好きだ。SFとしての発想の飛躍と、ミステリとしての着地が楽しい。
  • muzie
    muzie
    @muzie
    2025年5月29日
  • かなぶん
    かなぶん
    @itachi0907
    2025年1月25日
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