アイヌの世界に生きる

アイヌの世界に生きる
アイヌの世界に生きる
茅辺かのう
筑摩書房
2021年7月12日
4件の記録
  • 小萩海
    小萩海
    @umiyoake
    2025年7月21日
    ずいぶん前から積んでいて、たまに読んでは、また置いて、出かける時にカバンに入れる本のうちの一冊に加わり、気が向いたら読む、と亀の速度で進めていた本を、ようやく読み終えた。いつ買ったのか覚えておらず、手にとってからおそらく年単位での時間が過ぎている。結局昨日と今日で一気に読んだ。長い年月の間にたくさん出し入れしたので、カバーの破れ目が広がってしまった。 この本は、「トキさん」という、明治末、もともとは入植者の子供として生まれたが、当時の過酷な生活状況から育てることができず、生後間も無くアイヌの家族に養子入ったひとりの女性の語りをもとに書かれている。彼女自身の人生、そして彼女をアイヌの娘として育てた義母の人生、失われゆくアイヌの土着の言葉や文化が、たくましい女性の目線で語られ、それを、外部の人間である著者の視点も絡めながら丁寧に聞き書きしたことが伝わる本で、これ一冊をもとに十分朝ドラを構成できそうな、濃厚な内容だった。 異文化に関する地盤が、急激にゆるんでいることを感じずにはいられないここ最近。日本で実際に起きた同化政策、偏見、それらに翻弄されながら生きてきた人たちの人生を知ることは、問いを深めていくのに重要だと感じる。 自分は、知識が浅く、時流に心が簡単にゆらぎ、他の人の意見に対しても直感的に反応したりして、意見を深めていくことがどんどん苦手になっている(もともとそんなに得意でもない)。わりとそれでものほほんとやっていけたのだけれども、やっぱり粘り強く考えたり他者と(ほどほどに)交わり労わりあいながら、この弱さに向き合いたい。どうあれ、この荒波の中で、生きていかねばならないので。 不安定な時代において、大きな組織に比べればはるかに弱い個人が、どう生きていくかのヒントとなりえる本でもあると思います。
  • 柚子🍋
    柚子🍋
    @jnk_airport
    2025年7月15日
  • 『アイヌもやもや』の次に読んだのが、この『アイヌの世界に生きる』だったと思う。 あらためて読み返した。 やはり深い感動がある。 1906年に和人として生まれ、アイヌの家族に養女として育てられた「トキさん」。著者の茅辺かのうは、1973年、トキさんの家に20日間ほど滞在し、彼女の生い立ち、アイヌの暮らし、言葉を書き留めた。 厳しい時代と過酷な自然の中で、トキさんが大切に覚えてきたアイヌの世界。 トキさんの芯からの強さが胸を打ち、著者のまなざしがまっすぐに温かいことに心が救われる。
  • hina
    hina
    @hina13f
    2025年6月3日
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