こうしてイギリスから熊がいなくなりました (創元推理文庫)

14件の記録
- 雨@little_rain2025年4月27日読み終わった幻想的で陰鬱で、もういない熊の話 そして熊を搾取し追い詰めた罪深い人間の話 あとがきで解説されているイギリスの動物史を先に読むと話の背景が分かると思う
- ベニシオマネキ@tashi_kani2025年4月17日読み終わったフィクションだけど、過去に間違いなく存在した胸糞悪いイギリスの動物史を、夢でも見ているかのような予測不能なストーリーの中に織り込んでいる。 不気味だがユーモアのあるイラスト、邦題含め翻訳された日本語の美しさが素晴らしかった。
- 福藻@fuku-fuku2025年4月9日読み終わったイギリスの熊は、はるか昔11世紀に絶滅したという。 原因は人間による乱獲。食料や毛皮の調達のみならず、娯楽としての狩猟も盛んに行われていたそうだ。ブラッド・スポーツの一種〈熊いじめ〉はわざわざ熊を輸入してまで続けられ、17世紀には国技にもなったというから信じられない。 『こうしてイギリスから熊がいなくなりました』は、タイトルのとおり、イギリスで生きてきた熊たちがやがてその地から姿を消すまでの足跡を辿る作品集だ。イギリスの暗い過去への皮肉をたっぷり効かせたダークな8つの物語には、実に様々な熊が登場する。 悪魔と怖れられる熊、見世物として蹂躙される熊、人間に紛れ労働に従事する熊……どの熊も、淋しく、陰鬱だが等しく愛おしい。海に沈んだ町の水底で、老女を埋葬する深海潜水士の熊には特に惚れてしまった。背中で多くを語る熊なのだ。 それぞれ独立した物語としても読める8つの物語は、最終章のラストシーンでひとつに重なる。その神々しさったら凄まじく、この光に当てられていたいからもうこの本を手放せない。 ところどころ挟まれる挿画も素敵だ。物語の不穏な雰囲気を底上げしていてとても良い。エドワード・ゴーリーの世界観が好きな人には刺さるんじゃないかと思う。解説によれば、挿画家のデイヴィッド・ロバーツ本人がゴーリーの影響を認めている。 最後に、邦題にも触れたい。原書のタイトルは“Bears of England“。シンプルに訳せば「イギリスの熊」となるところを、このなんとも物語性を感じる邦題に結びつけた訳者に感謝したい。このタイトルでなければ、私はこの本を手に取らなかったかもしれない。 ミック・ジャクソン/田内志文 訳『こうしてイギリスから熊がいなくなりました』創元推理文庫
- シモン@yansimon071103202025年4月1日読み始めた読み終わった4/2了 哀しい寓話集。 可愛いさは皆無で具体的に酷い場面があるわけではないのが返って想像が逞しくなり虚無感… 熊と言えば二本足で立つ姿のイメージで、どこか人間ぽさがあって現実の獰猛さを忘れがち。(生息域に住んでいる人は除いて)だがしかしどんなに人間ぽくて賢さゆえの愛嬌たっぷりでも私たちとは全く異なる生物。何にもかもを自分たちの基準に当て嵌めてルールを作り崇めたり酷使したり思いの儘…最後船に乗れて良かった😢