1140k
@FELTz75
- 2026年1月6日
宙わたる教室伊与原新audible読み終わった学ぶことの価値や意味を、多様な登場人物の立場から感じさせてくれる作品。 群像劇でありつつも、学ぶことを諦めていた無自覚の学習障害の人がメインの主人公っぽい。 自分にとってこの設定は、物語としての重要なファクターであると同時に、現実として正面から向き合うべきテーマでもあるので、エンタメ以上の価値がある作品だった。 きれいごとだけでは済まない現実があるのは確かだけれど、そのきれいごとは実際に起きた事実をもとにして紡がれたストーリーであるというのが感慨深い。 勉強や研究って、楽しいものだよね、夢中になれるものだよね、仲間と協力すれば一人では辿り着けないところまで連れて行ってくれるものだよね、というのを真正面から描いているのも心地よい。 人を属性や見た目で決めつけてインスタントに批判するシステムが幅をきかせているが、背景も含めて人を理解しようとすることの大事さとそのためには対話が必要であることを、あらためて考えさせられた。 これからドラマ見る。 - 2026年1月3日
太陽の塔 (新潮文庫)森見登美彦借りてきた読み終わった森見作品にハマって連続で4作読んだ4作目。友人に予言されたとおり、大学生を引きずっているような人にはなかなかに刺さるものだった。 「夜は短し〜」や「四畳半神話体系」は、作者の脳内にとめどなく溢れる言葉をうまく紡いで物語に昇華させたような印象だったけど、この作品は作者の脳内から溢れでた言葉をそのままぶつけてくるような圧力があった。 果たしてこれはファンタジーなのかはわからない。 - 2025年12月29日
- 2025年12月28日
四畳半神話大系森見登美彦audible読み終わった「あのときこちらを選んでいれば…」という後悔をして身悶えることは誰にでもあることだと思う(だよね?)。 4部構成で4つの選択肢のルートを網羅する、というアイデアが面白い。 どのルートでも出会う人物が同じだけど、ルートによって付き合いの濃度が違いつつ、でも同じ出来事に違う角度で遭遇するのもなるほど感あり。 たぶん現実でも、あのとき選ばなかった別ルートに進んで全く違う人間関係を築いたとて、結局そこでは違う人にこれまでとった言動をとってあとで身悶えることになっていたんだろうなと思った。 潔く、今の人生を懸命に誠実に生きるしかないね…。 - 2025年12月20日
夜は短し歩けよ乙女森見登美彦audible読み終わった成瀬シリーズきっかけで読んでみたけど、なんですかこの自分のツボをとてつもない勢いでついてくる作品は…! 意味がわからないとか言った時点で楽しめない、この世界に自分からどっぷりつかりにいくことでめちゃくちゃ楽しめる作品だなと思った。 audibleで聞いたけど、朗読のうまさもあって、まるで落語のような気分で楽しめた。 京都の話とはわかってはいるものの、大学の場面は自分の大学を思い浮かべてしまう。そして、少なからず大学生のころを想起させられる一言に襲われダメージを喰らいつつも、それが嫌な気分でないことが不思議だった。 - 2025年12月14日
- 2025年12月7日
あの日、ともに見上げた空トミイマサコ,黒田季菜子読み終わった買った児童文学だからといって侮れないというか、児童文学だからこそ難しいアプローチが必要で、それが大成功している作品だと思う。 私、大人だけど4回泣いたよ。 「多様性」がメインテーマの一つとされていて確かにその通りだと思うけれど、自分は「きょうだい児の話」として読んだ。 障害のある子のきょうだいは、注目されづらいがいろいろな葛藤にぶつかる。ともすれば、ヤングケアラーにもなってしまうし、この主人公にもそうなっている側面があった。 どちらかに過度な負担がかかる関係は無理があるし、本人にとってもそれが望ましいこと、必要なことではない空まわりであることもある。 必要なのは、お互いが心地よい距離感を見つけること。そして、お互いがやりたいことを我慢せずに済むこと。そのための工夫を考えて試してあきらめないこと。 それが形になっていくきっかけとなる出来事が描かれたところが、とても美しい作品だと思う。 当事者の視点から人権感覚をつかみ、想像し、考えるきっかけとなるエピソードもあった。このことは、勉強して学ぶよりも、経験から考えてほしいことである。文学できっかけを提供するのはとてもいいことだし、それがちゃんと子ども向けなのはとても価値のあることだと思う。 児童文学にしては難しい言葉をつかっているところもあるなとは思ったけれど、それはそれで必要なことなのかなと。 読者を子ども扱いしすぎずに、信頼して言葉と向き合ってほしいということなのかなと思えた。 - 2025年12月6日
