

昼寝ねこ
@hiruneko
『Reads』では過去に読んだ作品を再録しています。(新しく読んだ本のレビューは別な読書アプリ『読書メーター』に記録しています)
Readsと読書メーターではタイムラインに流れてくる本がかなり違うのが面白いです。読メはベストセラーなどのメジャーな本が多いけどReadsはちょっとマニアックな本が多いかな😄
- 2026年8月15日
文庫 駒音高く佐川光晴読書メモ感想将棋界隈で奮闘する人たちの姿を綴った短編集。ガチガチの将棋小説ではないので将棋のルールが解らなくても充分に楽しめる。全体に作者の視線の温かさを感じさせる。棋士や奨励会員など将棋を指す人たちのドラマももちろん面白いのだが、周囲で彼らを見守る将棋を指さない人たちのドラマがシミジミと胸を打つ。ストーリーはそれぞれ別々でも登場人物が少しづつ重なる。文庫版には杉本昌隆八段(藤井聡太六冠の師匠)の解説が付いているのもお得感がある。同じ作者で将棋を題材にした小説の新作が出ているようなので続けて読んでみたいと思う。 - 2026年8月8日
天才望遠鏡額賀澪読書メモ感想5人の天才たちの5編の物語。「新旧の天才プロ棋士」「フィギュアスケートの金メダルリスト」「天性の歌声を持つ中学生」「G1レースにも出走した元競走馬」「新人賞を受賞した人気小説家」 これはあの人かな?というモデルも垣間見える。主人公を近づき難い孤高の天才ではなく、悩んだり迷ったりする等身大の人間として描いている。そして天才になりきれなかった友や周囲の存在が天才を支える。各話独立しているがスポーツカメラマンの多々良が関わる部分で少しだけ繋がっている。最後の「小説家」の章でファンタジーに流れたのがちょっと残念だった。 「将棋棋士」「フィギュアスケーター」は文句なく天才だと思うが、「中学生」「競走馬」「小説家」は天才と言い切っていいのか疑問が残る。小説としてはどれも充分に面白かったが、後半の3編は天才の物語として同列に括らず、別な作品集にした方が良かったように思う。 - 2026年8月5日
ディア・オールド・ニュータウン小野寺史宜読書メモ感想30歳間近で父親の蕎麦屋を再興した笹原鳴樹。蕎麦屋の従業員やお客様の間で起きる小さな心温まる日常物語。小野寺ワールドなので過去作の人物たちがチョコチョコ登場して楽しい。場所も東京湾沿いの街でお馴染みの地域。人生イロイロあるのはわかるが離婚率がかなり高いのが気になる。でも再婚したり復縁したりで新しい人生を歩み始める人も多いので救われる。小野寺さんの物語は人と人との繋がりが大きなテーマだからだ。全ての登場人物がいい方向に向かっていくのが嬉しい。鳴樹くんも気になるアノ人と無事に繋がってくれるといいなと思う。 - 2026年8月1日
オリオンは静かに詠う村崎なぎこ読書メモ感想聴覚障害のある女子高生の木花咲季が百人一首の競技カルタに挑戦する。ライバルは聴者でコーダの日永カナ。そして2人を見守る競技カルタ読み手のママン(カナの伯母)。主人公の咲季を聴覚障害者だからと悲観的に描かず一般の女子高生と同じ視点で描いているので重苦しさを感じない。むしろ咲季が普段の生活やカルタの試合で聴覚障害者ならではの困難に直面しても必ず乗り越えられることを信じて応援したくなる。咲季の周囲には多くの聴覚障害者や聴覚障害に関わりのある人たちが出てきてその繋がりを星座のオリオン座に擬しているのが印象深い。 - 2026年7月29日
