
画伯
@ggahak
ほとんど翻訳小説を読んでいます
- 2025年11月18日
秘儀(上)マリアーナ・エンリケス,宮﨑真紀またいつか読んでる上下巻合計1200ページ近いとはいえ250ページまで読んでもまだ話が動かず読みあぐねていったん離脱。別に話が動いたりしない話はいくらでもあるのだが何かが起こるあるいは何かを起こさねばならないという予兆をこれでもかと膨らませ続けているのでそうではないし焦れる。霊媒とか不思議な力が暮らしに自然と溶け込んでいる土地での、そういう力の持ち主のひたすらな内省ならそれもおもしろそうだけどそうではない。画像がありませんになっているのでつけた。原題Nuestra parte de nocheは英語にするとOur part of nightだろうか、どういうニュアンスなんだろう。夜の一部、夜のうちわれわれの側にある部分?秘儀というタイトルは読み進めれば納得できるのかな。あ、もしかして作中で〈闇〉となっているのがnocheかな
- 2025年10月19日
もしも君の町がガザだったら高橋真樹読み終わった10/7からそれ以降のこと、そもそもの占領の始まり、シオニズムのこと、国連も含む国際社会の果たした(悪い)役割など、パレスチナ問題(ほんとうはイスラエル問題と名指す方が正しいと思うが)を理解するための情報が網羅されている。子供向けにわかりやすい語り口で、この問題について理解が追いついていない大人にもまず勧められる本かと思う。欄外の用語解説と補足も行き届いていて、意外と忘れがちな基本用語のおさらいにもなる。著者のパレスチナ人のご友人が沖縄について「日本にもパレスチナがある」と言ったことの重みの方を日本の人間は受け止めなければならない、私自身も例外ではない - 2025年9月17日
わたしに無害なひとチェ・ウニョン,古川綾子じゅうぶん読んだ感情の重さに耐えきれず 、7篇中4篇を読み終えたところで終了にした。韓国文学には特有の感情の重さがあるような(と言ってよいほど数を読んでいないけど)…関係性とかセクシュアリティとか必ずしも規範的ではない設定が多くその点で私にとっては安心度が高いし、忘れがたい場面、話も多いのだが、じゃあもっと積極的に韓国文学を読んでいきたいかというと必ずしもそうではない。好きとは言えないかもしれない - 2025年9月12日
- 2025年9月12日
- 2025年9月9日
- 2025年9月6日
これは小説ではないデイヴィッド・マークソン,木原善彦読み終わった図書館本物語も登場人物もない小説を作りたいとはじめに書かれていてまさにその通りのものが完成しておりタイトルは『これは小説ではない』 (マグリットのこれはパイプではないは言及されている)。わかろうとしても無駄で、おもしろいと感じるかどうかも読者のやる気次第という感じがした。24年前と書くとだいぶ昔に感じるが2001年発表の作品で「発狂して死んだ」(原文は全部確認したわけではないけどdied mad) とかは引っかかってしまう文言ではある - 2025年9月6日
グローバルな物語の時代と歴史表象李美淑,松井理恵,玄武岩,金敬黙読み終わった当事者の解像度は当然高いのでリアリティや描き方への不満はどうしてもあること、一方で在日コリアンの存在がグローバルなプラットフォームにより広く知られる機会になったことを歓迎する思い、タイトルをパチンコとしたことで在日コリアンをパチンコ業界と結びつけるステレオタイプの強化への懸念など、やはり自分が原作を読みドラマを観ても気づけなかった論点を多々読めてよかった。小説/ドラマ『パチンコ』の副読本として手元に置くべきと思う - 2025年9月2日
パチンコ 下ミン・ジン・リー,池田真紀子読み終わったとてつもないページターナーで1日半で上下巻読んでしまったほど。日本に住むマジョリティとしての「日本人」は読むべき作品と思うが、これを当事者の在日コリアンの人たちがどう読んだかを知りたい。とりあえずこの本を注文 グローバルな物語の時代と歴史表象 『PACHINKO パチンコ』が紡ぐ植民地主義の記憶 青弓社 「ミン・ジン・リーの小説『パチンコ』とそのドラマ版から、在日表象や歴史修正主義、植民地主義の暴力性を分析しています」(青弓社公式Xのポストより」 - 2025年9月2日
パチンコ 上ミン・ジン・リー,池田真紀子読み終わった - 2025年9月1日
複眼人呉明益,小栗山智読み終わったパワーズ『オーバーストーリー』にも通じるものがあるお話で、オーバーストーリーが怒りに似た切迫感、焦燥感で駆動するとすれば、複眼人は諦念というか、喪われるものへのさめざめとした悲しみ、惜別に覆われている。台北などの都市部ではない台湾が舞台で、複数の少数民族が主要な登場人物に含まれる。あとがきによると著者にも聞いて彼らの話す単語のよみがなはできるだけその言語の発音に近いものにしているそうだ - 2025年8月28日
