二人キリ
17件の記録
- 1140k@FELTz752025年10月14日読み終わったaudibleなかなかの大作だった。 人が他人のことを理解しよう、理解したいと思ったら、そのためには人生の大半を捧げないとたどりつけない境地がある。 センセーショナルな記事や、ましてや見出しなんてなにも本質的ではない。 一言では決して言い表せないのが人であり、その行動であり、そのこと自体に謙虚で誠実でないといけない。 主人公はその姿勢を貫いたからこそ、定さんから理解され、定さんを理解することができたのだろうと思う。 定さんがやったことは、読み終わった今でも意味がわからないし共感はないが、それをやってしまったことがなんとなく納得できる。 どこがどうと言語化はできないし理屈では説明つかないが、納得できてしまう。 出来事それ自体ではなく、人を理解することについての葛藤や苦しみも含めた過程が印象深い作品だった。 村山由佳がこんな作品を書いてるなんて、20年前の自分に言ってもとても信じないだろうな。 オーディブル版の朗読が本当に素晴らしく、朗読向きの作品だとも思う。


夏しい子@natusiiko2025年9月25日読み終わった面白かった。 どんどん、お定さんのことが好きになってくる。 阿部定事件を、あの有名な事柄程度しか知らないからこそ この物語を楽しめた。 そして吉弥さんのことも好きになってくる。 校長先生がとても良かった。でも可哀想だった。 先生との旅行のために買った石鹸箱のくだりとその後がたまらない。

あむ@Petrichor2025年9月14日読み終わったまずは何も知らずに読んでほしい。 読んだ後、必ずとある「事実」が気になるはずだから、思う存分調べてほしい。 フィクションと事実が折り重なって自分の思考を広げていく不思議な感覚に、読了後も支配される美しい作品です。 以下ネタバレ含みます ------------------------- 私はこの物語を、事実ではなくフィクションとして読む。 そうしたときに、この物語に登場する人物の誰もが不完全な人間であり、自分の都合のいいように捻じ曲げた真実を抱えて生きている。それぞれの正義に共感して寄り添えば、それぞれが犯した時に小さく時に大きな罪を、「それも仕方がなかった」と思えるようにまとめてある展開は、とても美しいと思った。 誰にでもバックグラウンドがあって、その中のなにかひとつの出来事が1人の人間を歪ませることなどザラである。そのきっかけが別の誰かにとっては些細なことであっても。 その中で見出した救いも、幸せも、誰に正しいと評価される筋合いもないのだ。 世間の目に晒され、時に誰かを不幸にし、時に笑い物にされ、エンタメとして消化されてきた2人の愛も、私は異常だとも狂っているとも思わない。 こんな私の個人的な評価も、お定さんが読んだら「勝手なことを」と怒られてしまうだろうか。 この事件の真相など、正義など、その正解はお定さんだけのものだし、吉さんだけのものである。 それでもなお、私は私の正義を正当化するためにも、この物語を美談にしたいのかもしれないと思った。












