禁色
21件の記録
らむ太郎@Philoctetes39552026年1月10日読み終わったものすごく難しくて今まで読んだ本の中で1番読了までに時間がかかりました。 私が人生で初めて自分から買った小説でしたが買って以来長らく読めておらず去年ようやく読み始めました。 悠一がかなり好きな性格をしていて良かった! 読みながらずっとこの話はどこへ辿り着くのだろうとドキドキしていました。 個人的にはとても読了後感スッキリでいい話でした。
咲@mare_fecunditatis2026年1月4日読み終わった今年最初の読了は三島由紀夫。 今年も魅了されてやまない。新年早々に、凄まじいものに触れてしまった。良い年だ。 言葉を尽くして美が語られる。 身体を持った一個体であるはずの美青年悠一が、復讐心や慾望を投影され、嫉妬と崇拝を向けられ、「愛」されて、意志も苦悩もなく思想にもなりえない、抽象としての「美」にまつりあげられていく。 老作家は、美を支配し、または進んで支配され、翻弄され、死んでいく。 遺された一千万円というメタファー。 「愛する者はいつも寛大で、愛される者はいつも残酷さ。人間をいちばん残酷にするものは、愛されているという意識だよ」 「もはや美は人を黙らせない。美が饒舌を強要するようになった。美の前に出ると、何か大いそぎで感想を述べる義務を感じるようになった。美をいそいで換価する必要を感じるようになった。換価しなければ危険である。美は爆発物のように、所有の困難なものになった。というよりは、沈黙を以て美を所有する能力、この捨身を要する崇高な能力が失われたのであります。ここに批評時代が始まりました。こうして今日の饒舌に饒舌をかけあわせた、耳を聾するばかりの悪時代がはじまりました」 解説に書かれていた改訂の過程が興味深い。 18章「見者の不幸」までがまず第一部として単行本で発行され、その後、自身の海外旅行をはさむ約10か月の休止期間を経て、第二部が執筆・連載された。 それにあたり、当初は第一部のラストで鏑木夫人が自死する筋書きであったところを書き直し、鏑木夫人は自死せず、それどころか、悠一が鏑木夫人を愛しはじめることによって社会と家庭に復帰するよう変更を加えたという。 三島由紀夫自身いわく、「禁色」は、「自分の気質を徹底的に物語化して人生を物語の中に埋めてしまおうという不運な試み」であったという。
𓂋⟢˖⊹ ࣪@nmccormick2025年8月26日読み終わったいままで読んできた小説のなかでいちばん面白かった! 「悠ちゃんはこのごろお洒落になってよ。櫛を買ってきて、いつも内ポケットに入れているの。一日に何べん髪を梳くか知れないの。早く禿げやしないかと思って心配だわ」 一同は康子の感化をおだてあげたが、何の気なしに笑っていた悠一はふと頬を翳らせた。櫛を買ったことさえが、彼には無意識についた習性のはじまりだった。大学で退屈な講義をきいている最中にも、われしらず櫛で髪を調えていることが屢〻ある。 今の大ぜいの前で云われた康子の言葉で、はじめて彼は自分が櫛を内ポケットにひそませるようになった変化に気づいたのである。犬がよその家から骨を持ちかえるように、この些細な櫛の習性こそ、彼があの社会から我家へもちかえった最初のものであることに気づいたのである。














