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あずき(小豆書房)
あずき(小豆書房)
あずき(小豆書房)
@azukishobo
山に囲まれた福井県池田町にてひっそりと本屋&カフェをやっています。いつも数冊を同時並行で読む。
  • 2025年7月8日
    シシになる。
    そこでは、人も動物も幽霊も区別しない。 岩手県遠野市。かつて一人のよそ者としてこの地を訪れ、見えないものたちの世界を『遠野物語』として世に出した柳田國男が"戦慄"したというシシ踊り。 この本の著者は、遠野のことも、遠野物語のことも全く知らなかった一人のよそ者で、地元をよく知る人たちに地域を案内してもらう様は、かつての柳田と同じ構図だ。そして、シシ踊りと邂逅する。 シシ踊りとは、シシとは、一体何なのだろう。移り住んで10年。シシ踊りと遠野物語に向き合い、没入し、書ききったであろう一冊。 人間が主観的に動物になる。しかも色々な動物のパーツをハイブリッドに混ぜたキメラのようになる。鹿は神の使いであり、田畑の害獣でもある。 共存する。 身体を通してシシを踊り、内なる野生が万物と共振する。 「誰もがシシになれる」 祭りや芸能は、言葉や文字ではない形で他者と繋がるメディアのような役目をもつのだと思う。 祭りのある地域の方や、他の土地から移り住んで地域の祭りに参加するようになった、という経験のある人なんかも、きっと胸が熱くなる一冊だと思います。
  • 2025年7月8日
    アイヌの世界に生きる
    『アイヌもやもや』の次に読んだのが、この『アイヌの世界に生きる』だったと思う。 あらためて読み返した。 やはり深い感動がある。 1906年に和人として生まれ、アイヌの家族に養女として育てられた「トキさん」。著者の茅辺かのうは、1973年、トキさんの家に20日間ほど滞在し、彼女の生い立ち、アイヌの暮らし、言葉を書き留めた。 厳しい時代と過酷な自然の中で、トキさんが大切に覚えてきたアイヌの世界。 トキさんの芯からの強さが胸を打ち、著者のまなざしがまっすぐに温かいことに心が救われる。
  • 2025年7月1日
    エピタフ  幻の島、ユルリの光跡
    北海道根室半島沖に浮かぶユルリ島。かつては昆布を採集する漁師の住居や番屋が建っていたが、家畜の馬を残して最後の島民がユルリを離れたのが半世紀前。最盛期には30 頭もの馬が暮らしていたが、今では数頭が暮らすだけ。 固有の自然を守るために上陸が厳しく制限されたこの幻の島を、2011年から撮り続ける写真家、岡田敦。最後の島民、最初の馬主などとの対話や、ユルリ島にまつわる歴史、吸い込まれるような瞳をもつ馬と霞む島の情景を一冊にまとめた美しい一冊。
  • 2025年6月25日
    アイヌがまなざす
    アイヌがまなざす
    第2部まで完。 第4章は、なるほど、そういうことか……と。分かってなかった、そういうことなんだな、と。 そして第5章は、なるほど、そうだな、と思う部分と、うーん、そうなのかなぁ?な部分、両方あった。 考え続けること。
  • 2025年6月17日
    家の神さま 民間信仰にみる神と仏
    いい意味でゆるさがあり、アカデミックでないのがいいと思った。研究のためにと無理矢理にかき集められたものではなく、骨董屋や古道具屋などで惹かれたものたちのコレクション。 「これは、どの時代の、誰々の作品で…」というような価値観では測れない、愛おしさであふれている。
  • 2025年6月14日
    看取られる神社 変わりゆく聖地のゆくえ
    「建物」ではなく「土地」として神社をみたとき、その姿は実に多様である。あらゆる理由によって、そこは神社となったり、神社の形を成さずとも何らかの聖地となったりする。その土地のコミュニティの存続に関わるような重大な、忘れてはならない何かをその場所に刻み込む。そして、人口減少、だけでなく、ありとあらゆる理由によって終わりを迎える。または、それでもなお拠り所として生き続ける聖地もある。 著者の聖地をめぐる旅は、聖地の記憶を記録したいという想いにつながってゆく。
  • 2025年6月10日
    民具のミカタ博覧会 見つけて、みつめて、知恵の素
    民具のミカタ博覧会 見つけて、みつめて、知恵の素
    誰かが設計したものではなく、生活の中でデザインされてきた「民具」から、人々が育んできた自然観や世界観を見出し、より良い生活文化を創造するヒントを得る。 日本全国と世界中から集められた民具が、用途や造形ごとにたくさん掲載されていて、類似点や相違点を探しながら見るのが楽しい。
  • 2025年6月8日
    声の文化と文字の文化〈普及版〉
    声の文化と文字の文化〈普及版〉
    読みたかったので、普及版ありがたし。早速、仕入れてあります。 人間は文字を獲得したことで、何を得て何を失ったのか、に興味がある。 言語と文字はセットだと思い込んでいたけれど、数の上では、文字を持たない言語の方が圧倒的に多いということを最近知った(公用語として使われるのは、文字を持つ言語) 読み書きは、人類にとって当たり前の文化ではない、ということ。
  • 2025年6月7日
    大災害とラジオ
    大災害とラジオ
    災害時にはラジオ、と言われる。 メディアが多様化し、SNSが発達した今も、受信機と電池があればどこでも聴くことができるラジオは強い。 被災状況や復旧情報だけでなく、減災や希望につながる情報も伝えることができるラジオ。 被災者に語りかける放送は、被災していないリスナーの共感をも呼びさまし、リスナーからリスナーへの支援や励ましにつながる。 「ラジオ的なもの」が非常時にどう働くか。 博士論文をベースに書かれた一冊。
