ドッペルゲンガー

34件の記録
yomitaos@chsy71882026年7月19日読み終わった@ 自宅昔、Twitterのアカウントを乗っ取られかけたことがある。無名の弱小アカウントでさえこんなことがあるのだから、有名人が乗っ取りに怯えるのもよく分かる。たいして発信していたわけではないが、どこか自分のアイデンティティを失ったような気になった。 著者のナオミ・クラインはアカウントを乗っ取られたわけではない。似た名前の別人(ナオミ・ウルフ)と混同されただけだ。ただ問題は、その混同された相手が極右の陰謀論者だったことだ。発信源をちゃんと確認しないユーザーたちが、クラインは変わってしまったと嘆く。…それ、クラインじゃなくてウルフのほうですよ? 何度指摘しても、勘違いする人は増える。 戸惑うクラインが取ったのは、見ることも近づくことも避けていた陰謀論グループに飛び込むことだった。そこではいったい何が行われているのか、直に経験しようとしたのだ。この勇気に恐れ入る。 私は心の底から陰謀論者、差別主義者を軽蔑しており、関わることを全力で拒否している。クラインにもそういったところはあったようで、調査開始時点でめまいを起こしている様が色濃く描かれている。ただ次第に分かっていったのは、こうしてリベラル陣営がバカにして相手にしない間に、陰謀論者たちはリベラルの言動をしっかり学んでいるということ。戦略的に戦っているのは陰謀論者たちの方なのだ。 アメリカに限らず日本でも、リベラルだった人が極右に急転する様をたびたび見かける。ゆるやかに思想を変えていくのは理解できるが、なぜ真逆に振り切れるのか、ずっと分からなかった。クラインは調査を進める中で、個人の問題ではなく、不安定な社会でアイデンティティを確立することの難しさがあることに気づく。なるべくしてなるというか、システムがそう成り立たせてしまうような、仕組みの問題が大きく関わっている。 クラインにとってウルフは迷惑な存在だが、きっかけがあればそうなっていたかもしれないと思える存在でもある。ドッペルゲンガーは、見てはいけないものとして描かれる。自身のアイデンティティを確立する上で、似ているのに違う存在は邪魔でしかないし、けして認められないものだろう。(認めると自分のアイデンティティが揺らぐ) ウルフがなぜ極右に急転してしまったのか。それは、失敗によりそれまでのポジションを失うことになり、揺らいだアイデンティティを再構築するには、「この道しかなかった」からなのかもしれない。ウルフを取り巻く環境はまったくもって一枚岩ではない。何なら思想が真逆の人も存在する。なのに何故同じ陣営でいられるのか? 陰謀論者の陣営は、不思議と連帯感がある。各々がバラバラのことを言っているのに、なぜかつながっている。左翼やリベラルに、そういった連帯感はない。ひとつでも差異があれば連帯できない。そんなこともしているうちに極右は謎の連帯感によって膨れ上がっていく。これは当の日本でも同じじゃないだろうか? 例えば在日外国人を差別することのみで連帯し、あとの政策志向はバラバラの人たちをよく見かける。はっきり言って愚かな人たちだと思うが、そうやって見下していても社会は良くならない。連帯には連帯を、ケアにはケアで対応してかないといけない。 まさかこんな結論に辿り着くとは、読む前には思ってもみなかった。私には陰謀論者の陣営に飛び込む勇気はない。ただ、連帯を強めないとならないことだけは、痛いほどよく分かった。
- ムニムニマン@muni8muni82026年5月11日読み終わった序章の段階では、著者が何を言おうとしているのかわからず、最後まで読めるだろうかと不安だった。しかし、いざ本編が始まるともう面白くてページを捲る指が止まらなかった。コロナ禍や陰謀論など、日本に住む私たちにも共通する体験から始まり、世界の極右化傾向や非定型発達と反ワクチンについてなど、著者の関心領域が広がっていくにつれて、読み手もそれらに向き合わざるを得なくなる。そして、さすが著者と感心したのが、それらを「個人の問題(自己責任)」とするのではなく「システムに問題がある」からそれらが発生する、としたところ。終幕まで、安心して読むことができた。 図書館で借りた本だったので、手元に置きたいと思いさっそくe-honで注文しました。


森野進@morinossm2026年5月9日読み終わった読んでよかった。この本で取り上げられているトピックに限らず身の回りのことや社会課題について、内省しよりよい解決方法を考える力になってくれる本だと思う。具体的な働きかけをする勇気はなかなか出ないが… 個人が個々に満足を目指せばそれでいい、それが自由だ、干渉しないのが優しさだとコミュ障的には思いたくなってしまうが、巡り巡って逆効果を生むことについて真剣に考えなくてはいけないな…


森野進@morinossm2026年5月8日読んでる第3部読み終わり。 ミラーワールドの論理が見えなくする現実の不都合な部分について。権威ある者(陰謀論に出てくるような悪の組織ではなく単にお金持ちだったりする者たち)によって問題がすり替えられ、スケープゴートとなった集団は偏見に覆い隠されてしまう。読む前に「ナオミ」という名前がユダヤ系である認識がなかったのでここまでユダヤ人にまつわる話題を大きく扱うと思っていなかった。著者の冷静さと芯となるべき人権意識・倫理からブレないようにする注意深さがあるから安心して読める。 読みながらなんども自分の属する集団が加害者であったことをちゃんと教えてくれる歴史教育の貴重さを思わずにはいられない。
森野進@morinossm2026年5月2日読んでる第2部を読んでるところ。話が大きくなってきた。ドッペルゲンガーとなる個人の話から、そのような言動が起こる社会的環境の話、ある種生態系の話を聞いているような周囲の利害関係の働きまで視線が及ぶ。面白いし、アテンション・エコノミーに飲まれてうんざりしながらも調査をし考えることをやめない姿勢には元気づけられる。
森野進@morinossm2026年4月29日読んでるここで見かけて気になったので自分も読み始めた。失礼ながら著者のほかの本は読んだことがない。思ったより分厚くて、でも非常に興味深いトピックでどんどん先が読みたくなる。本文にも「ほかの人は面白がってる」という指摘があるのが分かってて申し訳ないが、とても面白い状況に陥っていますねと…そう、陰謀論系は外野から見ている限りでは見世物のように感じられてしまう 本人の体験はたまったものではないことは想像に難くないのだけども
































