知への賛歌 修道女フアナの手紙 (光文社古典新訳文庫)

15件の記録
- CandidE@araxia2025年10月5日読み終わった「徴がある? なら死ぬがいい! 秀でた徴がついている? なら滅びるがいい、それが自らに秀でた徴をつける者の報償なのだから!」(『ソル・フィロテアへの返信』) もう、めちゃくちゃアグレッシブ。言葉の荒波がドドドッと押し寄せる。その波を自在に乗りこなす彼女の魂にしびれた。完全にやられた。この本に出会えて本当に良かった。 ソル・フアナ。ご存知だろうか? 私は知らなかった。 17世紀メキシコの修道女にして、桁外れのセンスと鋭敏なインテリジェンス、そして燃え上がるスピリッツを内に秘めた詩人であり作家。生涯を修道院という檻の中で過ごしながら、彼女は文才を武器にも防具にも変え、詩や劇作、手紙という遠隔攻撃で世間を魅了した。メキシコでは紙幣にも描かれたスーパースターである。 本書には、彼女の詩と2通の手紙が収められている。 とくに手紙がすごい。「圧」が物凄い。完璧に組み上げられた文章の中に、知性と感情がギュギュギュッと圧縮され、激しい怒りではなく、論理と皮肉で世界をねじ伏せる強さと矜持に満ちている。 冒頭に引用した「秀でた徴があるなら滅びるがいい」という一節が放つ気炎に、思わず胸を打たれ、涙がこぼれる。痛みを推進力に、反抗を共鳴に変える力。みずみずしい感性が隅々にまで息づいている。それは文学を超えた、高貴な生命現象だ。300年の時を超え、いまもビリビリする鮮烈な電撃。生意気。 その魅力は、読めばきっとわかる。私のこのテンションがわかる。不意に笑って、元気が湧いて、勇気をもらって、そして少し泣いてしまう。訳者の素晴らしい解説とまえがきとあとがきとともに、ぜひ堪能してほしい。きっと誰もが、彼女を愛さずにはいられない。 フアナよ、甦れ。
- 葉の上の文字@bozu82pip2025年9月21日読み終わった期待していた詩が少なかった。もっと読んでみたいが日本語訳はない模様。 格下で学ぶことも禁じられていた「女」からの反論が凄い。 理性的な女性たちを男が恐れたのもわかるなあ。
- よみみ@yomir2025年9月19日読み終わった感想学ぶために修道女になったフアナは学ぶことをやめないんだー!!詩を書いたり学ぶのやめろって言ってくるジジイにも反発!みたいな本。 フアナが言ってることはわかるけどちょっと難しかった!いかんせん聖書や神話、歴史知識が足りなすぎる。フアナが出してきた人物の中でわかったのは数名…かなしい。当たり前のようにテイレシアス(オイディプス王にも出てきた盲目の預言者)とか出てくるから、かろうじて覚えてておぉ〜!となる…みたいな感じでした。読むにはレベルが足りなかったね。 今でこそマシになった世の中でしょうが、当時このフアナの存在と主張に励まされた女性はたくさんいたのだろうなぁと思った。 そもそも字が読めなければフアナの主張も知ることが出来ないわけだけども。 フアナがもし今の時代にいたらどうだったのかちょっと気になりました。
- るなも@lunamocchi2025年9月10日読んでる訳者の前文がすばらしい 三百年前のメキシコ・シティで誰にも相談できずにひとり考え、悩み、どうして、なぜ、と世界の不合理を問い続けた、ひとりの、小さな、美しい妹の、全存在をかけた呟きと叫びをぜひ聞き届けてほしい