はやしさん
@seiichi0884
- 2026年3月20日
- 2026年3月8日
- 2026年3月8日
ナショナリズムとは何か中井遼読み終わったすごい本を読んでしまった。シンプルかつ端正な書きぶりに潜む膨大な知見。著者の労苦が真に忍ばれる。付箋も傍線も引きすぎてほぼ意味を成さなくなった。ナショナリズムの実証面に関するハンドブックを一人で書き上げた感じで、今後、増補、改訂の形で刊行され続けてほしいと思う一冊。ナショナリズムを善悪論から解き放つ、あたかも〈火の鳥〉としてのナショナリズムをつかまえようとする一冊 - 2026年2月28日
極右インターナショナリズムの時代佐原徹哉読み終わった欧米を中心に、各国の極右思想が、ローカリティを相対化しながら国境を越え伝播するという現象を、これでもかという情報量をもとに描いた一冊 類書がとぼしいだけに、バルカン史の専門家としてこの現象をウォッチしてきた著者の熱量は並々ならぬものがある。個人的には、「人種」の入れ替え論を検討した第三章がもっとも面白かった ただし、全篇を通じて情報量が多すぎるし、焦点が、極右インターナショナリズムからごく頻繁にずれてゆく。そのため読みごたえがあるものの、かなりハードな読書体験となる とりわけ難民のバルカンルートを論じた第五章は、この問題の流れとヨーロッパ各国の欺瞞を確認するにはもってこいだが、極右思想とのつながりがほとんど言及されずに終わっている また、中東のジハード主義を論じた第二章は、登場人物や団体があまりに多く登場し、いささか生煮えの感があり、筋を追うだけで一苦労であった とはいえ、情報量が多いし、付箋を貼りまくったのも事実で、貴重な知見の宝箱にアクセスした感があるから、読後感は満足であふれている 版元には、この情報量なのだから、ぜひ索引を付すことを英断していただきたかった! - 2026年2月25日
歴史は“強者ファースト”か?加藤圭木,岡本有佳,板垣竜太読み終わった簡便にして要を得た内容で、ブックレットの王道だと思う。米山リサ、吉見義明によるラムザイヤー論文批判も、熱はこもってはいるが落ち着いている。良書 - 2026年2月23日
読書アンケート 2025みすず書房読み終わった年々厚みを増していて、読書界の集合知の結晶のおもむきがある。結局、そーいえばあの本買い損ねてたな、という本をたくさん買うことになる(そして大体は積ん読の運命へ!) 厚みを増したぶん、回答者の自分語りも幅を利かせるようになったから一長一短という感じがする ある沖縄の歌集を紹介する回答者のお説教モードにはほんとにへきえきしたけど(だったら紹介しなければいいのに!)、それでもなお紹介させたくなるような魔力がその歌集にあると確信し、購入してしまった。みごとにはまってしまった感がある笑 そのほか、藤原辰史さんと福嶋亮大さんの作品が多くの回答者に取り上げられており、やはり安定感がある書き手なのだなぁとしみじみした - 2026年2月20日
- 2026年2月18日
歴史家ホブズボームが語る21世紀の肖像アントニーオ・ポリート,エリック・ホブズボーム読み終わった20世紀末に、マルクス主義者の歴史家ホブズボームがフランクに語り下ろした一冊。ソ連の挫折ほかを目撃しているだけに、むしろ左翼的発想から距離を取っている一方、ネオリベラリズムの猛威にもカンカンカンと警鐘を無らしまくっている。いま読むととっても興味深い - 2026年2月15日
- 2026年2月15日
暗黒の大陸マーク・マゾワー,中田瑞穂,網谷龍介読み終わったホブズボーム『20世紀の歴史』とともに再読。ヨーロッパの百年史の概説だが、ミクロのエピソードの練り込み方が絶妙、かつマクロな解釈もシャープで、21世紀の展望がおそろしく洞察にあふれている。とくにネオリベラリズムと移民政策に関する展望は、今こそ耳を傾けたい内容。訳文もリーダブルで、訳者たちの苦労と努力が報われていると思う - 2026年2月8日
多様性との対話岩渕功一読み終わった岩渕功一『多様性とどう向き合うか』(岩波新書)読了後に、あらためて再読。新書版で示された問題意識のエッセンスが、岩渕による序章にまとまっている。耳障りのいいDEIとかダイバーシティとかを追求する影で、差別や不平等を是正する動きはうさん臭く思われるようになった。企業によるグリーンウォッシュとかピンクウォッシュを批判するまなざしの、ダイバーシティ版と言えるだろう なお、岩渕の問題意識を共有する髙谷幸や塩原良和の章/コラムの切れ味はあまりに鋭すぎる 日本では、エスニックマイノリティの文化やアイデンティティを承認する多文化主義はそもそも希薄であった。とすると、日本の〈多文化共生〉とは、外国人に自助努力を求めながら、どう秩序と調和(unity)を維持するかをめぐる〈社会統合〉のことである。