うどん陣営の受難津村記久子読書メモ感想071006 うどん陣営の受難 津村記久子 U-NEXTオリジナル書籍の書き下ろし作品。元々は電子書籍だったようだ。本にして100ページ余りの中編なのでサクサク楽しく読める。物語は4年に1度の会社の代表を決める選挙戦に翻弄される社員たちをコミカルに描いている。選挙は最終的に上位2名による決戦投票となる。対立する陣営同士の誹謗中傷やら曝露合戦にウンザリする一般社員の姿は現実にもありそうな話で、いたく共感した。 - 2026年7月26日
札幌誕生門井慶喜読書メモ感想札幌の誕生に関わった5人の先人たちの物語。連作ではなく各話が独立しているが、ところどころに登場人物のユルい繋がりがある。全員が札幌に関係があるとはいえ、第1話の島義勇と第5話の岡崎文吉が札幌開拓に大きく尽力したのはわかるが、第2話〜第4話の内村鑑三、バチラー八重子、有島武郎は、札幌開拓に直接的に関わったわけではない。むしろ大友堀を築いた大友亀太郎や札幌農学校で内村鑑三の一級上だった佐藤昌介にスポットを当てた方が札幌誕生物語として納得できたように思う。それでもバチラー八重子と有島武郎の物語には深く感銘を受けた。札幌誕生物語でまとめず、それぞれ単独の作品にすれば良いのにと思った。 - 2026年7月22日
神様の次くらいに久住四季読書メモ感想人が死なない日常の謎系ミステリ短編集。小学生、高校生、大学生が主人公の青春ミステリー3編と、作者の過去作の登場人物が主人公の2編。謎自体はけっこう無理筋もあれば、成程そうきたか!と膝を打つものもある。しかしどれも軽妙な語り口で読みやすく、通勤通学のお供にピッタリだ。文庫本のあとがきには作者による全作品の短観が記されている。作品コンセプトと共に影響を受けた作家・作品が提示されているので読み比べるのも一興だ。ちょっと自己満足っぽい気もするが作者が書きたいものを楽しんで書いたのならいいことだと思う。 - 2026年7月18日
かごいっぱいに詰め込んで真下みこと読書メモ感想スーパーのセルフレジが苦手だ。少々混んでいても有人レジに並んでしまう。必要以上にサービスして欲しいとは思わないがレジ接客も含めてのお買い物だと思う。第一話の「おしゃべりレジ」を読んで〝こんなレジがあったらいい!〟と大絶賛した。別に高齢者じゃなくてもセルフが苦手の人はいるし、お店との適度な交流は大歓迎だ。しかし連作短編集なのでその後はこの素敵なレジがあまり出てこなくて残念だった。第二話以降の物語も決して悪くはないが、やはり「おしゃべりレジ」の存在が秀逸なので担当の美奈子さんメインの続編を期待したい。 時間帯にもよるのだろうが私がスーパーに行く時間帯は常に有人レジが混んでいてセルフレジはガラガラだ。それがスーパーに来る顧客の総意なのだと思う。地域に愛される店を目指すならセルフレジによる効率化よりも有人レジの充実こそが早道のように思うのだがどうだろうか。 - 2026年7月15日
ババヤガの夜王谷晶読書メモ感想2025年に日本人初の英国推理作家協会賞(ダガー賞)翻訳部門を受賞した話題作。ジャンルはバイオレンス小説になると思うがヤクザ映画に興味がなく暴力シーンに耐性がない私には読むのが辛かった。しかしそれを度外視すれば疾走感のあるストーリーと迫力の格闘シーンは異次元の面白さだ。とにかく主人公の女子?が強くてカッコいい。相棒になる女子もなかなかの強かさだ。後半からの展開は予想外だったが少し端折り過ぎのようにも感じた。余韻のあるラストはとても良かった。バイオレンス小説が好きな人はきっとハマると思う。 ババヤガの意味がわからなかったので調べたらバーバ・ヤーガ(魔女、鬼婆)だった。作品中に何度も出てきたモチーフだが、一般的な言葉じゃないのでちょっとわかりにくかった。 - 2026年7月12日
