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@knk008
  • 2026年9月20日
    すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)
    映画化にあたって10年ぶりに再読。 真夜中の静謐、光やピアノの音色にも似たささやかな煌めき、恋慕う感情の鮮烈さがひとところに同居した、奇跡みたいな小説だなと思う。 三束さんは酩酊状態の冬子が見た幻だったのではないかと思わせるラストも切なく余韻が残った。 映画化が怖く、楽しみである。
  • 2026年9月12日
    男ともだち (文春文庫)
    恋人と既婚者の愛人の二人と同時進行で関係を持ち、一番の理解者は男友達で…という何とも共感し難い主人公の話に完走できるか不安だったけれど、話が進むにつれてどんどん面白くなっていった。 要らないものを脱ぎ捨て、削ぎ落とし、がむしゃらに我が道を往く神名と、神名をそうさせる道標的な存在のハセオの関係性がすごくいい。「見ててやること」が自分にとっての愛情と言うハセオがすごくいい。自分にとって得難い大切な存在が一人いてくれさえしたら、自分と相手との関係が世間から何とラベリングされようがどうでもいいなと思える。
  • 2026年8月31日
    人形たちの白昼夢 (集英社文庫)
    12の物語が収められた短編集。宝石のように透き通った静謐な美しさと、暴力・殺戮・破壊衝動のような残酷さが同居する。『魚神』と比べて湿度は低いが艶かしい。この作者の作風だなと思う。
  • 2026年8月26日
    魚神
    魚神
    『姉の島』と似た雰囲気を感じたこちらも続けて読む。二作とも泉鏡花文学賞受賞作という偶然。 離島の遊郭。遊女の姉と薬売りの弟。離れ離れになった二人の結び付きはやがて島ごと揺るがし…… 浮世離れした鮮やかで血生臭い世界に引き込まれる。時代劇または幻想譚の形をしたノワール物だと思った。お互いを強烈に求め合う姉弟の結び付きが周りをも巻き込み、一直線に破滅へ転がり落ちていく怒涛の展開に目が離せなかった。
  • 2026年8月16日
    姉の島
    姉の島
    九州の離島に暮らす海女のお婆さんが語り手。 海に潜る海女の体験談から、戦後海に沈められた戦艦や命を散らした軍人の幽霊、お腹に宿った新たに産まれくる命まで、過去と現在、生と死のサイクルに想いを馳せる。歴史と命の神秘に満ちた海洋幻想譚。「生命は海から生まれた」という言葉を思い出した。
  • 2026年8月15日
    季刊日記 創刊号
    季刊日記 創刊号
    日記の文芸誌。 いろんな人の日記をアンソロジー的に楽しめてよかった。日記という個人的な営みを社会とどう接続するかという試みが興味深かった。
  • 2026年7月28日
    すいかの匂い
    すいかの匂い
    膿んで、息が詰まりそうで、逃げ場がなくて、なのに時間ばかりあり余って果てがない。いやなことをただ全身で受けとめることしかできなかった子供時代を思い出す。忘れられない記憶が目にしみるみたいに鮮烈に脳裏に刻み込まれるのはそのせいかもしれない。夏特有の生と死のコントラストに少し似ている。
  • 2026年7月17日
    ホテル カクタス
    ホテル カクタス
    アパート「ホテルカクタス」に住む帽子・きゅうり・2の三人。生い立ちも性格も好きなものも違う三人が友情を深めていく様子が童話のようなタッチで描かれている。 友情って、友達っていいものだなというシンプルな事実にしみじみとしてしまう。疎遠になったり別れが来たりして最後は一人になったとしても、遠く離れた相手の幸せを願える、それが真の友情だ、とするラストに江國イズムを感じた。
  • 2026年7月8日
    なつのひかり
    なつのひかり
    暴力的なほど眩しい日差しの照りつける「外」とひんやりとした薄暗い陰の「内」。その境目から何かの拍子にあちらに迷いこんでしまうような、あちらのものがこちらに現れてしまうような。江國香織の書く夏にはそういう不穏さがある。 作者独特のやわらかい筆致で描写される不穏な童話。『不思議の国のアリス』や『ハーメルンの笛吹き男』、キューブリックの『シャイニング』なんかを思い出した。
  • 2026年7月4日
    いつか王子駅で
    東京の下町を舞台に繰り広げられる物語。 ある人の不在を軸に、そこに暮らす人達とのやりとりや町歩きを通して、過去を回想し懐かしんだり思索にふけったり思いを巡らし、内へ外へと世界が広がっていく。 好きな作品世界だったけれど、咀嚼に力のいる物語だった。昭和、都電の走る東京の下町、競馬、70年代の日本文学。馴染みのない要素が多くてなかなか没頭できず、行きつ戻りつしながら読んだ。
  • 2026年6月29日
    そして誰もゆとらなくなった
