日本の小説の翻訳にまつわる特異な問題
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いるかれもん@reads-dolphin2025年10月29日読み終わったまた読みたい学び!図書館本面白かった。原文と翻訳を比較するだけではわからない、翻訳の過程や、そこに影響を及ぼす影響について、史料をもとに検証している一冊。 日本語は、自制や語り手の縛りが弱く、それらが一文の中で自由に変化できる。しかし、英語の場合視点は固定され、時制の一致が要求される。そうした文法や言語の特徴に起因する翻訳の難しさがある。それだけではなく、商業的観点から物語の結末までが改変されている場合もある。そうした問題について出版社の史料から丁寧に検証している。 終章で紹介されている谷崎潤一郎『細雪』(英訳版 : The Makioka Sisters)のエピソードも印象的。とある著名な作家が『細雪』の最後の2行を優れた文章としてたびたび引用している。原文と翻訳を比較すると、主語の取り違いや、文章の印象を大きく変える改行が追加されていたり、英訳は原文とは大きく印象の違うものであった。偶然が大きな影響を及ぼしている。でも、それを何か間違ったものとしておらず、作品、翻訳者、読者の相互作用によって価値や意味が生まれるということだと思う。 引用されている、海外における日本文学の評価について面白かった。私の好きな小説は極めて日本的な小説なのかもしれない。 英語の勉強もしたくなったし、小説も読みたくなった。次は、海外の小説の日本における翻訳についての本も読んでみたい。


伊藤幸平@koheiito2025年3月15日読み終わった村上春樹さんがロバート・ゴットリーブをニューヨーカーのオフィスに訪れた際、細雪(The Makioka Sisters)が三冊並んでいたというエピソードがあるが、その裏側をよく知ることができた。エキサイティングでよくぞここまでという一冊。