- 2025年11月25日
暁星湊かなえaudible読み終わったオーディブルを先行して配信しているのを知らずに読み始め、書籍が発売される前に読み終わった。 これは掛け値なしで大傑作と思う。 大傑作なのは、リリースのタイミングも含めて。元になっているはずの歴史的事件の裁判をやっている最中とは。 だからこそ、今読むべき作品だと思う。 というか、この設定で書けるのはもはや勇者。 湊かなえ作品の、不幸が次の不幸をよぶ不幸のミルフィーユ構造が好みなんだが、この作品ではその上位互換と言える構成だった。 前半は独白形式の手記。「告白」なんかと同じ形で、ここだけでも湊かなえを読んでるな!という充実感。 すでに不幸の連鎖が炸裂している。 圧巻の後半では、メタフィクションを合わせてきている。これにより、エピソード間の立体構造が急に目の前に現れて驚く。隠されていた人物造形の深さを目の当たりにする。 大事な人に対する不器用さというか、大事な人の大事な人は自分なのだということへの無自覚の哀しさよ。 でも、大筋では哀しい話のはずなのに、感じるのはそれだけじゃない。希望というにはあまりに小さいけれど、たしかに光がある。 だから辛くないし、なんなら読後感はすっきりしている。 単行本も買ってもう一回読むわ。 - 2025年11月6日
- 2025年11月4日
ミーツ・ザ・ワールド金原ひとみaudible読み終わったまず人物造形がすごい。どの登場人物もなかなかにエッジが効いているが、特にユキは比較的出番は少ないのにその履歴と言動のすべてがツボだった。一般的な幸せを幸せと感じられない人が、なんで延々と床でスライディングしてるんだよ…! 設定としては自分と共通項がほとんどないストーリーなのに、人生の中で言語化できてこなかったモヤモヤした思いをいくつも言葉やセリフにしてくれていた。人がどんな人生を歩むのか、歩みたいと思うのか、もういいやって放り投げるのか、流れるままになるのか、どんなことを思いながらそれぞれの人生を過ごすのかは全部たまたまそうなっているだけなんだなと。 常識や一般論的な生き方だけじゃなくて、幸せであってほしいというような一見素朴な願いであっても、そこにはある種の無遠慮さがあることを自覚しないとなと思う。 - 2025年10月31日
- 2025年10月26日
青い鳥、飛んだ丸山正樹audible読み終わった児童養護施設に出入りさせてもらって経験したことが今の自分の生き方を方向づけるきっかけになったと思っている。それゆえに想像できるはずなのに、個人的な顔が浮かぶだけに想像したくなくて、あえて考えないようにしていたこと。そういう自分の弱さ、軽薄さと対峙させてくれた作品。それで恥ずかしいというよりは、初心に立ち返らせてくれたことで新たな前向きな気持ちをもてた気がしている。そんなところから、タイトルが秀逸だと読み終えて思う。 弱い立場の人たちを本当の意味で救える仕組みがないこと、救うことの本質的価値が尊重されていないこと、人の尊厳を踏み躙るような言説にインセンティブがつくこと、なによりそんな社会のままであることが否定されず、あまつさえ積極的に肯定されていること。 そういうことを遠慮なく暴いていくのがさすが丸山正樹! たぶん現実はこのフィクションよりも酷いのである。 こんな社会でいいの?という問題提起の一つの形だなと思う。 - 2025年10月14日