髙谷は、近藤敦の指摘をもとにこうのべる ここでの問題は、「移民政策をとらない」と言明してきた政府が、その社会統合政策にもはっきり及び腰だという点、そして外国人が日本でちゃんと暮らしたきゃ徹底的に自助努力だ、うっかり税金滞納ふくめ悪さは厳禁だという姿勢だ。そこには、れっきとした納税者、地域住民としての外国人へのまなざしはない これが、多文化主義を通過しないまま、多文化共生という擬制的統合政策へ到達した日本の今である。そんな日本では、日本語教師のかなりの割合がボランティアでまかなわれている。すさまじく高い日本語力を外国人に求めるのに、あまりに痛烈なシーンだ 衆院選は本日(2/8)終わる。そしてまた排外主義が吹き荒れるのだろう。その心の準備をするにはもってこいの一冊 - 2026年2月7日
斜め論松本卓也読み終わった精神医学や臨床心理学における〈垂直〉と〈水平〉がテーマ。ハイデガー(主義)に影響されつつ、長らく前者が尊重されすぎてきた中、後者から患者/当事者へアプローチする試みを追う。ビンスワンガーに始まり、中井久夫論でグルービーとなり、上野千鶴子と信田さよ子を語る段で筆が踊り、べてるの家の当事者研究を紹介する段で筆致はやや穏やかになる、そんな感じの心地良い一冊。 ハイデガーを〈水平〉にする試みである第6章は私には難しかったけど、本書の問いかけはとてもシンプルで、考えるところ大だった。〈垂直〉だけでも〈水平〉だけでもない、横の仲間たちの輪を広げる中で、〈ちょっとした垂直性〉をいかに飼いならすかにまで目配りする、良書 - 2026年2月6日
新しい封建制がやってくるジョエル・コトキン,中野剛志,寺下滝郎読み終わったヨーロッパ中世に関する歴史的アナロジー論の先駆的著作。〈農奴〉そっくりの下層階級と〈貴族〉そっくりの超富裕層の相克が先進各国の共通点だとし、その行く末を心の底から案じている……似たテーマの本は多いが、本書は簡便にしてリーダブル、各章もすっきりしている。それでいて裏付けも豊富で、割愛されている膨大な注は版元サイトからDL可能。終章では、経済成長が止まった高齢社会ニッポンが、精神世界やQoLに関心を向けられる高所得国のモデル「アジアにおけるスイス」となりうると指摘されている。本当かよ、と注をたどったところ、ピリング『日本』(ハヤカワ文庫)とともに、かつてのジャパンバッシャーの雄、ウォルフレンの1989年の著作が引かれていて、この程度の裏付けかぁとは思った笑。 バルファキス『テクノ封建制』(集英社)、リンド『新しい階級闘争』(東洋経済新報社)などは本書の姉妹編ともいえる。国際政治学では、田中明彦の先駆的著作『新しい「中世」』(日経文庫)が似たような発想である。昨年刊行された田所昌幸『世界秩序』(中公新書)では、将来を占うシナリオが示される部分でコトキンの本に言及されている - 2026年2月6日
国際社会学・超入門樽*本英樹読み終わった超入門の題にふさわしくリーダブル、さくさく読み進められる。それでいて要となる概念や理論も適度に紹介されていて重宝する。「恋」の切り口から国際移民に迫った章の手さばきが新鮮で、著者の力が入っていた - 2026年2月5日
脱植民地化デイン・ケネディ,長田紀之読み終わった簡便な入門シリーズの一冊。脱植民地化の〈4つの波〉を提示する=アメリカ合衆国やハイチの独立、WW I後の東欧の独立、WW II後の世界的な植民地解放、そしてソ連崩壊後の独立。なかでも第三の波に特化して記述が進む。日本の読者にはなじみのないアフリカ他の地域の独立の記述は、興味深いし、レファレンスとしても活用できそう - 2026年1月30日
多様性とどう向き合うか岩渕功一読み終わった岩渕編著『多様性との対話』(青弓社)が良かったので、続けて本書を読了。だいぶ易しい筆致で、「多様性」という言葉にまとわりつくうさん臭さを前向きに溶きほぐす。著者の立場は明確で、多様性の尊重や、横暴な言動のキャンセルなどは、構造化した差別の変革の手段としてあるべきで、それらが自己目的化しちゃだめだってこと。シンプルにして重大な指摘 - 2026年1月23日
現代思想2025年12月号 特集=排外主義の時代中條千晴,倉橋耕平,宮下萌,巣内尚子,鈴木江理子,髙谷幸読み終わったほぼ一冊まるまる排外主義特集で、アンソロジーの本一冊分の読み応えあり。思想というより社会科学の脇を固めた論考も揃っており、安心感がある(たとえば五十嵐彰論文) - 2026年1月20日
- 2026年1月19日
- 2026年1月17日
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