一番大好きな作家さんの小説なので、ちまちまと勿体ぶって読もうと思います。

悪の教典、貴志先生のことだから面白いと思ってたけど、悠々と予想を超えてきたな

ページを繰る手が止まらないとはこのことか……となるほど本当に夢中で読んだ。映画版は昔観た。 生徒の名前とか全然覚えられないと思ったけど、メインキャラは早々に固定してくれるので読みやすい。 案外ハスミンの完璧な人心掌握っぷりの方が楽しくて、「めんどくさいし殺っちゃうか」(実際はこんなノリではないけど)の方は「えー、もうちょい頑張ろうぜ？」と思っちゃう部分もあり。 だけど、どうやって？のところの演出がちゃんと工夫を凝らしてきてる感じがするので下巻も思っていたよりは楽しみ。

この作品に「倫理」は存在しません。 主人公・蓮実は自分にとっての邪魔者を次々と排除していくサイコパスです。しかし、今まで周囲からの信頼を積み上げてきているため、全く疑われません。そして、自分に都合がよくなるように立ち回るのがとても上手いです。自分のしたことで他人がどうなろうと全く気になりません。だって、共感性がないんですから。 読んでいるうちに、蓮実の所業に対して何も感じなくなっていったことが一番怖かったです。この世で一番怖いのは幽霊でも妖怪でもなく、サイコパスなのではないでしょうか。

文庫本