きみを愛ちゃん (集英社文芸単行本)

12件の記録
- よしい@Yoshe2072025年9月10日読み終わった村山良樹回だけ発表当時「すばる」で読んでいて、単行本化されたということで改めてそれ以外の回も読みたくなり購入。最果さんの文章は、いつも人間の愛というものを誰よりも懐疑的な視線のような、けど誰よりも丁寧に慎重に見つめているような、だからこそ愛という概念について時間をかけて考え詰めて言葉を尽くして語られているように感じられる。ここで語られているキャラクターたちの話はあくまで最果さんが思う解釈なので、もちろん自分の解釈とは少し違う部分もあったりするんだけど、それも含めて最果さんの視点と言葉で紡がれるキャラクターたちへの熱量溢るる文章がどれも美しくてあったかいお手紙のようで心地良く読んだ。エンタメを見たり聞いたりすることが趣味だと、膨大な作品数を日々どれだけチェックできるかということが趣味の主体になってしまって、一つ一つの作品やそこに登場する一人一人の登場人物と自分なりにじっくり向き合うということができていないように思って自己反省することが多々あるんだけど、好きな作品やキャラクター、時には納得いかなかった作品や好きになれなかった登場人物についてもっと時間を使ってじっくり思い巡らせてみようと考えさせられた一冊。