勝手に(？)信頼している書店員さんが楽しそうに読んでいて、その楽しさちょうだい！となったやつ うちにも一冊入荷していたはず、読みたい……

〈世界があって地図があるんじゃない〉

一見ありふれた一枚の地図をめぐるファンタジー。登場人物のほとんどが地図学者。なぜ、皆その地図に固執するのか。物語は殺人や盗難事件へ発展し、やがて地図の秘密が解き明かされていく。 地図帳大好き星人なので、このテーマはとてもささります。行ったことのない場所を地図で空想するのはよくやりますが、本作ではまさかその場所自体を‪✕‬‪✕‬するとは⋯。しかも、現実にあった出来事がモチーフになっているとか。 あと、刑事さんの活躍の場がもう少しあってもよかったでしょうか？ 地図が好きな方、都市ものSFが好きな方はぜひ。

地図製作会社がライバル会社によって自社の地図がコピーされたことを訴えようとする。しかし正確な地図は誰が作っても同じものになるはず。そこで存在しない街を埋め込み、それを写し取らせることでライバル会社を罠に嵌める。その存在しない街のことをペーパータウンという。『非在の街』はそのペーパータウンにまつわる物語。（ここからネタバレ）……というのは巻頭言にもあるのだが、そこに踏み込むまでに200ページが費やされる。長い！アイデアひとつに対してちょっと冗長すぎた。終盤流し読みしてしまった。地図学をテーマとしながらその領域の深みを感じさせる記述も少なく、「崩壊してしまった友情」に関する感傷的な昔語りに終始していた印象が残る。