

あずき(小豆書房)
@azukishobo
山に囲まれた福井県池田町にてひっそりと本屋&カフェをやっています。いつも数冊を同時並行で読む。
- 2026年5月26日
はじめてたこ焼きを食べた日のこと生湯葉シホ紹介"あ、こういう気持ちを味わえることはきっとこの先どんどん減っていくんだろう、とそのとき直感的に思って、未来の自分のために文章を書きはじめた。" 「まえがき」より 繊細だけど、芯をしっかり持った方なのだろうな、と思った。芯があるからこそ、新しいことに出会える(ぶつかれる、楽しめる)のだ、と思う。でも柔らかい言葉で綴ってくれているから、それが良いバランスで好きだなと思った。 - 2026年5月25日
笑いの力河合隼雄,筒井康隆,養老孟司紹介論理的に構築された世界に綻びみたいなものを感じると、われわれは笑う。 子どもは絵本の中で、日常世界から一挙に離れて、非日常の空間に遊ぶことの意味を体験する。 劇場や教会などは、建物が立派であることで、安心して嘘の世界に入っていける。 などなど、興味深いお話が盛りだくさん。 見方を変えれば、世の中のあらゆることは冗談みたいに思えてくる。 私は、失敗は笑い話にして成仏するようにしています。笑 - 2026年5月22日
世界を、こんなふうに見てごらん日高敏隆紹介「なぜ?」を封じ込めない。 わからないことは断定しない。 人間はイリュージョンという変なものを持っている。科学だけではない、柔らかで何ものにも縛られない知性こそが、人間という生きもののほんとうの力である。 動物行動学者、日高敏隆先生。理系学生さんにもおすすめ。 - 2026年5月20日
芸人廃業 ダウンタウンになれなかった者たちの航海と後悔藤井ペイジ(飛石連休)紹介お笑いコンビ、飛石連休の藤井ペイジさんの「このまま芸人を続けてもいいのか?」という葛藤のなかで生まれたyoutube企画「辞めた芸人に話を聞こう」が書籍化。 売れなかった、笑わせられなかった、辞めざるを得なかった悔しさはあるだろうけど、決してネガティブな本ではない。恥も後悔も包み隠さず、そして笑いを交えて語られる(笑いの力ってすごい)。 お笑いを目指した経緯も、その後の新たな道も、十人十色。力強くセカンドキャリアを築いておられる方々から、前向きに生きる力をもらえる。 - 2026年5月18日
資本主義が嫌いな人のための経済学〔新版〕ジョセフ・ヒース,栗原百代紹介経済学と書いてあるけどいわゆる経済モデルを教えるような普通の経済学の本ではない。経済オンチの私が求めてたのはこのような本かもしれない笑 著者は哲学者。 単行本は2012年刊行。序文と解説が付いてこの5月に文庫化。 口にはしなくても内心では、道徳的には多少なりとも反資本主義であるという人が多いと思う。なので、反資本主義への迎合はいつの世もけっこうなお金儲けになる(まさに資本主義的)しかし実際は資本主義の外側などというものはない。情報をやり取りするために生み出された「言葉」が人々の思惑から外れてひとり歩きをするように、ものをやり取りするために発明された「お金」もまたひとり歩きする。 世界の複雑さをありのまま見る方法を説く。 - 2026年5月17日
生きものは遊んで進化するデイヴィッド・トゥーミー,梅田智世紹介パンダが転げまわったりでんぐり返りをしたりしている動画をみるだけで、なぜ私たちは幸福感に包まれるのだろう。 ヒトの子どもの遊びは長く研究対象として扱われてきた一方で、動物の遊びに関する研究はまだまだ少ない。 生きるのに直接役に立ちそうもないのに、なぜ動物たちは遊ぶのか。遊びとは。遊びの豊かさとは。 自然の本質について多くを教えてくれる一冊。 - 2026年5月15日
台湾、お菓子の旅池澤春菜紹介台湾渡航歴70回を誇る池澤春菜さんによる、甘いものに特化した台湾ガイド&エッセイ。 食べて、歩いて、聞いて、調べて、みえてきた、甘くて苦い歴史。 「なぜこの食べものがこの場所で食べられているのか」を調べることは、その土地を深く知る方法のひとつだとあらためて思った。 匂いまで伝わってきそうな現地の写真の数々。 美味しそうなお菓子たち。 最後に小さな短篇小説もついている。 「おわりに」の文章には池澤春菜さんのキュートさがぎゅっとつまっている。 台湾がお好きな方、これから行ってみたいと思っている方に。 - 2026年5月14日
きもの瀬川清子,畑中章宏紹介昭和17年(1942年)刊行、昭和46年(1971年)に再刊され、2025年に文庫化。 女性民俗学者の草分けと称される瀬川清子。 よそゆきの「着物」ではなく生活の中の作業着やふだん着、それからハレ着について記されている。 昔は体の弱い子が生まれたら育ちのよい家々からあまりぎれをもらって縫い合わせ着せたという。そのならわしは東北、関東など各地にあり、福井でも三方郡では33軒、南条郡では48軒の家からきれをもらってきたそう。 命を守る衣食住に対する昔の人の心持ちが伝わってくる。 - 2026年5月13日
