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あずき(小豆書房)
あずき(小豆書房)
あずき(小豆書房)
@azukishobo
山に囲まれた福井県池田町にてひっそりと本屋&カフェをやっています。いつも数冊を同時並行で読む。
  • 2025年5月21日
    ナラティヴの被害学
    私たちはある出来事を、なぜ・どのように起こったのか、という、ナラティヴ(物語、ストーリー)の形式で受け取る(実際に体験することはできないので)。そして正義感の強い人ほど、無批判に被害者と加害者という構造を作り出してしまうように思う。 ここで大事なことは、ナラティヴという知の形式そのものが批判対象ではないということだ。ナラティブを批判的に、自覚的に、相対的に、分析する力が求められる。 もう一つ大事なことは、「何のために」分析を行うかということであり、著者にとってそれは「暴力の否定」だという。 しっかり読んで考えたい。
  • 2025年5月20日
    大阪ことばの謎
    「ワロタ」「ちゃうねん」「知らんけど」あたりは関西圏以外でもよく使われるようになった。大阪弁・関西弁はなぜこんなふうに人を惹きつけるのだろう。 そんな大阪ことばの特徴を、リズム・アクセント・メロディ・オノマトペといったことばの音楽性から、また、コミュニケーションの取り方から分析した一冊。
  • 2025年5月15日
    小さいおうち
    小さいおうち
    とある調べものをしていたら、昭和の中頃までは一部の一般家庭にも住み込みの「女中さん」がいた、ということを知り、それがきっかけでこの小説を読んでみたくなった。ちょうど今期ドラマ化されている『波うららかにめおと日和』と同じ、昭和初期の様子が描かれている。 中島京子さんは、以前に『ムーンライト・イン』を読んだ。そのときの余韻と似た読後感。ひとの想いなんて、簡単に想像したり結論づけたりできないもの、なのだ。
  • 2025年5月13日
    台湾書店百年の物語
    台湾書店百年の物語
    台湾の歴史を、書店の歴史を通して描く。 需要と供給で成り立つ書店は、時代を映しだす鏡のような存在であり、書店もまた、社会に影響し得る存在なのだと思う。 あたまから読み進めるのもいいけど、うしろ(2000年代)から遡って読んでいく方が、読みやすいかもしれません。
  • 2025年5月12日
    味の台湾
    味の台湾
    大陸にルーツをもつ移民の方々がたくさん住む台湾。歴史的・地理的な混沌の中で、ふるさとを想って作られてきた市井の人々の味。屋台、大衆食堂、日々のやりくり、生活に根づく料理の数々を、台湾を代表する現代詩人が綴る。 台湾に行かれたことのある方にも、これから行かれる方にも、おすすめしたい。味わい尽くすことのできないこの世界を、味わい尽くしたい。
  • 2025年5月11日
    琉球布紀行
    琉球布紀行
    著者が沖縄で暮らした2年あまりの時間の中で訪ね歩いた琉球の染織の仕事。 作り手たちに出会うことは、その人生と、背負わされてきた歴史にふれることだった。 戦火をくぐり、国の争いにもまれてきた沖縄の、琉球の文化は、正当に評価されてきただろうか。 もっと深く沖縄にふれてみたいと思った。
  • 2025年5月7日
    傷のあわい
    傷のあわい
    2002年に刊行された 『異文化を生きる』 を改題、文庫化。様々な理由で渡米した方々の語りから提示される、異国で生きるいくつかの物語。 誰かと共有することのできない苦悩や傷は、語ることで少しは癒されるだろうか。答えの出ない問いが、読む私の中に現在進行形で続いている。
  • 2025年5月4日
    休み時間の過ごし方
    何をするか決められてない時間=休み時間は、生徒が最も主体性を持ち当事者になれる時間かもしれない。集まるメンバーや時代背景、その地方のローカルルールなどによって、休み時間の経験は多様なものになる。 休み時間、何してたっけ。懐かしい気持ち。
  • 2025年4月28日
    アイヌがまなざす
    アイヌがまなざす
    第一部まで完。 「平等幻想」にハッとさせられる。置かれた立場や状況を完全に排除することはできない。 沈黙と言葉の過剰の振り子構造。癒しが必要。 多和田葉子さんの『地球にちりばめられて』(フィクションではあるが)を思い出す。 言語化されることで傷つくことがある。 言語化することで癒されることがある。 語る言葉をもつことはとても大事。 自分の癒しのために安易に言語化することは避けたい。
  • 2025年4月21日
    いつかみんなでごはんを
    「解離性同一性障害」 著者の碧月さんの中には、主人格の他に6つの人格が存在し、交代で碧月さんを守ってきた。そんな碧月さんの日常を綴ったエッセイ集。 「みんなで、飯食えたらいいのにな」 というパートナーの方の言葉が、読む側にも温かくどこまでも優しく伝わってくる。 知らないことに対してはどうしても構えてしまう。差別や排除はそこから生まれるのだと思う。この本に出会えてよかった。
