犬婿入り (講談社文庫)

15件の記録
- 糸太@itota-tboyt52026年5月5日読み終わったうっかり母国語を見失い、はたと辺りを見渡したら、世界がこんな風に動いていたので、そのままに記録してみました。多和田さんの作品に、私はいつも、そんな雰囲気を感じる。 言葉とは世界を切り分けるものである、と言っていたのはソシュールだったか。もしも、その切り分けていた仕切り板がフニャフニャに溶けてしまったりすれば、目の前に現れるのは世界そのものと言えるだろう。 とてつもなく面白い現象が繰り広げられているのに、言葉がないので記述できない。そこで忘れかけた母国語と新しく習得した外国語といった、不確かな道具をなんとか駆使して表現を試みる。 そんな稀代のアーティストによる作品に、人々は酔いしれる。でも、興奮しつつページをめくっていくうちに、読み手は母国語の使い勝手の悪さにも気づかされ始める。いままで疑ったことすらなかったのに…。頼りにしていた地面がひび割れて、するする崖下へと滑り落ちていく。必死に岩壁にしがみつこうとするも、手に持っている杭やロープの、なんと脆く、心許ないことか。 こうなれば、安全な場所からただ面白がっているだけでは済まされない。谷底にまで降りていき、前触れもなくやって来た「太郎」受け入れ、ときには「能面」を被って外に出てみたりする。そして、思うかもしれない。ありのままの世界では「嘘」なんか要らないじゃないか、と。 芥川賞ということは新人の時の作品なのか。多和田さんは新作長編も出ているようだけど、やっぱり昔の作品から読んでいこうかな。




蔭山@kie_doors2026年1月20日読み終わった『ペルソナ』『犬婿入り』短編小説二編収録。二つとも不可思議な話だけど、弟と一緒にドイツに留学している日本人女性が主人公の『ペルソナ』は、政治家も臆面もなく排外的な発言する昨今、特に鮮烈だった。
ぼぺにゃん@bopenijan_11062025年12月31日かつて読んだ『犬婿入り』は不思議さも猥雑さもあり、切なさもあり、複雑な味わい。『ペルソナ』は仄暗い世界。読み進むと主人公の立ち位置や心持ちがわかってきて、読んでる私もだんだん追い詰められた気持ちになる
ハルタ@haruta1271900年1月1日読み終わった併録されている『ペルソナ』の方が面白かった。 昨今日本では不躾にせよ好意的にせよ外国人を眼差す言説があふれているが、ドイツに日本人女性が留学しているとき(1980〜90年代?)、どのような視線を浴びていたかが如実にわかる。しかも、弟との比較もされ女性がいかにアカデミックな場で存在しないことにされているかも描かれる。そういう視線は内面化され、健全ではいられない。今の日本でもっと読まれてほしいと思った。 どこにも行くあても居場所もなく、延々歩き続けるシーンが怖かった。