  • 2025年6月3日
    家守綺譚
    家守綺譚
    山に囲まれた田舎に住んでいると、精霊か化け物か、木や花や河童や小鬼などが作中に数多出没しても、主人公の綿貫と同様、驚きはするものの違和感なく受け入れてしまう。都会で読むとまた違った印象なんだろうか。 梅雨時の日本家屋によく似合う。
  • 2025年5月31日
    落語と学問する
    落語にまつわる学術的エッセイ集。落語を人文学する、という感じ。時代性、言語性、ライブ性の3つの視点から落語を考える。 落語家による落語論と、落語家でない批評家による落語論についても後ろの方にまとめられており、ブックガイドとしても優秀。
    落語と学問する
  • 2025年5月28日
    海外・多拠点で働く
    海外・多拠点で働く
    建築の仕事は、現場(ローカル)に根差したものであり、同時に、現場がある以上さまざまな場所へ行かなければならない(グローバル)。 この本は、海外に拠点をもつ建築関係者16組によるその土地での活動とQ&Aがまとめられたもの。建築の目線でその土地をみるというのはこういうことなのか、と刺激を受ける。 コロナと同時に店を構えたこともあり、遠出をしたり移動をしたりすることに対して、若い頃に比べてずいぶん億劫になってしまった。私も本屋的視点で色々な土地を見てみたいなーなんて思ってしまった(本屋的視点とは何か、も掘り下げたい)
  • 2025年5月21日
    ナラティヴの被害学
    私たちはある出来事を、なぜ・どのように起こったのか、という、ナラティヴ(物語、ストーリー)の形式で受け取る(実際に体験することはできないので)。そして正義感の強い人ほど、無批判に被害者と加害者という構造を作り出してしまうように思う。 ここで大事なことは、ナラティヴという知の形式そのものが批判対象ではないということだ。ナラティブを批判的に、自覚的に、相対的に、分析する力が求められる。 もう一つ大事なことは、「何のために」分析を行うかということであり、著者にとってそれは「暴力の否定」だという。 しっかり読んで考えたい。
  • 2025年5月20日
    大阪ことばの謎
    「ワロタ」「ちゃうねん」「知らんけど」あたりは関西圏以外でもよく使われるようになった。大阪弁・関西弁はなぜこんなふうに人を惹きつけるのだろう。 そんな大阪ことばの特徴を、リズム・アクセント・メロディ・オノマトペといったことばの音楽性から、また、コミュニケーションの取り方から分析した一冊。
  • 2025年5月15日
    小さいおうち
    小さいおうち
    とある調べものをしていたら、昭和の中頃までは一部の一般家庭にも住み込みの「女中さん」がいた、ということを知り、それがきっかけでこの小説を読んでみたくなった。ちょうど今ドラマ化されている『あんぱん』や『波うららかに、めおと日和』と同じ、昭和初期の様子が描かれている。 中島京子さんは、以前に『ムーンライト・イン』を読んだ。そのときの余韻と似た読後感。ひとの想いなんて、簡単に想像したり結論づけたりできないもの、なのだ。
  • 2025年5月13日
    台湾書店百年の物語
    台湾書店百年の物語
    台湾の歴史を、書店の歴史を通して描く。 需要と供給で成り立つ書店は、時代を映しだす鏡のような存在であり、書店もまた、社会に影響し得る存在なのだと思う。 あたまから読み進めるのもいいけど、うしろ(2000年代)から遡って読んでいく方が、読みやすいかもしれません。
  • 2025年5月12日
    味の台湾
    味の台湾
    大陸にルーツをもつ移民の方々がたくさん住む台湾。歴史的・地理的な混沌の中で、ふるさとを想って作られてきた市井の人々の味。屋台、大衆食堂、日々のやりくり、生活に根づく料理の数々を、台湾を代表する現代詩人が綴る。 台湾に行かれたことのある方にも、これから行かれる方にも、おすすめしたい。味わい尽くすことのできないこの世界を、味わい尽くしたい。
  • 2025年5月11日
    琉球布紀行
    琉球布紀行
    著者が沖縄で暮らした2年あまりの時間の中で訪ね歩いた琉球の染織の仕事。 作り手たちに出会うことは、その人生と、背負わされてきた歴史にふれることだった。 戦火をくぐり、国の争いにもまれてきた沖縄の、琉球の文化は、正当に評価されてきただろうか。 もっと深く沖縄にふれてみたいと思った。
  • 2025年5月7日
    傷のあわい
    傷のあわい
    2002年に刊行された 『異文化を生きる』 を改題、文庫化。様々な理由で渡米した方々の語りから提示される、異国で生きるいくつかの物語。 誰かと共有することのできない苦悩や傷は、語ることで少しは癒されるだろうか。答えの出ない問いが、読む私の中に現在進行形で続いている。
  • 2025年5月4日
    休み時間の過ごし方
    何をするか決められてない時間=休み時間は、生徒が最も主体性を持ち当事者になれる時間かもしれない。集まるメンバーや時代背景、その地方のローカルルールなどによって、休み時間の経験は多様なものになる。 休み時間、何してたっけ。懐かしい気持ち。
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