ブラックボックス

13件の記録
- blue-red@blue-red2025年10月11日読み終わった小説単行本芥川賞現代小説には様々な形で社会からはみ出す人たちが描かれ、我々の常識にさざなみを起こす。しかし、その人物がときおり感情を抑えきれずもはや正当防衛といえないレベルで暴力を振るう人物だったらどう受け止めるべきか。ダイバーシティとは社会的排除とは包摂とは、さてはて。 そんな倫理的な談議はさておき、終着点は明白だ。逮捕されて刑務所にぶち込まれる。それでお終い。そんな物語。 しかしこれは小説だ。そこには彼の人生と心が書き表わされる。読者を「それでお終い」にさせない場所まで連れて行く。 “自分が物を直すとき、直した後に感じた高揚感は所有欲とか見栄とかいうのではなくて、これならどこまでも行ける気がする、そういう直感をもたらしてくれるからだった、と今になって思う" その感覚なら、よく分かるぜ!
- 創@hajime_82025年6月13日読み終わった特に後半、読んでる間中ずっと緊張していた。 サクマと自分はバリエーションだという気がする。 台車が倒れるあの場面、光があって風が吹いた、というイメージが自分のなかで広がった。 読んでよかった。 ちょうど高橋源一郎の『一億三千万人のための『歎異抄』』を読んでいたので、宇宙意志だ、と思った。 「ずっと遠くに行きたかった。今も行きたいと思っている。今いる場所は、自分が離れたかったところからとんでもなく遠いようにも、一歩も動いていないようにも見えた。」p73
- おこめ@ufufu3052025年5月21日読み終わった序盤の疾走感と、後半からの急展開が読者を飽きさせず良い。 100人の人間に関わったら1人いるかいないか、200人関わったら絶対に1人いるタイプの人間を描き出す。セルフコントロールってどこで身につけたんだっけ? どこか遠くに行きたい、でもそれがわからない。 ちゃんとしなきゃ、でも絶対ちゃんとしてる(と見える)人たちと同じところには行けない。 誰しもが持っている焦燥と狂気だな、とも思う。
- 夏しい子@natusiiko2025年3月9日かつて読んだ今まで読んだ砂川さんの小説の中で一番良かった。 サクマには共感は無いが、同情というか救われてほしい気持ちは強く感じた。 サクマは罰を受けたからと、次に暴力衝動を抑えられる人では無いと思う。あれは病気の域だ。 円佳のコンビニの列にいた男やサクマに暴力を振るわれた人たちもサクマ以上に反省しないだろう。 人生詰んだ先の一筋の光。そこが見えてきた事で読んでいる身としては少し安心する。とはいえ、それにもサクマはスルーするほど欲が無い。人のためじゃないが自分ための欲も無い。 サクマが心配にはなるが読後感は悪くない。