星野源さんのライブに行く飛行機で、せっかくなら源さんと交流がある塩見さんの著書をと思い、眠っていた文庫版を引っ張り出した。 病で倒れ、俳優としての道をまた歩むまでの体験記かと思いきや、それだけではなく、今まで塩見さんが関わってこられた方との思い出がたくさん書かれていて、慈しんでおられるのが伝わってきた。 歌うように、という意味がぴったり当てはまる。

30歳を目前とし楽しみ半分、焦り半分の今、ロールモデルを求めてる自分がいることに気づき、手に取った。 読みながら、仕事や家庭などでそれぞれたおやかに戦ってきた、すてきな人たちから「大丈夫だよ」と言われてる気がした。 自分で決めて、引き受けること。それを忘れずに年を重ねていきたいな。 小泉今日子さんの〈放談を終えて〉の言葉も全部いい。

最近、全然活字が読めなくなっていたので、心の余裕を少しでも取り戻したくて読んだ。姉ちゃん、とか、弟、とか兄弟姉妹の呼称を使える人って世界ですごく限られてると思うと、キュッとなる。

一人暮らしを再開したので、本棚に眠っていたこの文庫を開いた。最近、何かの結果ばかりにとらわれて焦る日々だったけど、死生を味わいながら生活する面白みを思い出させてくれた。 抜粋「自分の洗い直しとでも言うのだろうか、そんなことをやっているような気がするが、洗い直しても自分は別にきれいにはならないし、新品に戻るわけでもない、かえって糸がほつれかけたりするのが困る」 自分のことも周りのことも分からないまま生きていく、それの何が悪いのか。少し胸がスッとした。

買ったときにたまたま書店にいたおじいさんから、短歌について教わったのも思い出。