モスクワの伯爵
9件の記録
mimimal@bk55552026年1月3日「金ピカのホールで『シェヘラザード』に聴きに行ったり、書斎で『オデュッセイア』を読んだりしたところで、人は自分の潜在意識を発揮することはできない。広大な未知の世界へ出ていってはじめて自分の力を最大限に発揮できるのだ」(P.516) …32年にわたる軟禁生活を送った主人公のロストフ伯爵の言葉が心に沁みる。 「自国内への追放という概念を我が物にしたのはロシア人が最初だった」(P.223) …ロシアでの軟禁はさぞ暗く残酷なものかと思いきや、ホテルでの生活の様子はどこか温かみも感じる。 豪華な食事、ホテルの従業員や友人との交流、宿泊客との思わぬ関係性への発展など。 今回の年末年始休みのお供で、読み応えある一冊でした。
gato@wonderword2025年6月21日かつて読んだ思いだした◆映画『グランド・ブダペスト・ホテル』を見て思いだした本 その① 映画は面白かったんだけど、結局はゼロみたいな出自の人間がグランド・ブダペスト・ホテルに迎え入れられるにはベルボーイにでもなって成り上がるしかない、客として迎え入れられることはない、というところにあえて目を瞑って、高級ホテルを古い時代の善なるものの象徴として描くのはブルジョワ趣味がすぎるんじゃないの?と庶民としては首を捻ってしまう。そしてこの『モスクワの伯爵』を読んだときもだいたい同じ弱点が気になったのだった。 映画はグスタヴも貧民出身らしいことがほのめかされていたり、「ブロンド云々」のくだりでホテルの客層の浅薄さが表されていたりしたので、ホテルは完全な理想郷じゃないし懐古趣味だけで作られた作品でもないのはわかる。そしてこの小説のロストフは元貴族で、自分の財産とホテルがまさに接収されていく渦中におり、成り上がりのグスタヴの悲哀とはまた違う余韻を描いている。
白玉庵@shfttg1900年1月1日読み始めた読み終わった借りてきた好き@ 図書館まだ150ページ。ウェス・アンダーソンの映画のよう。私程度のロシア史の知識でもとても楽しい。 しかしながら、これ本当に史実的に正しい?といういやーな気持ちが時々浮上してくるのは、『パチンコ』で嫌な経験をしたから。その土地に暮らしていない人が、粗いリサーチを、ストーリーにリアリティを足すために適当にぶっ込んで、でも事実とは異なっているというのを目の当たりにしたから。ちょっとしたエキゾチシズムである。昨日、四方田犬彦氏が講演で『パチンコ』の悪口をちょっと言ってくれて(笑)すっとした。 私のロシアに関する知識量では、この小説がどれくらいロシア-ソヴィエトの人に受け入れられるものかはわからない。とはいえウェス・アンダーソン的なお伽話としては大変にチャーミングである。そういうお話が必要なときはある。