    どうしてこうも面白いことばかり筆者の身に起こるんだろうと不思議だったけど、「無謀なイベントでフッ軽を発揮する」性(サガ)のせいなのでは?面白そうなことに気軽に飛び込めないと面白い出来事は降ってこないよねーなどと思いながら読んだ。ウンコに関しては面白がって読んでゴメンの気持ち。
  • 2026年6月11日
    風と共にゆとりぬ
    読者の共感羞恥を呼び覚ます第一部、日経のコラムという形で真面目な思索を綴った第二部、不謹慎ながら込み上げる笑いを我慢できない痔瘻闘病記の第三部という、一作目を超える緩急の激しいエッセイだった。経験した本人にしてみたら笑い事じゃないだろうに…… コーヒーを飲んで便通を制する戦法の使い手で、謎に仲間意識が湧いた。コーヒーとウォーキングは便通に効く。
  • 2026年6月4日
    旅の短篇集 春夏
    世界のあらゆる都市を舞台に、そこで見聞きした不思議な体験を綴ったショートストーリー集。 旅と読書、異国の地とフィクションの世界はそれぞれ似ているなと思う。現実世界と空想世界が入り雑じり、白昼夢を見ているかのよう。寝る前に一篇ずつ読みたい。
  • 2026年5月19日
    時をかけるゆとり
    「ゆとり世代のさくらももこ」じゃない!? ポッドキャスト『信頼できない語り手』が面白すぎたので、エッセイも読んでみた。書くのも話すのも上手い。才能に嫉妬。 「猜疑心と便意が服着て歩いている」と自己紹介してる回を聞いた直後に読み始めたので、のっけから「便意に司られる」話で大ウケした。馬鹿馬鹿しくて元気が出る。
  • 2026年4月26日
    銀河ホテルの居候 また虹がかかる日に
    引き続き人気シリーズを読もう月間。 マカン・マランシリーズの「食べる」に対してこちらのシリーズは「書く」がテーマ。手紙を書くという行為を通して自分を見つめ直す物語。今流行りのジャーナリングに通じるものがある。 軽井沢、洋風建築のホテル、1000色のインクを有する手紙室。日常から遠く離れた旅先で自分と向き合う時間が誰しも必要なのかもしれない。作中登場するインクを検索して眺めるのも楽しい。どのお話もよかった。
  • 2026年4月11日
    マカン・マラン
    ここ数年で一大ジャンルとなったグルメ?カフェ?小説を読んでみようと手に取った大人気シリーズの一作目。 ドラァグクイーンのシャールさんが常連さんをもてなすために夜だけ営業する、まかない夜食カフェ「マカン・マラン」。人生に停滞感・閉塞感を覚え足取りが落ちてしまった人たちを休息に誘う、宿り木のようなお店。 まず出てくるマクロビ料理が美味しそう。それからシャールさんの掛ける言葉も優しい。マカン・マランは「手当て」に似ている。物語の随所に、立場の弱いもの、こぼれ落ちてしまったものへの眼差しが感じられるところもよかった。 大人気シリーズと評価されるのも納得です。続刊の文庫化が待ち遠しい(一作目の文庫化までに10年かかってるらしいのでいつになることやら……)
  • 2026年3月23日
    詩と散策
    詩と散策
    えらく時間がかかってしまったけど、ちびちび読み進めるのが正解だと思う。 ネットに溢れる強い言葉を浴びてささくれ血がのぼった頭を冷やし静めてくれる清涼剤のような、世界のささやかで美しいものを捉え美しいと思える感性を取り戻してくれるような文章の数々。 辛い現実に心を亡くしそうな時、折に触れて読み返したいと思う。
  • 2026年3月17日
    茨木のり子詩集
    茨木のり子詩集
    今一番共感できる詩人かもしれない。 青い炎のような怒りを湛えた詩の数々が刺さる。正しく善き人でありたい、誰もが平和に自由に生きられたらいいと思うのに、そうさせてくれないものへの苛立ちみたいなものが伝わってくる、人や社会や国への眼差し。 好きな詩がたくさんある。魂の在り方が少し似ていると思う。おこがましいけれど。
  • 2026年2月16日
    空と風と星と詩
    空と風と星と詩
    奇しくも作者の命日だったようで。 「自画像」「星をかぞえる夜」(空と風と星と詩)「いとしき追憶」「流れる街」「風景」「街にて」(『空と風と星と詩』以外の作品から)がよかった。 胸の内を綴った、静かで細やかな詩の数々が、作者の命諸とも喪われた背景を考えては、苦い気持ちになる。
  • 2026年2月11日
    日本の憲法 最初の話
    衆院選の結果が辛すぎて、縋るような気持ちで読んだ。 日本国憲法、その他人権にまつわる条約、宣言、演説、判決等を「詩」に訳した一冊。合間のコラムにも励まされる。 「日本と世界の約束の話ー戦争をなくす約束」の章の、日本国憲法9条、国際連合憲章、ポツダム宣言、核兵器禁止条約を読む。戦争の歴史に想いを馳せる。今自分に何ができるか考える。
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