カフカ寓話集

7件の記録
- jirowcrew@jirowcrew2025年10月11日読み終わったクルミを割るだけのことはいかなる芸でもなく、だからわざわざ人を集めてクルミを割ってみせる者などいない。だが、わざわざそれをやってみせて、しかもまんまともくろみを成功させたなら、それはもはや単なるクルミ割りだけではなくなる。あるいはたとえクルミ割りであっても、われわれはこれまでクルミ割り芸といったものを見すごしていたことになる。私たちが単にクルミを割っていただけであるのに対して、いまや登場した新しいクルミの割り手が、クルミ割り本来の本質を示してくれたということになり、しかもクルミを割るにあたって、われわれのおおかたよりも少々ぶざまであったほうが、なおのこと有効に働く。 『歌姫ヨゼフィーネ、あるいは二十日鼠族』
- RIYO BOOKS@riyo_books2021年2月6日読み終わったカフカが宇宙全体に対して行う激烈な訴訟〔審判〕の果てにぼくが見いだすのは、まさにこのごまかしの道なのだ。そして、かれの下す信じがたい判決とは、もぐらまでが鼻をつっこんできて彼岸への希望をいだきたがるこの醜態で衝撃的な世界なのだ。 ──アルベール・カミュ