星に仄めかされて (講談社文庫)

16件の記録
- DN/HP@DN_HP2025年9月14日1作目で「母」という役割を与えられているように思えたキャラクタが名前が明かされ自ら「語り」はじめれば、そこには当然彼女の物語があって。それを読んでハッとしたりグッときたり、反省したり納得したりした。
- DN/HP@DN_HP2025年9月14日読み終わったまた読みたい多和田葉子の3部作の2作目を読んだ。 登場人物それぞれが「語る」個人的で小さな物語の連なり、という立て付けは前作も同様なのだけれど、ここではそこに改めて注目して読んでいた。それぞれに「ルーツ」があってそれに縛られたり抜け出そうとしている今がある。伝えきれない、伝える気もない思いがある。感情や思索は当然その人だけのものだ。それらはすべて日本語で書かれているにも関わらず、それぞれに独特の響きがあるように感じる。小説が上手い。「あなた」が語る「わたし」と「わたし」が語ろうとしている「わたし」には齟齬がある。まったく別の響きをもっている。 「わたし」の響きが「あなた」に跳ね返り、「あなた」の響きが「わたし」を通り越し誰かに跳ね返る。その場には美しかったり醜かったり、喜ばしいと思えば哀しみも顔を出す、複雑な響きが生まれる。それぞれの物語は同じ場で同じ時に語られ(あるいは思われ)ていても、本質的には交わることが出来ない。それでも「わたし」は「あなた」の、この場にある、響きに必死に耳を傾ける。理解出来ないとしても知ろうとする。だって世界はそういうものだから、その世界で「あなた」と生きているのだから。その後には、強く手を握り合っても静かにその場を離れてもいい。 個人的な小さな物語は連なり束ねられても、歴史のような一面的なひとつの大きな物語にはなることはない。そこにあるのは恐ろしく多くの面をもった、一目では捉えどころがないけれど、たしかにあるこの世界だ。やはりこれも世界を描こうとしている小説。少し話が大袈裟になってきたな、と思いながらもそんなことを考えている。小説とはそうやって世界を描くものだ、とも思っている。3作目もちょうど文庫化されるみたいだから、近いうちに読みたい。
- DN/HP@DN_HP2025年9月11日心に残る会話「心配いらないよ。まっすぐ前に進もうとすると障害物にぶつかる。だから右斜め前に進んでそれから左斜め前に進む。」 「蛇みたいね。」 「蛇だけじゃない。川もそうだよ。蛇行して流れていく。直進するのは落ちていく星くらいだろう。僕たちは落ちていくわけじゃないのだから、ためらわずに蛇行しようよ。」
- 冥王星の祈り@playlute_pu2025年7月21日読み終わったラースフォントリアー が出てくるというのを聞いて読み始めたやつ。すれ違ってドラマ放映してただけだった。 言葉や表現がスカッとくるものが多くて面白いんだけど、重いし嫌いな人出てくるし今の私が読みたいものではなかった。 少し読んである短編集の「かかとを失くして」がとても好みでこれはッ!って思ったんだけど、だいぶ違った。 でもなんか同じテーマで書かれている印象。かかと〜より全年齢読みやすい。 もう一作で完結なんだけど、まだ買ってないし気が重いからまたいつかかなぁ… そういえば、イヌイットと日本人が似てるって植村直己が書いてたなぁと思いつつ、ちょうど他に読んでる途中のサーカスの息子に出てくるラルフと本作のアカッシュという、同じインド出身の性転換手術をした人が出てくるちょっと不思議な出会いがあった(この二人は真逆すぎてこれはこれでおもろい)
- のーとみ@notomi2025年3月11日読み終わったさらに面白さが加速する第二部。言葉と世界についての物語というテーマは一貫しているのに、ストーリーがどう転ぶかが全く読めない展開も、次々に現れる新しい登場人物が、みんな変なのに凄まじくリアリティがあるのも楽しい。続いて第三部、多分完結編の「太陽諸島」に向かいます。
- 湯の本棚@y_book222023年6月13日かつて読んだ文庫が本屋さんに並んでいて、 咄嗟に手に取ってしまった1冊。 Hirukoたちの冒険がつづいていて 安心したし、 まだまだ飛び交うたくさんの言葉に途中焦らされた。 次は船の旅、 文庫になるのはいつかなあ🧖 単行本の装丁がすごく好きで欲しくなっちゃうな