二人キリ村山由佳audible読み終わったなかなかの大作だった。 人が他人のことを理解しよう、理解したいと思ったら、そのためには人生の大半を捧げないとたどりつけない境地がある。 センセーショナルな記事や、ましてや見出しなんてなにも本質的ではない。 一言では決して言い表せないのが人であり、その行動であり、そのこと自体に謙虚で誠実でないといけない。 主人公はその姿勢を貫いたからこそ、定さんから理解され、定さんを理解することができたのだろうと思う。 定さんがやったことは、読み終わった今でも意味がわからないし共感はないが、それをやってしまったことがなんとなく納得できる。 どこがどうと言語化はできないし理屈では説明つかないが、納得できてしまう。 出来事それ自体ではなく、人を理解することについての葛藤や苦しみも含めた過程が印象深い作品だった。 村山由佳がこんな作品を書いてるなんて、20年前の自分に言ってもとても信じないだろうな。 オーディブル版の朗読が本当に素晴らしく、朗読向きの作品だとも思う。 - 2025年9月11日
残照の頂 続・山女日記湊かなえ湊かなえ観が大きく動揺した。作風は違うのに、言葉の使い方や登場人物それぞれの視点を交代しながら紡いでいく進め方なんかは典型的湊かなえ作品なので、脳がバグる感じを覚えた。エピソード間の連なりがあるという意味では前作のほうが良かったが、こちらはこちらでいろんな人のいろいろな山との向き合い方と人生があって、それも良かった。 - 2025年9月2日
山女日記湊かなえaudible読み終わった人と人、エピソードとエピソードの連なりが面白くて、不幸のミルフィーユを作るのが上手い人は不幸じゃない層も織り交ぜたミルフィーユも作れるのか、さすがすぎる…!となった。湊かなえの引き出しの多さよ。トンガリロはしんみりして2回聞いた。大人になってからそんな簡単に友達ができるものかとうらやましく思いながらも、うまくいく世界線があってほしいと願ったカラフェス。一人でできることを誰かと共にすることに価値があるし、その価値は多様なんだなと。 - 2025年8月27日
激しく煌めく短い命綿矢りさ読みたい - 2025年8月24日
PRIZE-プライズー村山由佳audible読み終わった初めから終わりまで、ずーっと怖くてゾクゾクしていた。ストーリーが面白いのは間違いないけど、天羽カインというキャラクターは近くで観察するには極上の素材なんだと思う。本当にいたとしたら知り合いになりたくはないけれど…。この人とあの人にモチーフがいるとしたら、それはそれでさらに怖い話になるけれども。 - 2025年8月19日
人間みたいに生きている佐原ひかり読み終わった買った佐原ひかりさん、読んだのは「鳥と港」に続いて2冊目。文庫を買いました。 佐原さんの描く、社会との折り合いがうまくいかない人の描写がたまらなく好みだなと。 この作品の場合は、折り合いがつかないどころの話ではないけれど。 主人公の視点だけでストーリーは進んでいっていたけど、どうしても泉さんに感情移入してしまう。 そうすると、この主人公にさえも理解してもらえないのか…、という絶望を感じずにいられない。 マイノリティはマイノリティ同士でも理解し合うのは難しい。誰も自分の特性は選べないんだから、カテゴライズせずともそれぞれの違いを受け止めようとしないといけない。 マジョリティとかマイノリティとか、病気があるとかないとか、そういう雑な解像度の見方は、生き苦しくなる人を増やすのだなと。 一つ壁を壊すと、壁だと思っていたものを勢いで次々と乗り越えていけてしまうあたりが、リアリティがあるなと思った。 「東京喰種」を読んでいたので、この突飛な設定にもすんなり入り込めたのかもしれない。 - 2025年8月17日
藍を継ぐ海伊与原新audible読み終わったストーリーに科学的な視点を組み込んで、すごくよく考えられて構成された話たちだったなと思う。でもたぶん科学的なことを伝えたいのではなく、ちゃんとメッセージは別にあるのがいい。鈴木俊貴先生が鳥の魅力を伝えようと書いたのであろう本なのに、読み手には本人の生き方がめちゃくちゃ面白い、みたいなのを、ちゃんと計算してフィクションにしてる感じ。どの話も、ガツっとハマるというよりはじんわり沁みてくる。科学的には間違っていることでも、人はそれだけで動くものじゃない、という人の理性的でない部分が逆に魅力として際立っていた。 研究者の置かれた現実を切実に表現していたところがあったので、研究者の知り合いたちに代わって言っておきます。直木賞受賞作だし、最初の話だけでも読んで!
読み込み中...
