白さぎ

7件の記録
彩@aya_toto2025年10月31日読み終わったついさっき読んだ、小川洋子さんの『サイレントシンガー』がこの作品に似てるな、と思って再読。 石井桃子さんの翻訳がやっぱり素晴らしい。 テーマ性は巧妙に隠されているのに、何か芯みたいなものを受け取った気持ちになる。 読み終わったあとの、登山した後のような清々しさ。 自然描写の美しさと、少女の達観した視点。 こういう本は、現代作家さんではなかなか読めない。 ぜひ、大きくなる前のティーンにも届いて欲しいな、と思います。




なないろ文庫@nanairo_bookshelf2025年9月7日読み終わった@ 図書館絵本としては邦訳初出版とのこと。 ジュエットは児童文学の作家ではなく、この『白さぎ』という物語も子どものために書かれた短編ではない。 にもかかわらず、アメリカでは1963年にクーニーが絵を付け、絵本として出版されている。 祖母と2人、農場に暮らし、自然を余すところなく享受し愛する少女・シルヴィア。 彼女の前に突然現れた鳥打ちの若者。 彼に惹かれ(初恋?)、その熱に突き動かされていくシルヴィアの胸の内が、行間からひしひしと感じられる。 それでもなお、恋心さえ無効にする、自然の尊さに圧倒された。 ニューイングランド地方、メイン州の美しい自然描写にうっとりする。 ジュエットの文章もそうであろうが、石井桃子による美しい日本語の文章が秀逸✨ 「隠者のすまい」 「腹蔵なくしゃべる」 こんな表現から汲み取れる子どもいるんかなあ? 絵本としての訳とは思えないけど、すばらしい邦訳。 そもそも、石井桃子さんは絵本のために訳したのではないし、そうよね、こういう表現も使われて当然でしょう。 そして、クーニーの気品あふれる絵が文章の美しさと相乗効果で、この作品をより味わい深くしている。 日本画の影響も感じさせる絵で、老松の佇まいの荘厳さに思わず息を呑んでしまう。 こういう絵本を読むと、絵本は文学であり芸術でもある、とつくづく思う。



りら@AnneLilas2025年7月19日買ったジュエットの短編「シラサギ」は、二十年以上前に当時は『女たちの時間』というタイトルだった平凡社ライブラリーのアンソロジー『レズビアン短編小説集』で初めて読んだ。その何十年も前に石井桃子が訳していたとは知らなかった。子供とともに何冊もの絵本に親しんできたバーバラ・クーニーが、この短編を絵本にしていたことも。 決して日本で知られた作家とは言えないジュエット作品が日本語の絵本として改めて読める日が来たことを、元英文学徒として喜びたい。


