この人の閾 (新潮文庫 ほ 11-2)

11件の記録
Ryu@dododokado2026年6月8日読んでる「「夜は十時ごろには二人とも寝ちゃうから。何しろよく遊ぶ二人でしょ、だから、ダンナが帰ってくるまでにだいたいそこで一度眠るでしょ。 朝も洗濯物干したあとでお昼まで寝ることもあるし、午後お昼寝することもある──。 ま、でもやっぱり、眠るんだったら午前中より午後の方がだんぜん気持ちいいわね。 横になってるからだのまわりをゆっくり空気と時間が流れてるみたいで、なんかフシギィなノスタルジーに包まれる感じがするの──」 真紀さんは合い間にビールを一口ずつ飲んでいて、ぼくは「不思議なノスタルジー」と繰り返した。 「なんて言うかさあ、ラテン・アメリカの小説なんか読んでると、村じゅうが微睡んでるような描写が出てくるじゃない。 天井で扇風機がカラカラ回ってるような駅の事務室があっていそこに一日一本しかない長距離列車が入ってくるんだけど、降りてくる人はたった一人で、改札には誰もいなくて、事務室からラジオの音が聞こえてくるからその中を覗き込むと駅員がうたた寝してて、ラジオは革命に失敗したテロリストのグループが山に逃げ込んだっていうようなニュースをしゃべってて、駅を出ると物売りのおじいさんが道端の日陰で荷物に寄りかかって熟睡していて、その向こうではバナナ畑の大きな葉っぱがゆっくり風にそよいでいるっていう、そういう感じ」 真紀さんが前もって準備していたみたいにすらすらしゃべったからぼくは笑ってしまった。」60-1
おとずれ@In_the_morning2025年10月27日読み終わった借りてきたはじめての保坂和志さん。 語り手や登場人物がどんな人か語られないまま会話が進んでいく。会話でちょっと分かっていく。どうしても眠たくなってしまい、ゆっくりゆっくり進めていった。でも多分それでいいんだと思う。 作中のアナログな雰囲気ににっこりしながら、この人たちなんか噛み合わないな?何の話してたっけ?を繰り返してたら読み終わった。こういう作風?もう一冊読んでみようかな
きん@paraboots2025年6月22日読み始めた保坂和志さんの著書は初めて手に取る。 本書には、この人の閾を含む四つのお話が書かれている。 この人の閾、を読み終えて。 何か起こりそうで、何も起こらない世界。 起こりそうで起こらない今村夏子氏の描く世界とは全く異なる。 どこにでもありそうなシチュエーション。 ぼくの人生のある一場面で、それを実体験しているのではないかとふと思ったりしながら読む。 あぁこの世界観がなんともなくわかる年齢に達しているのだなとふと実感した。 そして、真紀のセリフが胸の辺りに残っている。 真紀「だって読むってそういうことでしょ」













