はやしさん
@seiichi0884
- 2026年2月15日
暗黒の大陸マーク・マゾワー,中田瑞穂,網谷龍介読み終わったホブズボーム『20世紀の歴史』とともに再読。ヨーロッパの百年史の概説だが、ミクロのエピソードの練り込み方が絶妙、かつマクロな解釈もシャープで、21世紀の展望がおそろしく洞察にあふれている。とくにネオリベラリズムと移民政策に関する展望は、今こそ耳を傾けたい内容。訳文もリーダブルで、訳者たちの苦労と努力が報われていると思う - 2026年2月8日
多様性との対話岩渕功一読み終わった岩渕功一『多様性とどう向き合うか』(岩波新書)読了後に、あらためて再読。新書版で示された問題意識のエッセンスが、岩渕による序章にまとまっている。耳障りのいいDEIとかダイバーシティとかを追求する影で、差別や不平等を是正する動きはうさん臭く思われるようになった。企業によるグリーンウォッシュとかピンクウォッシュを批判するまなざしの、ダイバーシティ版と言えるだろう なお、岩渕の問題意識を共有する髙谷幸や塩原良和の章/コラムの切れ味はあまりに鋭すぎる 日本では、エスニックマイノリティの文化やアイデンティティを承認する多文化主義はそもそも希薄であった。とすると、日本の〈多文化共生〉とは、外国人に自助努力を求めながら、どう秩序と調和(unity)を維持するかをめぐる〈社会統合〉のことである。髙谷は、近藤敦の指摘をもとにこうのべる ここでの問題は、「移民政策をとらない」と言明してきた政府が、その社会統合政策にもはっきり及び腰だという点、そして外国人が日本でちゃんと暮らしたきゃ徹底的に自助努力だ、うっかり税金滞納ふくめ悪さは厳禁だという姿勢だ。そこには、れっきとした納税者、地域住民としての外国人へのまなざしはない これが、多文化主義を通過しないまま、多文化共生という擬制的統合政策へ到達した日本の今である。そんな日本では、日本語教師のかなりの割合がボランティアでまかなわれている。すさまじく高い日本語力を外国人に求めるのに、あまりに痛烈なシーンだ 衆院選は本日(2/8)終わる。そしてまた排外主義が吹き荒れるのだろう。その心の準備をするにはもってこいの一冊 - 2026年2月7日
斜め論松本卓也読み終わった精神医学や臨床心理学における〈垂直〉と〈水平〉がテーマ。ハイデガー(主義)に影響されつつ、長らく前者が尊重されすぎてきた中、後者から患者/当事者へアプローチする試みを追う。ビンスワンガーに始まり、中井久夫論でグルービーとなり、上野千鶴子と信田さよ子を語る段で筆が踊り、べてるの家の当事者研究を紹介する段で筆致はやや穏やかになる、そんな感じの心地良い一冊。 ハイデガーを〈水平〉にする試みである第6章は私には難しかったけど、本書の問いかけはとてもシンプルで、考えるところ大だった。〈垂直〉だけでも〈水平〉だけでもない、横の仲間たちの輪を広げる中で、〈ちょっとした垂直性〉をいかに飼いならすかにまで目配りする、良書 - 2026年2月6日
新しい封建制がやってくるジョエル・コトキン,中野剛志,寺下滝郎読み終わったヨーロッパ中世に関する歴史的アナロジー論の先駆的著作。〈農奴〉そっくりの下層階級と〈貴族〉そっくりの超富裕層の相克が先進各国の共通点だとし、その行く末を心の底から案じている……似たテーマの本は多いが、本書は簡便にしてリーダブル、各章もすっきりしている。それでいて裏付けも豊富で、割愛されている膨大な注は版元サイトからDL可能。終章では、経済成長が止まった高齢社会ニッポンが、精神世界やQoLに関心を向けられる高所得国のモデル「アジアにおけるスイス」となりうると指摘されている。本当かよ、と注をたどったところ、ピリング『日本』(ハヤカワ文庫)とともに、かつてのジャパンバッシャーの雄、ウォルフレンの1989年の著作が引かれていて、この程度の裏付けかぁとは思った笑。 バルファキス『テクノ封建制』(集英社)、リンド『新しい階級闘争』(東洋経済新報社)などは本書の姉妹編ともいえる。国際政治学では、田中明彦の先駆的著作『新しい「中世」』(日経文庫)が似たような発想である。昨年刊行された田所昌幸『世界秩序』(中公新書)では、将来を占うシナリオが示される部分でコトキンの本に言及されている - 2026年2月6日