発酵を考えるヒントなかじ紹介家庭科の授業で「発酵も腐敗も微生物の働きという点では同じ、人間にとって良い物になるか悪い物になるかの違い」と教わった。「発酵」という概念との出会いだった。 微生物は目に見えない。だからちょっとこわいな、と思った。 その後、先生は、廊下にパンを放置してカビさせる実験をした。これが腐敗だとはっきりわかった。それを見てますます「発酵」というのは奇跡だなと思った。 こちらはそんな「発酵」を、各分野の専門家の視点から語り尽くす一冊。 時間、環境、社会、心の豊かさ。「発酵」の視点で見てみるとたくさんの発見がありそう。 - 2026年5月12日
「趣味に生きる」の文化論宮入恭平,杉山昂平紹介「ほどほど」か「真剣」か。 「労働」との対比で語られてきた「余暇・レジャー」だが、人生100年時代、個々の生き方や働き方も問い直されるようになっている。 「趣味に生きること」についてひとたびまじめに考えてみようとすると、実はたくさんの疑問がわいてくる。趣味は社会とは切り離された自由なものというイメージもあるが、たとえば「料理」という趣味が、今日食べるものを選ぶことができる近代の産物であるように、実は社会や政治とも密接に関わっていることがわかる。 趣味というものを多角的に見つめてみたい人やシリアスレジャーについて知りたい人のための論考集であり入門書。 - 2026年5月10日
「わからない」という方法橋本治紹介「わからない」の中にこそ、可能性や豊かさが詰まっているのだ。本当は。きっと。 「自分はどうわからないのか」を知ることが、人生のコンパスになる。 何でも検索する時代。何でも言語化する時代。「わかりません」と言いづらい世の中。 だけど「わかる」というのは、ただ「知っている」のとは違うと思う。 橋本治っていろんなテーマで本を書いた人なんだなぁとは思っていたけど、これを読むとなるほどなと思う。 - 2026年5月7日
焔に手をかざして 新版石垣りん紹介大正生まれ、昭和育ち、生涯ひとり身であった詩人、石垣りんの小さな暮らしを綴ったエッセイ集。本のタイトルになった『焔に手をかざして』というエッセイは、見開き1ページの小さな文章ですが、童話からかなしみを感じ取った小さな著者と心を重ね合わせて読みました。 - 2026年3月16日
- 2026年3月16日
- 2026年3月16日
つくられた日本の自然大貫恵美子紹介例えばアイヌ語には「自然」という概念を表す言葉はないという。「自然」という概念は本来、極めて捉えどころのないものだ。 にも関わらず、現代に生きる人々は「自然」というものが当然あると思っている。「戦争」に対する「平和」みたいなものかもしれない。真に平和な世界では、「平和」という言葉や概念は生まれないはずだ。 田園も庭園も、いわば文化化された自然である。 なのになぜそれを「自然」だと思うようになったか。歴史の中で「日本の自然」はどのように「表象」されてきたか。 - 2026年3月4日
サーキット・スイッチャー安野貴博読み終わったAI倫理に興味があって、読んでみたら、いやこれめっちゃよくできてるなぁーーーっていう。 話の展開がいい具合に散りばめられており、テンポよく読める。途中で登場人物たちの関係性に変化が出てくるところが面白い(ネタバレせずに書くの難しいな…)。そして終盤に向かってスリルが加速する。 どんな新しい技術も、あらゆる全ての問題を解決することはできず、また、いくら科学が進歩しても人間は相変わらず愚かなのだということを思った。それでも社会を良くしたいと思うことは無駄ではないということも。 - 2026年2月4日
ふきのとう工藤直子,くすはら順子紹介教科書にずっとのっている『ふきのとう』がはじめて絵本に。たくさん音読したのが懐かしい。 絵が、イメージにぴったりでうれしくなりました。 春がくるときってこんな感じ。 今日から立春。 - 2026年2月2日
文学は地球を想像する結城正美紹介読んでるレイチェルカーソン『沈黙の春』、石牟礼道子『苦海浄土』、ソロー『森の生活』などにみるように、環境への関心の高まりには文学が関わっている。 自然や環境への態度として理性と想像力があると思うが、理性には限界があるのに対し、想像力には限界がない。環境の危機は想像力の危機であり、経験の衰退である。 しかし文学によって与えられた表現が腑に落ちたとき、それは(追体験ではあるものの)読者の経験となる。大きな力を持つ。 『文学は地球を想像する』いいタイトルだなと思いました。 - 2026年1月21日
平和と愚かさ東浩紀紹介読んでる分厚い本ですが東浩紀さんの本の中ではかなり読みやすいのでは。動画で喋ってる姿は知ってるけど本は読んだことないなって方は読んでみられるといいと思います。文章で書くこと、文章で読むことの良さがよく分かります。500ページほどある贅沢本!論考でありエッセイでもある。 - 2026年1月20日
もうしばらくは早歩きくどうれいん紹介読んでるくどうれいんさんの文章は可愛いな、愛くるしいな、と思う。 「移動」にまつわるエッセイ集で、あちこちをくるくると移動し、ごきげんで帰路につく姿を想像できる(まったくお会いしたことはないが) 私にはもうこんな若さはないなと思いつつ、年齢の問題ではない気もする。しかし飛行機への思いは共感しかない。
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