

Takaki Yamamoto
@yama_taka
著述家・編集者・写真家。『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』で第6回「斎藤茂太賞」受賞。他に『雪豹の大地 スピティ、冬に生きる』『ラダックの風息[新装版]』『ラダック旅遊大全』『インドの奥のヒマラヤへ』『旅は旨くて、時々苦い』『流離人のノート』など。
- 2026年4月6日
語るに足る、ささやかな人生駒沢敏器読み終わった1990年代にアメリカ各地のスモールタウンをレンタカーで巡った旅の記録。ハイウェイ、モーテル、カフェレストラン、ドライブインシアター。各地の土地柄を色濃く漂わせた、ちっぽけで、でも愛すべき町たちの風景と、出会った人々との思いがけないエピソードの数々。自身は通り過ぎていく旅人でしかないと自覚しながら、謙虚で誠実なまなざしで綴られている文章が好ましい。ダーリントンとモーガンタウンには、自分も行ってみたくなった。 - 2026年4月3日
語るに足る、ささやかな人生駒沢敏器読み始めた - 2026年4月1日
- 2026年3月31日
ストーナージョン・ウィリアムズ,東江一紀読み終わった一人の大学教師の男の生涯が、静謐な文体で、淡々と綴られている。秀でた才能もなく、周囲を惹きつける魅力もなく、何かを成し遂げるわけでも、何者かになるわけでもなく、理不尽なほど思うようにならない人生を、従容と受け入れていく。「自分の人生は生きるに値するものだろうか、値したことがあっただろうか」。彼を最後まで導いたのは、「言葉にできないものを言葉を通じて知る」という文学への探究心と愛、そしてそれを教えることだったのだと思う。 - 2026年3月22日
ストーナージョン・ウィリアムズ,東江一紀読み始めた - 2026年3月15日
- 2026年3月15日
- 2026年3月6日
メアリ・ヴェントゥーラと第九王国 シルヴィア・プラス短篇集シルヴィア・プラス,柴田元幸読み終わった『ベル・ジャー』を読んだ時もそう感じたが、シルヴィア・プラスの文章は、えぐい場面を描いてる時でさえ、本当に美しい。水面で跳ねる水滴が、陽の光を受けて、きらきら輝くように。この本に収録された短編の中では、訳者の柴田先生もベストと書かれていた『ブロッサム・ストリートの娘たち』が特に印象に残った。 - 2026年3月5日
メアリ・ヴェントゥーラと第九王国 シルヴィア・プラス短篇集シルヴィア・プラス,柴田元幸読み始めた - 2026年3月4日
リチャード・ブローティガン藤本和子読み終わった早逝した一人の作家が遺した作品群の評伝として、彼の生涯を辿るノンフィクションとして、彼の作品の翻訳者であり友人でもあった著者からの鎮魂の文章として、他に類を見ない秀逸さを持つ一冊。この本を読んでブローティガンの生い立ちの背景を知ると、初読では破天荒にも思えた『アメリカの鱒釣り』の文章の解像度がぐっと上がる気がして、再読したくなる。同じ書き手としてちょっと羨ましくなるほど、すごい本だった。 - 2026年3月1日
- 2026年2月18日
チュコトカ 始まりの旅後藤悠樹読み終わった写真家の星野道夫さんが、カムチャッカでヒグマに襲われて亡くなる少し前に取材していたチュコト半島を、いくつかの偶然に導かれて訪れた写真家の旅行記・写真集。荒野に転がる巨大な鯨の骨の写真に惹かれる。空の澄み渡り方やツンドラの植生は、アラスカとよく似ている気がする。今や外国人が旅することはほぼ不可能になってしまった土地での、貴重な記録。 - 2026年2月16日
リチャード・ブローティガン藤本和子読み始めた - 2026年2月16日
アメリカの鱒釣りリチャード・ブローティガン読み終わった作家や作品についてほぼ何の予備知識もなく、題名から「ヘミングウェイの短編みたいな釣魚ものの小説かエッセイかな」と思いながら読み始めたら、良い意味で裏切られた。風変わりな比喩に彩られた、妄想の域にまで達している言葉の奔流の中に、歪で物悲しい当時のアメリカのリアルが漂っている。藤本和子さんの訳とあとがきも素晴らしい。他の誰にも書けない、稀有な一冊。 - 2026年2月15日
- 2026年2月7日
アメリカの鱒釣りリチャード・ブローティガン読み始めた - 2026年2月4日
四維街一号に暮らす五人三浦裕子,楊双子読み終わった台中の街に残る日式建築をリノベした女性向けシェアハウスで暮らす、出自も性格もまったく違う四人の下宿人と大家。古い建物ゆえに、どこで誰が何をしてるか筒抜けのプライバシー皆無の家の中で、それぞれに葛藤や孤独を抱えた下宿人たちが、互いの心を少しずつ解きほぐし、通わせていくさまが描かれる。 四維街一号と大家にまつわる謎がすべて解き明かされる最終章の「舞台裏」は、この章だけで単一の作品としても成立しそうな、まさに著者入魂の文章で、すっかり惹き込まれた。 そして、前作『台湾漫遊鉄道のふたり』と同じく、出てくる台湾の料理がどれも本当においしそうで、読んでいてやっぱりおなかが空く(笑)。 - 2026年2月1日
- 2026年1月21日
四維街一号に暮らす五人三浦裕子,楊双子読み始めた - 2026年1月18日
白鯨 下メルヴィル,八木敏雄読み終わった巨大な白鯨モービィ・ディックと隻脚のエイハブ船長の物語のあらましは、あまりにも有名なので子供の頃から知ってはいたが、原作自体を通読したことはなかった。しかし、まさかこれほどの「怪作」だとは、想像もしてなかった。 不安定にうつろう語り手、ツギハギのプロット、寓意に満ちた大仰な台詞、そして必要以上にテンコ盛りの鯨と捕鯨にまつわる(いささか上から目線の)うんちく。捕鯨船での自身の経験と寄せ集めた知識をありったけの情熱とともにぶち込んだ、メルヴィルの乾坤一擲の力作だったとは思うのだが、とにかく長いし、正直、途中から「何なんだこいつ……」と呆れながら読んでいた(苦笑)。 とはいえ、最終盤のピークオッド号とモービィ・ディックの激闘の描写は凄まじかったし、色んな意味で忘れられない読書体験にはなった。人生で一度くらいは、挑んでみてもいいかもしれない作品。
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