  • 2025年4月20日
    おじいちゃんちの たうえ
    作者の息子さんが実際にお手伝いしたときに書いた作文を、手直しして、絵を添えたものだそう。 田植えの苦労も、わくわく感も、そして畦や小川の生きものたちの様子も、生き生きと描かれている。 私が子どもの頃はあちこちで見かけた家族総出での田植えも、今ではずいぶん少なくなった。こういう体験は本当に貴重だなと思う。 里山の自然がひかり輝く季節。ゴールデンウィークの子どもたちへの読み聞かせに。
  • 2025年4月17日
    アイヌがまなざす
    アイヌがまなざす
    ひとまず序章完。 ここでは少しだけ触れられていた1903年の「人類館事件」だが、恥ずかしながらまったく知らなかったので少し調べてみた。かなり衝撃的な内容だった。しかし日本もまた西洋から対比されまなざされてきたという背景もあるのだろう。差別構造の連鎖が悲しい。
  • 2025年4月17日
    台所空間学
    台所空間学
    "そもそも建築学科を出たからといって、人の住まいを設計できるものだろうか" 住生活の中身は、複雑で、問題が多く、問いなおせばキリがない。 日々の工夫から自然に成立していったかつての「台所」は、地方によって、また家によってかなり違っていた。対して「キッチン」は意識的に設計(デザイン)されたものであり、全国的にほぼ画一的である。なぜそうなったのか。そこで何ができるようになり、何ができなくなったのか。 日本の「食べる営み」はどう変化してきたか。 2000年、今から四半世紀前に書かれた本。キレッキレだな〜
  • 2025年4月14日
    あらがうドラマ 「わたし」とつながる物語
    フィクションだからこそ描けることってある。今の社会を捉えた上で、さらに先の未来に向けて希望を託せる。そうであってほしい。 観てなかったドラマも多く、観てみたくなった。
  • 2025年4月13日
    芸能の力学
    芸能の力学
    各地に伝わる様々な伝統芸能に、私たちが惹きつけられるのはなぜだろう。そこにはどんな力が作用しているのだろう。 山、川、信仰、歴史、それらが伝統芸能として像を結ぶ。 岩手県花巻市大迫町に伝わる 「早池峰神楽」 を半世紀かけて調査研究してきた著者による渾身の一冊。 演じる者も観る者も、歴史の一部を作っているのだと思わされる。
  • 2025年4月12日
    韓国、男子
    韓国、男子
    韓国における歴史と、その中で直面してきた男性性をめぐる困難。韓国男性のマインドの源流を探り、理解するための一冊。 似ているとか似ていないとか、比較されがちな韓国と日本で、背景は同じではなくとも共通して抱える問題はある。日本でもたびたび噴出するジェンダー間の分断、ミソジニー、バックラッシュ。 日本社会を考える上でも示唆に溢れた充実の一冊だと思う。
  • 2025年4月10日
    100分間で楽しむ名作小説 宇宙のみなしご
    これは、寂しさの話だと思った。寂しさと、寂しさのなかでたまたま出逢い、手をつなぐ人たちの物語。 青春だ。屋根にのぼるのは、いわば、通過儀礼なのかもしれない。吉本ばななさんの『満月 キッチン2』にも、屋根にのぼる場面がある。 この間マラソンを観たからか、七瀬さんが選ぶのが陸上部というところに妙に納得した。 すみれちゃんとさおりさんの存在がよかった。 救いの小説。いい読後感。 (読んだのは2010年刊行の文庫版)
  • 2025年4月8日
    僕には鳥の言葉がわかる
    読みやすく、面白く、研究ってすごい、となる。 ルー大柴さんのルー語から実験のヒントを得るところなんか最高。 春が来て小鳥の声がよく聞こえてくるようになったので、いま「集まれ」って言ってるかなー?とか耳を澄ませてしまう。笑 まんまと鈴木先生の作戦にはまっている。 いわく、"人間の言葉は動物の言葉の一つにすぎないのだ"
  • 2025年4月7日
    アイヌからみた北海道150年
    ひとりひとりの思いをじっくり読んだ。知識として知ってはいても、本当の意味で分かっていなかったこと。分かっていないこと。 自分の中の自分と比較したり、自分の中の歴史を思い起こしたりもしながら読んだ。 ある面でマジョリティの側にいる(いた)ことに対するうしろめたさを感じたときに、そこで停止してしまうのではなく、そのうしろめたさをいったん堪えて、まずは知ること、知ろうとすることの大切さ。 人々の語りを書き留め、残していくことの大切さと尊さ。 この本を読めてよかった。
  • 2025年4月6日
    群れから逸れて生きるための自学自習法
    「勉強」 にしっくりきてない中学生・高校生に、新学期が始まる前のこの時期に読んでほしい。学ぶことは必ずあなたを助ける。 例えば最近よく聞く 「言語化」 についても、何がどう大事なのか。 この本自体が、読んで、疑って、考えを重ねて、学ぶというプロセスを実践できるようになっているのがすごい。
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