家守綺譚

11件の記録
- あやね@aynm3122025年10月10日読み終わった植物や生き物が出てくる情景の描写がとても細かくて、今は秋なのに話の中の季節のような感じがした。秋なのに、冬から春への移り変わりの風を感じる、みたいな。 自然の中で起こることを感じて言葉にしていくのが、当たり前の世界っていいなあと思う。 うちの庭の植物を観察してまわりたくなった。
- きなこ@kinako20252025年10月7日読み終わった最高私の好きなジャンルの小説。梨木香歩さんはエッセイが巧みで、以前新聞連載のエッセイを楽しみにしていた時期があった。自然への造詣が深く、心に沁み入る作品を書く手練れ。 小説のこの作品も、同様に素敵な作品だった。 文筆家の綿貫征四郎が、亡き親友の実家を管理するために住み始めるところから話が始まる。 嵐の夜、床の間の掛け軸の中から現れた親友の高堂。 彼の勧めで飼い始めた犬のゴローと、ゴローを可愛がる隣家のおかみさん。征四郎の碁の相手の和尚。さまざまなな草木が生い茂る庭にやってくる異界の者たち。完璧に私の大好物の泉鏡花と山田章博の世界でワクワクしながら一気読み。こういうお話をもっと読んでいきたい。
- 草大福@yadokari152025年7月17日読み終わったこれは好きすぎる。空気感がとても良い。怪異が起こるけど、登場人物全員が大体平然としているのがいい。 淡々と日常が描かれつつ、時々心揺さぶられるような描写もあり。雨や霧、つくのかどうか怪しい電球など、全体に薄暗くて、でも清潔で静謐な雰囲気が、大人を癒すファンタジー。 自分の好きなものとのつながりで、山田章博の短編漫画の雰囲気を思い出した。夢の博物誌あたり。怪異が起こるけど、登場人物が淡々として受け入れるあたりに似た雰囲気を感じる。どちらも好き。絶対叶わないけど山田章博さんにコミカライズしてほしい。と思ったら、コミカライズ自体は別の方の手でされているよう。チラ見した感じ素敵な雰囲気だったので気になっている。 コントロール不可能な領域、例えば自然のものを、受け入れる力が必要である、と最近思うことあり。突然現れてはちょっかいをかけてくる植物や動物たち(と高堂)を、そういうものかと受け入れる綿貫やおかみさん、和尚さんの姿は、生きる上で参考にすべきものなのではないかと思ったりもした。
- yuna-yuna@yunaminxxxtvxq2025年4月30日ふと思い出した好きで何度も読んでいる一冊。 梅雨のある午後に家にひとり、突然降り出した激しい豪雨の雨音が響く中で一気に読んだ。物語の美しくも幽遠な世界と、2階の窓からのぞいたときのまるで道の上を龍が這っているかのように白くうねる雨の飛沫、揺れながら打たれるままの大きな木々の群れ、すべてがとてもとても幻想的で、夢うつつのように読んだ思い出。梅雨を思うと、あの日の光景と一緒に思い浮かんでくる。
- mya@miya03072024年12月11日読み終わった死んだ友人の一軒家を守り暮らす物書きが出くわす、不思議なできごとが描かれたお話。 キャラクターはたくさん出てこず、自然や動物についての描写が多く、あれこれ考えながら読む必要がなく(不可思議なできごとは理屈ではなくそういうものだから)、静かで穏やかな空気があるので、心身共に疲れている時にも読める本。ひとつのお話が短くて読みやすいのもおすすめポイント。