歓楽の家イーディス・ウォートン,加藤洋子読み終わった図書館本同じ(こっちは完全なる労働者階級なのでもちろんぜんぜん同じではないのだが)経済的に頼る先がなく自力でなんとかするしかない身としてはなかなかつらい話だった。ありえた未来たちのましな方を常に逃し続ける不運の人。なのだけど、私には惨めな末路というよりは、不運続きの中ギリギリのところでなんとか自分の尊厳を守り続けた話に読めた。 もっとやり方が/できることが/選択肢があっただろうと言うのは簡単なんですよね…リリーだってわずかとはいえ労働者階級レベルにつましく暮らせるだけの不労収入はある様子なのでそれでよしとすることもできたはすだし、ほかにもっとできることはあっただろうと容易く思える。でもそこで潔く踏ん切りをつけ開き直って生き直すことは誰にでもできることではない。 それにしても卓抜な構成力、きびきびとした取捨選択で密度の高い小説。これも活字を欲する時、読書に没頭したい時にもおすすめ - 2025年8月28日
誓願 (ハヤカワepi文庫)マーガレット・アトウッド,鴻巣友季子読み終わったおもしろくないということはない、それどころかぐいぐい読めるのだが、それはただどうなるのか/どうなったのかを知りたいという野次馬根性の充足というか、答えを与えられるのは好きじゃないというか、ファンフィクっぽかったかな。でも侍女の物語と誓願は活字に飢えてるとき、ひたすら読書をしたいときにはおすすめ。読みやすくダレる箇所もなく着実なペースで語られる膨大な物語をひたすらに読み続けることができる。余計なものがなくほとんどすべての言葉が物語に必要みたいな密度で500ページ超の長編を書く気力体力がすごい - 2025年8月16日
侍女の物語マーガレット・アトウッド読み終わった発表当時より今の方がより現実味が増しているのではと感じられてとてもキツい読書になりました。アメリカ在住者にはよけいだろうな。作中、最初はデモも行われたけど容赦なく発砲してくることがわかってピタッと止んだというくだりがあり、今現在のアメリカではレイシズムが激化しICEも誰かれかまわず拘束して収容所送りにするせいでデモに出る非白人が激減しているらしいことがいやでも想起される - 2025年8月13日
侍女の物語マーガレット・アトウッド読んでる一度序盤で挫折したのち長年積んでいたのを今さら読み始めたら先が知りたくて止まらない。時代がギレアドを射程に捉え始めたと感じられるせいかもしれない、それで物語がよりくっきりと切実に色彩を帯びるのかもしれない。まだ遠いと思いたい - 2025年8月10日
トピーカ・スクールベン・ラーナー,川野太郎読み終わった難儀して読み終えた。残念ながらあまりピンと来なかった。家族と狭いコミュニティの話すぎた、よその家族のアルバムをソファでめくり続ける感じ。より大きな主題はざっくり言うと言葉の効果についてでそこはすごくエキサイティングに展開していくし自分の好きな方の話でもあるはずなんだけど、なぜか最後までなんとなく乗れず。有害な男性性やレイシズム、フェミニズムへの視座がとても真っ当でその点非常に安心して読めます。 - 2025年7月24日
ムーア人による報告レイラ・ララミ,木原善彦読み終わった『ジェイムズ』もそうだったけど社会構造のために生存が極めて不当に限定される環境下で生き延びるということは、勇気とか何か英雄的行為とか胸踊る手に汗握る冒険とかとはほど遠い、時に良心や正義に目を背けることもしなければならない過酷な道行きになるのだよな。いや、そんな環境を生き延びようとする強い意志は勇気としか言いようがないですが。そして生き延びたいから誰よりも恐怖し後悔もする。読み終えるのにかなり時間がかかったけど、エステバニコ(ムスタファ)の長い長い半生の記録、語りは時間をかけて読む方がふさわしいように感じる - 2025年7月14日
ムーア人による報告レイラ・ララミ,木原善彦読んでるこの暑さで体力を消耗していて開くと寝ちゃうのもあるけど遅々として読み進まず…ちょっと軽めのエンタメでも挟むかなとも思うのだがそういうのこそ5〜6時間で読むより90分の映画で観たいと思ってしまいがち - 2025年7月6日
ジェイムズパーシヴァル・エヴァレット,パーシヴァル・エヴェレット,木原善彦読み終わったまた読みたい『ジェイムズ』噂に違わず一気読みだった。1日で読み終わるのが惜しくて途中で置いたけど翌日に読了、読了後もまだミシシッピの川岸から動けずにいる… 「知能は足りないけれどもユーモラスで気のいい愛すべき奴隷」などという白人にとってもっとも受け入れやすいキャラクターを与えられたジムは絶対に語り直しが必要だったのだ、これがその最初ではないはずだけど 中盤までは『ハックルベリー・フィンの冒険』そのままに視点人物を反転させた語りが見事で、惚れ惚れしながら読み進むと、ある地点から川が分岐するように物語が原作(?)を離れていき、どんどん加速してコルソン・ホワイトヘッド『地下鉄道』やジェスミン・ウォード『降りていこう』のような作品群に接続していく 奴隷かそうでないか、肌の色が濃いか薄いか、それによって人生はほんとうに違ってくるのかどうか。システムを変えることが難しいとき、どうやってそこで生き延びるか、どのようにあるべきか 読みどころはとても語り尽くせない。個人的にはミンストレルショーの醜悪さ、恐ろしさが非常に端的に描かれる場面が印象に残る。もちろんミンストレルショーが人種差別的で許されるものではないということは近年すでに「常識」の範囲内だと思うけれども、ここでは一見わかりにくいというかましに思える分むしろ恐ろしさ深刻さが増すような差別構造として描かれており、この物語の中でもっとも肝が冷えるパート - 2025年7月4日
フォークナー第27号日本ウィリアム・フォークナー協会読みたい
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