崩壊概論
34件の記録
ジクロロ@jirowcrew2026年4月25日かつて読んだ精神が考え出すのは一連の新たな修飾語にすぎない。所与の事実に別の名を与える、というか、つまり同じ不変の苦悩を呼ぶのに己れの語彙をさぐって、なるべく手垢の少ない形容詞を選び出すわけである。人間はいつの時代も苦しんできたが、その苦悩は、時の哲学的視点によって《崇高》だったり、《正当》だったり、《不条理》だったりする。 (p.42) 今の時代、「苦悩」に被せられる形容詞の王冠は 何であろうかと考える。 その時代時代、形容詞の王位の変遷こそが、思想(史)の変遷ともリンクしているのかもしれない。 「『苦悩とは、アーティフィシャルなインテリジェンスである。』この仮説に、シオランならこれにどう答える?」 なんて、AIに聞ける時代であるからこそ、本当の苦悩はまた次の時代へと易々と生き延びる。 (向き合いたくないからこそ、意識的に取り逃している?) 「私はそのベールを剥ぎ取って、生々しい傷口を展示したいわけではない。そうではなく、ベールが隠していた『内面的な真実』を想像力によって再構築したいのだ」 (『「他者」の起源』トニ・モリスン) 文学的な(モリスンその人の)立場からすれば、その形容詞は「ベール」として保たれる。 「傷口を展示」することにより、他者の苦悩もまた消費や所有の対象となってしまう。それを避けることがモリスンの倫理性であるとも言える。 「生の問題の解決を、ひとは問題の消滅によって気づく(疑いぬき、そしてようやく生の意味が明らかになったひとが、それでもなお生の意味を語ることができない。その理由はまさにここにあるのではないか。)」 (『論理哲学論考』ウィトゲンシュタイン 六・五二一) 『崩壊概論』が書かれることにより、本当の「崩壊」は先延ばしにされる。シオランはそれをどのような思いで書いたのか、真相はわかりえないが、自分にはそのように感じられる。 それは「崩壊」そのものではなく、「崩壊」、その「問題の解決」から守るための冗長に満ちた襞だらけのベールであると。 苦悩も問題も、完全に消滅することはない。 正面から語ることもできない。 それはベールの材質の変遷と気分という風による揺らぎによる明滅であり、変化を伴う反復運動はないか。 語ってしまえば、消費や理解という「暴力」に回収されてしまう尊厳。そこに虚無というアプローチで崩壊させようとあえて試みるシオラン。 「手垢の少ない形容詞」、そのベールが本物であればおのずとそれは血潮に染まる。 モリスンの求める「想像力」とシオランの求める「持続力」の狭間で、もう一度自分の問題を考え直してみる。
- 宇宙サボテン@knippelianus2026年3月22日読んでる読み始めて数分で、自分の中の「社会に対する絶望」というものがいかに生優しくて、浅薄なものだったかを思い知らされる気分になっている。 真に絶望すべき対象は何かを理解するために、もっと読み解いていく必要があると感じる。

七瀬由惟/Yui Nanase/あーしぇ@ashe_dalmasca2025年9月6日読み終わった遠未来、ひとり生き残った最後の人類が、誰にも読まれることのない文明の黄昏を綴った手記を読んでいるかのような、ステープルドン的な錯覚に陥ることしばしば。 自分の信条や真理を唯一の正義として押し付けてくる偽善者や、独自の用語を生み出すだけの面倒な存在である「哲学者」にうんざりしていた、あの感化されやすい時期に読まなくてよかった(笑)。 ここに込められたちょっと言ってみたい皮肉や、現実から一歩も二歩もひいた視点からの若さ故の達観のようなイタさも、全部ひっくるめておもしろく読めた。
ヨハネくん@plaudite_opera2025年3月22日気になる読みたいペシミストかつ反出生主義の哲学書、シオランの哲学書がちくま学芸文庫から4月に出るぞー!!! めっちゃ楽しみ 絶対に買って読む!!
