国際社会学・超入門樽*本英樹読み終わった超入門の題にふさわしくリーダブル、さくさく読み進められる。それでいて要となる概念や理論も適度に紹介されていて重宝する。「恋」の切り口から国際移民に迫った章の手さばきが新鮮で、著者の力が入っていた - 2026年2月5日
脱植民地化デイン・ケネディ,長田紀之読み終わった簡便な入門シリーズの一冊。脱植民地化の〈4つの波〉を提示する=アメリカ合衆国やハイチの独立、WW I後の東欧の独立、WW II後の世界的な植民地解放、そしてソ連崩壊後の独立。なかでも第三の波に特化して記述が進む。日本の読者にはなじみのないアフリカ他の地域の独立の記述は、興味深いし、レファレンスとしても活用できそう - 2026年1月30日
多様性とどう向き合うか岩渕功一読み終わった岩渕編著『多様性との対話』(青弓社)が良かったので、続けて本書を読了。だいぶ易しい筆致で、「多様性」という言葉にまとわりつくうさん臭さを前向きに溶きほぐす。著者の立場は明確で、多様性の尊重や、横暴な言動のキャンセルなどは、構造化した差別の変革の手段としてあるべきで、それらが自己目的化しちゃだめだってこと。シンプルにして重大な指摘 - 2026年1月23日
現代思想2025年12月号 特集=排外主義の時代中條千晴,倉橋耕平,宮下萌,巣内尚子,鈴木江理子,髙谷幸読み終わったほぼ一冊まるまる排外主義特集で、アンソロジーの本一冊分の読み応えあり。思想というより社会科学の脇を固めた論考も揃っており、安心感がある(たとえば五十嵐彰論文) - 2026年1月20日
- 2026年1月19日
- 2026年1月17日
- 2026年1月11日
北朝鮮に出勤しますキム・ミンジュ,岡裕美読み終わった各章数ページずつのコンパクトな回想エッセイ。南北の協働の最前線での思い出、あつれきなどを語ってゆく。訳者解説も触れているとおり、愛の不時着を観て感銘を受けた人にこそ届いてほしい名品だと思う。映像化希望! - 2026年1月7日
陰謀論と排外主義 分断社会を読み解く7つの視点古谷経衡,山崎リュウキチ,清義明,藤倉善郎,藤倉善郎ほか,藤倉善郎他,選挙ウォッチャーちだい,黒猫ドラネコ読み終わったSNSをはじめとする場で陰謀論と排外主義の交差を確認する人たちのアンソロジー。読みやすいが読んでいて明るくなる内容ではない。現状のルポを柱としつつも、社会心理学的知見や歴史的背景も交えながら論が展開されていて、おおむね説得力があった - 2026年1月5日
- 2026年1月5日
モビリティーズ研究のはじめかた伊藤将人,吉沢直,野村実,金磐石,鈴木修斗,鍋倉咲希読み終わった若手による研究例集で、もっと手堅い筆致の『モビリティーズの社会学』(有斐閣)より断然読みやすい。モビリティ、インモビリティて結局どんな感じなの?というイメージをつかむのにちょうどよい。東京の鉄道ダンジョンを移動するツーリストを追った安ウンビョルさんの章がとっても面白かった - 2026年1月3日
FREE 歴史の終わりで大人になるレア・イピ,山田文読み終わった独自の社会主義路線をいったアルバニアのホジャ時代に幼少期を送った女性の自伝。前半はほのぼのしててこんなものかーと読んでいたけど、10章「歴史の終わり」以後のグルーブ感はとてつもない。体制移行のもとで自由/資本主義も経験するが、社会主義とはべつの悲劇が待っていたし、ネズミ講にはまった国民の鬱積がつのったアルバニアは内戦に入り、家族は離散する。父と「マルクス主義には近づかない」と約束して哲学を専攻した著者が、今ではマルクス主義をLSEで教えることもまた歴史の妙。祖母ニニこそが影の主役で、本書も彼女に捧げられている。次作は彼女が主役となる一冊らしく、邦訳が待望される - 2026年1月2日
「人の移動」の国際政治鶴園裕基読み終わった在日コリアンの移動管理については研究蓄積は厚いが日本華僑については薄いと著者は言う。その間隙を、史料に基づきていねいに埋める学術書。アカデミックに脇を固めているだけにすらすら読めるものではないが、筆致は誠実で、各章末に小括、終章に全体のまとめが記されているから、論旨は容易につかめる。快著 - 2025年12月30日
- 2025年12月30日
- 2025年12月29日
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