
由岐
@sasameyuki0601
26年9月末〜
本の多頭飼育をしています。
- 2026年10月5日
読み終わった『斜陽』は何度か読んでる作品だけど、また読み返したくなった。 かず子と母の関係から明治以降の文学で書かれてきた男性の苦悩ではなく、現在取り上げられる母娘問題をいち早くテーマとして描いたことや、なぜ自身の投影である直治や上原ではなくかず子なのか、太宰作品のポリフォニー的な面に着目されていたように思う。 それにしてもあまり意識してこなかったけれど、日中戦争を含めると太宰の作品は作家・太宰治としてデビューしてからほぼ戦時中に書かれたもので、『斜陽』や『人間失格』は太宰が体験する始めての国家が戦争をしていない時期だったというのに驚く。 太宰は戦争を賛美するような文章も書かず、強い否定もせず書き続けた人物として紹介されており、今まで持っていたイメージとは少し異なる一面が見えたと思う。 - 2026年10月4日
おんなの女房蝉谷めぐ実読み終わったお、惜しい〜〜〜! 舞台は江戸、歌舞伎と専門用語とまではいかなくても普段は接しないような単語が多いなか、リーダビリティが高く、それどころか艶やかな文章。お話も武士の家系出身という家父長制にどっぷり浸かった主人公・志乃が女形の燕弥に嫁いで、武士の娘、役者の妻として正しい規範に沿おうと二転三転、燕弥と志乃として生きていくまで。とっても面白かった。とっっっても面白かったんです。 だからこそ! もう少しだけ、この世界の、この二人に読者としては浸かっていたかった! そしてあのラストを二人が迎えるからこそもう少し二人の時間を描いてもらいたかった。そういういい意味で、プラスの気持ちでの惜しいです。 実は初読みの作家さん。だからこそこれ以後の作品が楽しみです。 - 2026年10月1日
言語が消滅する前に千葉雅也,國分功一郎読み終わった國分さんの『中動態の世界』と千葉さんの『勉強の哲学』の刊行時に行ったお二方の対談を起点に5回分の対談をまとめた本。 「言語」、「消滅」というキーワードからは少数言語がこのままでは消滅する、という方面に思えますが、哲学者のお二人なので言語哲学の方で 、その「言語」が今までの様相とは変わってきている、消滅するのでは、という危機感と、これからどうすべきか、コミュニケーションや政治、現代社会で起きていることなど様々なトピックに行きつ戻りつお二方の所見が語られます。 今の息苦しさは何なのか政治がどうしてこうなっているのか、に疑問のある方は読んでみるとクリアになる面があると思います。メモしたい言葉がいっぱいありました。 また刊行時の対談なので『中動態の世界』『勉強の哲学』の副読本、裏話本でもあります。私はなんとこの2冊を積んでいるのですが、未読でも読めました。むしろ早く読まねば……!の気持ちを強くしたので、私のように積んでる方におすすめです。 - 2026年9月30日
掬えば手には瀬尾まいこ読み終わった瀬尾まいこさん、初読みです。 普通で平凡なことに悩む主人公・梨木くんだけど、あるとき、自分は人の感情を読めると気づき、困っている人がいれば声をかけ、それとなく助けていきます。しかしバイト先に新しく入ってきた常盤さんの感情は読めず――というお話 困ってるから助ける、で動ける梨木くんの行動はともすれば現代ではお節介と捉えられてしまうのではないか、と思いますが、誰かのために行動できる梨木くんはやっぱりすごいやつなんじゃないかと思います。 作中には常盤さん以外にも河野さん、香山くん、そしてバイト先の口の悪い大竹店長(朝ドラなら一発で退場が願われる声が溢れる)と梨木くんが素敵なお節介をかけた人たちがいるのですが、この大竹店長が意外な一面を見せてくれてかわいいおじさんだな〜となっていたら本編後の2編番外編で大好きになりました。一年後の梨木くんが店長に対していけしゃあしゃあと接しているのも素敵です。 - 2026年9月29日
100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集福井県立図書館読み終わった実は私も『100万回死んだねこ』という覚え違いをしている。今は覚え違いしているということだけ覚えているのでどっちだったかな、と頭を悩ませることがある。 そんな少し単語が入れ替わった覚え違いから全然別の、何も一致してないものだったり、ふわっとした印象だけだったり、福井県立図書館に寄せられた本の覚え違いタイトル集はフフッと笑ってしまったり、これは秀逸だな、と反対に唸ってしまうような覚え違いに溢れていて読んでいてとても面白い。これで辿り着けてしまう司書さんの腕も凄い(それだけに正規の司書が足りていないという現状や低賃金という報道にがっくりもする) 寄せられた覚え違いを見ながら、これはあの本だな、と思ってページをめくったけれど、当然のことながら知らない本もある。こんな本だよ、という司書さんのコメントもあるのだけど、この司書さんの返しがなんとも温かくて、ほっこりする。 余談ながら、私のお気に入りの覚え違いは『残り全部バケーション』(伊坂幸太郎)の『あと全部ホリデー』、絶妙に間違ってない感じが好きです。 - 2026年9月27日
読み終わったティム・インゴルドの『人類学とは何か』と美術館のミュージアムショップで出会い、装丁に惹かれて読み始めるものの、分かるような分からないような、となっていたので、手引きとして読み始めました。 インゴルドへの言及もあり、くだんの本と方向として同じ方を向いてる本だな、という所感があり、手引きとしては最適でした。 人類学というと、異なる文化の生活を調べているとうイメージがあると思うのですが、様々な経緯をへて人類学自体が今「私たちはどのようにして生きるのか」という問いに向き合っているのだ、ということが分かりました。 言葉は平易で、巻末にはブックガイドもついており、次に繋げられる・広げられる点でも助かりました。 - 2026年9月27日
木曜日にはココアを (宝島社文庫)青山美智子読み終わった青山さんらしい、読後にじんわりと温かさが滲み出てくるような優しいお話たち。この作品がデビュー作なんですね。 東京のカフェから徐々に人々の繋がりが描かれていってシドニーの人たちへ、そしてまたカフェへ。“ココアさん”に祝福を。
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