生物と無生物のあいだ

39件の記録
- たかとし@yume_hon_no_mushi2025年8月10日読み始めた過去に途中まで読んだのに、なぜか最後まで読まずに終わってしまった本。凄く面白かったのに、読了せず勿体なかったから、改めて再読を始めた。
- uzoo@uzoo2025年7月15日読み終わった@ カフェNHK最後の講義をきっかけに、動的平衡のことが知りたくなって手に取った一冊。生命とは何か、その探究の歴史の一旦、人間模様が垣間見えてくるノンフィクションとしても一級品なのではないかと。
- pamo@pamo2025年3月17日かつて読んだ心に残る一節引用:よく私たちはしばしば知人と久闊を叙するとき、「お変わりありませんね」などと挨拶を交わすが、半年、あるいは一年ほど会わずにいれば、分子のレベルでは我々はすっかり入れ替わっていて、お変わりありまくりなのである。(p.163)
- ishiguro_reads@ishiguro_reads2024年11月6日読み終わったカイヨワの「反対称」を読んで、生物と無生物の連続性と分水嶺について興味を持ち、生物学者の福岡伸一氏が記した本書を手に取った。2007年のベストセラー本である。 生物学についての本を読むのは初めてだった気がするが、その作法が非常に面白い。ある分野での過去の学者たちの発見と失敗の歴史、哲学的思索、具体的に取られた実験方法の記述など、様々な方向から織り込まれたテクストは重厚で、門外漢にも示唆に富んでいる。 たとえば、砂浜に散在している小石と貝殻を見たとき、同じような見た目であっても片方は生命の営みによってもたらされたものであることを見る。小さな貝殻に、小石とは決定的に違う一体何を私たちは見ているというのだろうか。著者曰く、有機的かどうかは自己修復を行うか否かであり、動的平衡を保ちつつ更新し続ける性質に依存する。 この生物学的視点に、カイヨワの「反対称」に記される美学的視点を足してみるとどうなるか。建築自体が、安定と不安定、対称と反対称のあいだにあることで、そこに生命的な律動が感じられる。サンゴ虫の作り出すサンゴ礁のように、建物とヒトと、ヒトの振る舞いにより動かされるモノのレイアウトが、フラクタルな関係性を築くのが生物として好ましいのではないか。
- 徒然@La_Souffrance1900年1月1日読み終わった「いのち動的平衡館」に行ったときに疑問を抱き、もう少し深く知りたくて手に取った。 けれど、読んでみてもそのモヤモヤは完全には晴れなかった。 本書の大きな主張は、「生命の本質は動的平衡である」というものだ。 生命は、エントロピーの増大に逆らうように、自分を壊しながら作り直すことで、同じ“かたち”を保ち続けている。つまり、止まっているように見える体も、実は絶え間なく入れ替わっている——そういう仕組みを「動的平衡」と呼んでいる。 この説明はとても印象的で、「なるほどな」と思う部分もあった。 でも一方で、「なぜそのプロセスそのものが“生命”だと言えるんだろう?」という疑問は残った。 私の感覚では、動的平衡を成立させている分解や代謝のような生命活動は、遺伝子の情報をもとに起こっている。だから、生命の本質が動的平衡であるというのであれば、その動的平衡を維持している遺伝子こそが中心になるのではないか、と思ってしまう。 しかし筆者は、そうした「遺伝子がすべて」という考えに対して、「生命はそれだけでは説明できない」と言いたいのだと思った。 設計図(遺伝子)があっても、実際に“流れ”がなければ生命とは呼べない。 つまり、彼は“生命を実体ではなくプロセスとして見る”視点を示しているのだろう。 ただ私は、そこにやや飛躍を感じた。 プロセスが大事だというのはわかるけれど、「生命=プロセス」と言い切られると、肝心な説明が抜け落ちたような印象を受けた。 科学的な裏付けを期待して読んだ分、思想的な語り口が強くて戸惑ったというのが正直なところだ。 それでも、「生命とは何か」という問いを改めて考えるきっかけをもらえた本だった。 「生命=遺伝子」と捉えるのか、「生命=流れ」と捉えるのか。 その視点の違いを意識するだけでも、世界の見え方が少し変わる気がする。 カバーと表紙のデザイン好き。