貝に続く場所にて

15件の記録
- 🦢@13_rooms2025年9月22日読み終わった3月11日に永訣のわかれをしたはずの友人の幽霊と再会する話。硬質で水際だった文章がとても美しい。静謐で、おだやかで、どこか現実から遠いドイツの生活のなかにすっと死者の翳が入り込んでくる様が、かえって主人公の傷を物語るようで痛ましかった。ひとたび失ってしまったら決して贖えないものがあること、喪失によってしか覚えておけないものがあること。そういう痛みと祈りを活字にすることでしか留めて置けないものがきっとあったのだろうなとおもう。 「痛みには耐えられないことを、大人が気をつけなくてはならない」「慣れていると思っても、それは痛みを巡る記憶から距離を置いたと思っているだけ」がひときわ印象深かった。
- momiji@momiji_book2025年7月22日読み終わったまず、言葉選びが好みでした。繊細で幻想的。少しずつ物語の輪郭が見えてくるのもいいですね。 ドイツを舞台に、他の震災小説とはまた違った視点と思います。 文量は多くないものの、何度も読み返した為か濃厚な読後感。