花のたましい朱川湊人読書メモ感想映画になった『花まんま』のスピンオフ作品。原作のスピンオフというより映画のスピンオフと言った方がいいかもしれない。原作には登場しない映画オリジナル人物の前日談や後日談が含まれるからだ。しかも主役ではなく脇役クラスの人物の話が多い。原作をリスペクトしつつ、それを膨らませて映画ができ、さらにこのスピンオフ作品で登場人物たちの物語が繋がっていく。ネタバレを防ぐために内容には触れないが「原作→映画→本作」の順で読んで(観て)いけば『花まんま』の世界に長く浸れると思う。 映画版の『花まんま』はサブスクで鑑賞した。涙ボロボロで映画館だったらかなり恥ずかしいことになっていたと思う。鈴木亮平さん有村架純さん酒向芳さんを始め出演者がみんな素晴らしくて、あと原作にないキャラだけどファーストサマーウィカさんの役所がすごく良かった。 - 2026年7月10日
秘仏の扉永井紗耶子読書メモ感想明治中期、法隆寺夢殿で千年の間秘仏とされた救世観音菩薩の宝物調査に立会った岡倉天心(覚三)、フェノロサ、写真家の小川一眞、文部官僚の九鬼隆一、そして彼らを迎え入れた大僧正の千早定朝。それぞれの役割と苦悩、その後の彼らの数奇な人生に胸が痛む。特に苦難を甘んじて受け入れて法隆寺を守り抜いた千早定朝の生き方が静かで強い。今まで馴染みのなかった時代の物語だが読んで良かった。廃仏毀釈により貴重な仏教遺産が破壊されたり日本の文化遺産が大量に海外流出した時代に、それを守ろうと奮闘した人たちがいたことは記憶に残したい。 - 2026年7月8日
ミナミの春遠田潤子読書メモ感想伝説の姉妹漫才師『カサブランカ』のチョーコとハナコ。彼女たちに関わった大阪の人々に巻き起こる6編の短編集。阪神淡路大震災から大阪万博まで時代を超える。ストーリーは別々だが登場人物が少しずつ繋がっている。タイトルの『ミナミ』は大阪のミナミの街のこと。笑って泣ける人情小説で辛いこともたくさんあるが誰もが大阪の街で逞しく生きている。『閑古錐』『八角磨盤空裏走』『壺中日月長し』『惺惺着』『一笑すれば千山青し』『花開く万国の春』など一話に一つづつ古風な言葉が紹介されていて、それが物語をキリリと引き締めている。 - 2026年7月6日
滅びの前のシャングリラ凪良ゆう読書メモ感想小惑星が地球に衝突し1カ月後に人類が滅亡する。パニック小説になりそうな題材だが、それよりも逃れようのない終末に社会秩序が崩壊してしまった世界で、夫婦愛、親子愛、兄弟愛、家族愛、恋愛、友愛などいろんな愛情に縋って強く生き抜く市井の人たちの逞しい物語という印象が強い。もちろん掠奪や殺人、暴力などの辛い描写は数多く出てくる。そしてラストは滅びが回避されることもなく世界は滅亡に向かって突っ走っていく。元ヤン母親の静香とその家族、アーティストのLocoと仲間たちの潔い生き方に、人間としての美しさを感じた。 - 2026年7月4日
アリアドネの声井上真偽読書メモ感想ハイテク地下都市が活断層地震で崩壊した。地下5階に取り残されのは目が見えず耳も聴こえず声も出せない盲聾唖の女性。救助隊が潜入できない場所にいる彼女のためにドローンでの救出作戦が開始された。余震、崩落、火災、バッテリー切れ、電波障害など次々に困難が襲いかかり、迷惑系ユーチューバーや無責任なネット民など外部からの妨害も入る。途中から障害詐称疑惑も持ち上がる。ミステリーというよりライトサスペンスという感じでサクサク読み進めて面白い。ラストのドンデン返しは驚愕というほどではなかったが納得できる結末だった。 - 2026年7月2日
犬がいた季節伊吹有喜読書メモ感想三重県の進学校で飼われていた犬の実話をベースにした物語。起点となる優花と光司郎の物語から、この犬のコーシローと関わった代々の生徒たちの切ない青春物語が繋がっていく。切なくはあるがすべての物語に希望がある。物語の大きなテーマが希望なのだ。生徒たちが希望を持って卒業していき、大人になって母校に集結するエンディングに泣けた。もちろん卒業生全員が成功するわけじゃないけど全ての人が幸せであれと願いたい。ラストに優花と光司郎の物語が成就する。『本当に、本当に、好きだったんだ』高校生の光司郎の思いが甦ってきた。 日本には元号があり日本人はその元号に特有の匂いを感じる。明治の匂い、大正の匂い、昭和の匂い、平成の匂い。自分の人生体験、両親や祖父母の昔語り、本や映像の記録などで見知った経験知識を通してその時代の匂いを感じるのだ。この物語には平成の匂いが色濃く漂っている。他の強烈な時代に比べて少し匂いは弱いかもしれないが確かに匂いはある。平成に青春時代を送ったすべての人に読んで欲しいと思う。(青春に年齢はないので、つまり全世代の人に読んで欲しい😌) - 2026年6月30日
ヴィクトリアン・ホテル下村敦史読書メモ感想改装で閉館間近の老舗高級ホテルに集う宿泊客やホテルマンたちの群像劇。再読なのでストーリーの肝を知った状態で読み進み、初読で混乱したところもすんなり理解できた。また中盤で退屈に感じた部分にもきちんと意味があるのがわかる。一種のトリック小説だがトリックだけに留まらない小説としての味わいがあってとても良かった。テーマの一つである『SNSの悪意』『優しさの悪意』はちょっと説明過剰だが充分に同意納得できる。終盤はすべてがキレイに収まっているので少しは波乱があっても良かったかなと思う。またいつか読み返したい。 - 2026年6月28日
あの子とO万城目学読書メモ感想『あの子とQ』の続編だが特に話が連続しているわけではない。でも先にQを読んでおいた方が理解しやすいと思う。世界観に慣れたせいかQよりも読みやすかった。前作のキャラに加えて新キャラも続々登場する。新聞部の生真面目な須佐見さんはけっこう好きなタイプだ。双子のルキラキも好きだけどオカヤマオカはちょっとウザい。カナダ人のオーエンさんはまさかの◯◯男!だからOなんだね。ラストはオランダ人とサクが出てきてなにやら不穏な感じの展開に。さらに続々編へと続きそうなので楽しみに待とうと思う。 - 2026年6月26日
あの子とQ万城目学読書メモ感想私はファンタジーが苦手だ。面白さが理解できないと言ってもいい。この物語の前半部分は吸血鬼の弓子が現実の女子高生の立ち位置で、しかも親友のヨッちゃんのキャラが抜群に良かったので面白かった。しかし後半は完全に吸血鬼世界のファンタジーになってしまったので放棄しそうになった。一応ラストまで読んだが、ごめんなさい、後半部分はちょっと無理だった😭決して作品が悪いわけではなく私の趣味嗜好に合わなかっただけだと思う🙇♀️エピローグは現実世界に戻ってきて続編を期待させる流れになっているので読後感は決して悪くはなかった。 - 2026年6月24日
- 2026年6月22日
死んだ木村を上演金子玲介読書メモ感想8年前に死んだ木村の死の真相を当時の演劇サークルの仲間たちが探っていく。元演劇サークルだけあって演劇に仮託した推理劇。8年も前の出来事や会話をよくそんなに覚えているなあと最初から違和感があったがラストの展開で少し納得。しかし私は演劇にあまり興味がないので演劇的な会話にはついていけなかった。言葉を被せるような会話進行にも戸惑うし、グチャグチャな思考をグチャグチャなままで語られてもなあという感じ。演劇好きな人には面白いのかな。わかる人だけにわかってもらえればいいというのは作者の狙い通りなのかもしれない。
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